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八条学園騒動記

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第四百九十三話 ドラッグその七

「本当にな」
「まあ実際にいたら碌な死に方する奴じゃないわね」
「吐き気を催す邪悪となるとな」
「そこまでの外道って絶対にいい死に方しないからね」
 創作の世界ではむしろそうならない方がおかしいと言っていい、中にはいじめ漫画でいじめる側のキャラクターがお気に入りで依怙贔屓する自称変な奴だが実際は人間として何もかもがおかしいとしか思えない漫画家もいる様だが。
「現実でもね」
「他人は見ているし神仏もだ」
「見ているからね」
「そんな奴は自然と人が離れる」
「自分がそうされるかもって思ってね」
「そして神仏もだ」
 人の上にある存在もというのだ。
「神罰、仏罰を与えずにいられない」
「だからよね」
「必ず碌な死に方をしない」
「それが道理よね」
「神仏は見ているし人も見ている、例えばだ」
 アルフレドはカレーを食べつつある歴史の例えを出した。
「張献忠という奴がいたが」
「中国系の名前?」
「中国の明代末期の奴だ」
「ああ、やっぱりね」
「ある地域を掌握したが」
 当時の中国の四川省の辺りだ。
「人をあらゆる方法で虐殺しとにかく人を殺すことに熱狂している奴だった」
「殺人鬼だったの」
「友人の首を集めて宴をして笑っていたという」
「絶対におかしいわね」
「本にそう書いてあるが」
 蜀碧という書だ、蜀の血という意味であり題名がそのまま書の内容になっている。
「しかしだ」
「実際の話なの?」
「当時の中国は群雄割拠で油断をすると他の勢力に攻められる」
「そんな状況だったら」
「しかも隣に梁紅玉という名将がいた」
 明王朝に忠義を尽くした女将軍だ、この時代の中国でも創作によく出て来る英雄の一人として人気がある。
「それで虐殺に夢中になっているとな」
「攻められるわね」
「逆に張献忠が攻めていた」
 その梁紅玉の勢力圏をだ。
「名将と言われるな」
「虐殺ばかりして攻められるの?」
「考えられないな」
「ちょっとね」
「確かに残虐な人物だった様だが」
 ある城を攻略する時にその城の者を皆殺しにしたことがあったという、中国ではこれを屠城と呼ぶ。
「実際にどうかと考えると」
「虐殺ばかりして他の勢力攻められないわね」
「三百万人殺したらしい」 
 三百万人いた四川省の人口が二万を切り死体の山が無数に積み上げられ血で川が出来る程だったという。
「何でもな」
「当時刀や弓矢や銃でそれだけ殺すって」
「相当な時間がかかるな」
「人手もね」
「そこまで虐殺に夢中になってだ」
「他の勢力攻められる筈ないし」
「逆に攻められる」
 その梁紅玉が虐殺を許さずしかもその時を攻め滅ぼす機会と判断してだ。
「そうなっていた」
「そうよね」
「梁紅玉は名将だったしな」
「名将に攻め滅ぼされない為にはね」
「虐殺にかまけていられない、それにだ」
 アルフレドはさらに話した。
「そんな奴の家臣になりたいか」
「家臣も殺しまくってたのよね」
「家族も虐殺して人の足を集めていて愛人の足を切り取ったこともあった」
 その蜀碧という書で書かれていることだ。
「当然家臣もかっとしてだ」
「簡単に殺していたのね」
「そんな奴に誰が従う」
「自分が何時殺されるかって思うと」
「逃げるか寝首を掻くな」
「殺されるよりね」
「住人も逃げるか叛乱を起こす」
 殺されるよりは、となってだ。 
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