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レーヴァティン

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第八十三話 ローマに戻りその八

「まず皆が幸せに暮らせる」
「そうなることを目指すべきだな」
「そうだよね、僕はそう思うけれど」
「最大多数の最大幸福だな」
「それだよ」
 まさにそれだというのだ。
「それを実現すべきだよ」
「この島でもな」
「出来る限りのことね」
「そうだな、それで国力が高まるしな」
「その国力を使って戦にも勝っていく」
「それで島を統一してな」
「魔神も倒すね」
「海にいるな、まあ海の魔神のことは今もわかってないけれどな」
 久志は白ワインを飲みつつ言った、このことは今もわかっていない。それも全くと言っていいまでにだ。
「けれどな」
「僕達のやることは魔神を倒すことだからね」
「それでだよ」
「魔神もな」
「倒してね」
「世界を救おうな」
「絶対にね」
 剛もこう言ってだ、彼は付け合わせのチーズを口に入れた。そうしてチーズの味を楽しみつつ仲間達に言った。
「あと少しでローマに着くことは間違いないから」
「まずは何処を拠点にするかよね」
 留奈は剛に応えてローマに戻ってからのことを話した。
「本当に」
「何処にしようかな」
「教会?バチカンね」
 この世界のそこはどうかというのだ。
「あそこはどうかしら」
「バチカンの後ろ盾も得られるし」
「いいと思うけれど、いえ」
 自分で言ってだ、留奈は気付いてそれでこう言い換えた。
「止めた方がいいわね」
「教会の後ろ盾を得るとだね」
「後々教会の言うことを聞かないといけなくなって」
「宗教についての政策で足枷が出来るからだね」
 剛もこのことについで述べた。
「だからだね」
「教会、バチカンを拠点にして後ろ盾になってもらうことはね」
「止めた方がいいね」
「ええ、この世界全体を救うから」
 それが自分達の目標だからだとだ、留奈は剛に考える顔で言った。言いつつフライを美味そうに口にする。
「それならね」
「教会のことはね」
「私達の世界の中世のバチカンより遥かにましにしても」
 権勢、権威、そして腐敗と専横がだ。
「けれどね」
「特定の勢力の後ろ盾を受けるとね」
「その影響を受けるから」
「止めた方がいいね」
「協力は得ても」
 それでもというのだ。
「やっぱりね」
「後ろ盾はね」
「止めた方がいいわね、最初から最後までね」
 それこそとだ、留奈は話した。
「自分達の手でやるべきよ」
「本当にそうだね」
「だったら最初の拠点はね」
「教会も他の勢力のところもね」
「外して」
「自分達でね、だとしたら」
 剛はここで久志を見てそれで言った。
「やっぱり君のお屋敷かな」
「そこが一番だろうな」
 久志も剛にすぐに答えた。
「さっき話に出たけれど先の先を広く考えるとな」
「私も自分の考えは間違いだって思うから」
 提案者の留美も言うことだった。
「やっぱり無色透明の方がいいからね」
「聖職者の人材は入れてもな」
「後ろ盾に持つとか密接な関係は持たない方がいいね」
「どうしてもそうしないといけないって訳でもないだろ」
「私達だけでローマの統一は出来るよ」
 留奈は久志にあっさりと言い切った。 
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