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星河の覇皇

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第六十九部第三章 謀略の始動その二十二

「本当のことかとな」
「やはりそうですね」
「私も大将にまでなれるとはな」
「思っておられませんでしたね」
「しかし大将に任命されてな」
 モンゴル軍にいた時にだ、バールは大将に任命されたのである。その優秀さを買われてそうなったのだ。
「そしてだ」
「元帥にですね」
「任命してもらった」
「そうなりましたね」
「まことにだ」
 実際に、という言葉だった。
「僥倖、神の配慮だ」
「本部長の信仰されている」
「ケサル神だ」
 チベットの方の神話の英雄だ、この時代では神格化されていて戦いの神になっている。尚連合では平和が続いているので商売や芸術、学問等の神に人気がある。
「他にも何柱も神を信仰しているが」
「戦いの神はですか」
「この神だ」
「ではケサル神に感謝されたのですね」
「大将になってな」
 それでというのだ。
「そして連合軍に編入された時にだ」
「元帥ですか」
「しかも統合作戦本部長だ」
「そしてモンゴルが、ですか」
 ニカワはバールの祖国のこの国のことにも言及した。
「大国であるからと」
「大国の方であろうか」
「そうですね、モンゴルは」
「人口はそれだけ多くはないが」
「しかし国力は高いですね」
「資源は豊富だ」
 この時代でも遊牧民、昔ながらにゲルに住み馬に乗って羊達と共に暮らしている者が多い国ではあるがだ。
「中にはレアメタルも多くある」
「資源も豊富で工業もです」
「人口は少ないにしてもか」
「あるからでは」
「しかしモンゴルはだ」
「本部長から見ればですか」
「大国でもないだろう」
 こう言うのだった。
「六大国と比べると到底な」
「あの国々ですか」
「そうだ、とてもな」
「あの六国はまた別ですね」
「それぞれ元帥を出している」
「日本以外は」
「どうも長官の出身国からは元帥を出さない様になっているな」 
 大国から一人ずつという不文律がある様でもというのだ。
「だから日本からはだ」
「元帥が出ていませんか」
「長官が日本の方だからな」
「米中露伯土は出していても」
「しかし、我が国は」
 バールはまたモンゴルの話を出した。
「レアメタルは多くともな」
「どうしてもですか」
「小国の部類だと思うが」
「領土は広いですが」
「しかし広いだけだ」
 所有している星系そして惑星が多いだけだというのだ。衛星もその領土の中に入っていることは言うまでもない。
「あくまでな」
「では歴史では」
「モンゴルのか」
「やはりです」
「あの大帝国か」
「モンゴル帝国です」
 ニカワは微笑みバールに話した。
「何といいましても」
「あの国を言われるとな」 
 バールは少し苦笑いになってニカワに応えた。
「困るな」
「世界帝国でしたが」
「空前絶後のか」
「人類社会でも最大と言ってもいい」
 そのスケールの大きさにおいてだ、この時代においてもモンゴル帝国はそうした国だと言われている。 
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