| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十五話 護民官その六

「だからな」
「この時は」
「金はあるんだ」
 美奈代が苦心して儲けて今も収入にしているそれがだ。
「なら使うべきだ」
「それもまた政治であるからこそ」
「やるぜ、情報も集めてな」
 久志はこちらのことも考えていた。
「そうしてな」
「選挙に勝つでござるな」
「そして護民官になって」
「それからは」
「俺に権限を集めて一気にな」
「ローマを束ねるでござるな」
「ああ、ローマを完全に俺の第一の基盤にする」
 旗揚げの地にすると共にというのだ。
「その為にもな」
「久志殿にでござるか」
「権限を集めてな」 
 そうしてというのだ。
「ローマを一つの街じゃなくてな」
「この島の都に」
「そうしていくな」
「では」
「ああ、改革をな」
 それをというのだ。
「ローマの護民官になってやるぜ」
「わかったでござる、ただ」
「ああ、護民官っていうよりかはな」
「独裁官でござるな」
「そうなるよな」
「強い権限を持ちその力で改革を行うとなると」
 進太もこう言った。
「やはり力が必要でござるな」
「俺もそう思うぜ、けれど何かしようと思えば」
「独裁もでござるな」
「独裁っていうか権限が強くないとな」
 そうでなければというのだ。
「何も出来ないよな」
「全くでござるな」
「武力、具体的な力を持つとな」
「余計にいいでござるな」
「だったら護民官になれば」
 その時はというのだ。
「軍隊を手中に収めるか」
「ローマの軍隊ですが」
 夕子がその武力について述べた。
「常備軍はなく」
「傭兵をだよな」
「はい、必要な時に雇って働いてもらう」
「そうした状況だよな」
「教会、バチカンもです」
「常備軍は持ってなかったな」
「貴族達も豪商達も持っているのは」
 教会と共にローマで力を持っている彼等もというのだ。
「手勢と言っていいもので」
「軍勢とまでいかないか」
「やはり確かな武力は」
「傭兵だよな」
「彼等です」
「じゃあこれまでの考え通りな」
 久志は夕子の言葉に腕を組んで考える顔になって述べた。
「傭兵を常備軍にしてな」
「武力、実際の権力を裏打ちするものにですね」
「するな、もう塩のルートも確保したしな」
 美奈代がそうしたのだ、ローマに塩を供給している商人のギルドも買収し手に入れたのである。そこは美奈代も真っ先にした。
「これも力になってるしな」
「お金もあります」
「そこで護民官になって」
「街の最高権力者になり」
「その権力の裏打ちとしてな」
 まさにその為にというのだ。
「傭兵達もどんどん雇い入れてな」
「常備軍にしますね」
「ああ、そしてその軍隊で」
 自身の改革を行う権力の背景にすると共にというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧