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星河の覇皇

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第六十九部第三章 謀略の始動その二十三

「そうした国でしたから」
「今のモンゴルもか」
「別格と思われているのでは」
「そうなるのか」
「名誉的に」
「モンゴルはそうなのか」
「少なくともです」
 やや苦笑い、何処か残念そうなそれになってだ、ニカワは言った。
「我がザイールに比べますと」
「有名か」
「ザイールは連合設立からある国ですが」
 それでもというのだ。
「モンゴル程有名ではありません」
「世界帝国であった国と比べてか」
「チンギス=ハーンもいません」
 その空前絶後の大帝国の祖である、草原の諸部族を統一しそのうえで東西に遠征を繰り返した英雄である。
「彼程の英傑は」
「名誉的か」
「しかしその国と英雄の名を出されますと」
「元帥を出してもか」
「誰も異論はないでしょう、むしろです」
「出すまでもないか」
「歴史に燦然と輝いています」
 モンゴル帝国、そしてチンギス=ハーンの名はというのだ。
「見事なまでに」
「複雑な気持ちだ、しかしだ」
「はい、大国だけが元帥を出せる状況は」
「定まるとな」
「よくないというのですね」
「人材の任命は実力主義でなければな」
 この考えからだ、バールは言うのだった。
「問題だ」
「特に戦場で戦う我々軍人はですね」
「エウロパのことはよく批判されているな」
「はい、高級軍人はほぼ確実に貴族ですね」
「エウロパでは貴族の下士官や兵はいない」
 これは絶対のことだ、エウロパでは貴族少なくとも紳士の位にある下級貴族でも軍に入れば必ず士官となるのだ。
「これではだ」
「実力主義はですね」
「平民出身でも士官学校も大学も入学出来るが」
「どうしても貴族優先ですね」
「あの国は昔からだ」
 ここで言う昔はどの時代かというと。
「騎士の時代からのな」
「ダークエイジの後ですね」
「そうだ、フランク王国なりの後でのだ」
「百年戦争やそうした時代ですね」
「無能でも貴族ならば士官、そして指揮官にもなっていた」
「そして今もですね」
「あの国は貴族が優遇されている」
 こう侮蔑を込めて言うのだった、そのエウロパの一国であるイギリスから生まれたサンドイッチを食べながら。とはいってもサンドイッチは連合に入って長くかなり連合各国のものにアレンジされている。二人が食べているそれはアメリカ風である。
「そして連合もだ」
「あの国の様にですね」
「程度こそ違うが」
「大国が優遇される様では」
「問題だ」
 こうニカワに言うのだった。
「やはり実力主義でないとな」
「他の、中央政府の要人は違いますね」
「閣僚も文官もな
「しかし軍人はですか」
「設立されて日が浅いがそうなっているな」
「それが定着されてはまずいですね」
「そうだな、しかしだ」
 それでもとだ、バールはハムサンドを食べながらニカワに苦い顔で話した。
「議会がな」
「難しいですか」
「元帥の任命には議会の承認が必要だからな」
「そもそも元帥ですが」
 ニカワも連合軍の最高位の階級について話した。 
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