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八条学園騒動記

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第四百九十三話 ドラッグその九

「特別な儀式の時だけね」
「ああした格好になるな」
「よく言われるね」
 仮面を被ったり顔や体にペインティングをして踊ったりするのだ、アフリカやパプワニューギニアへの古典的なイメージの一つだ。
「その時だけよね」
「そうだ、ただな」
「ただ?」
「ああした格好をしてもな」
「ええ、もう呪うんじゃなくてね」
 ビアンカも話した。
「祈願よね」
「いいことへのな」
「そうなってるから」
「あと観光のパフォーマンスでもしているな」
「あえてね」
「だから害はないからな」
 シャーマン達もというのだ。
「十九世紀や二十世紀の冒険小説と違ってな」
「アフリカとかへのね」
「ああした小説だとシャーマンは出て来るとな」
「呪い使うのよね」
「エウロパの連中の偏見だな」
 アフリカへのそれだというのだ。
「実際は」
「そうよね」
「映画でもそうだったがな」
「アフリカとか行くとね」
「部族が出てきてな」
「シャーマンも出てきてね」
「呪ったり怪しげな妖術も使う」
 そうしたシャーマンが多く書かれ描かれてきたのだ。
「あれはな」
「本当に偏見よね」
「そして裸だな」
「そうそう、アフリカへのイメージってね」
 エウロパのそれはとだ、ビアンカは眉を顰めさせて話した。
「それなのよね」
「ジャングルの中にな」
「あれ偏見よね」
「そのものだ、今はそれどころかな」
「エウロパよりずっと豊かでね」
「文明的だ」
 この時代の連合のアフリカ諸国そして市民達はというのだ。
「そうなっている」
「そうよね」
「あれは十九世紀のイメージだからな」
「エウロパの奴等は今もそう思っているのかしら」
「そうみたいだな」
「一体何時の話よ、そのイメージだって」
「偏見だ」
 それだとだ、アルフレドは言い切った。
「シャーマンについても部族自体についてもな」
「全部よね」
「偏見だ」
 それに他ならないというのだ。
「本当にな」
「エウロパ貴族って偏見の塊だしね」
「選民思想と特権意識のな」
「それでアフリカは未開の部族で」
「連合全体が野蛮人だ」
「野蛮っていうのがね」
 ビアンカは顔を顰めさせて述べた、述べつつカレーのおかわりをしている。アルフレドもそれに続いて入れた。 
 そのカレーのおかわり、御飯もルーもそうしてからだった。ビアンカはアルフレドにあらためて言った。
「それこそがね」
「偏見だな」
「私達の何処が野蛮よ」
 そもそもというのだ。
「一体」
「それだな」
「文明的な生活してるわよね」
「それで怒ってもな」
「暴れないし」
「暴動も起こらないしな」
 そうしたこともというのだ。 
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