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レーヴァティン

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第八十二話 最後の一人その九

「我々と比べてもでござる」
「全く引けを取っていない」
「闘い方こそ違えど」
「強いな、ではな」
「はい、仲間になりますと」
「戦力になる」
「一騎当千でござる」
 そこまでの強さだというのだ。
「安心してでござる」
「戦わせられるな」
「後は采配や政でござるな」
「それだな、俺達は全員強い」
「確かに。しかし」
「武勇とそうしたものは別だ」
 戦の場で軍勢を動かす采配、そして政のことはというのだ。
「全くな」
「どう学んできたかでござる」
「そういったものをな」
「さて、拙者達はそれが出来るか」
「全員学んできたと思うが」
 采配や政、そうしたものをというのだ。
「若しそうしたものが出来ないとだ」
「例え一騎当千の強さであろうとも」
「役立たずだ」
 英雄ははっきりと言い切った。
「まさにな」
「左様でござるな」
「俺達はむしろだ」
「武勇よりもでござるな」
「そちらが求められている」
「采配や政の資質が」
「そうしたものがないとだ」
 それならばというのだ。
「何の意味もない」
「左様ですね」
「また言うが役立たずだ」
「だからですね」
「旗揚げはするがそれまでもそれからもだ」
「そうしたことについて」
「学んでもらう、俺自身もだ」
 他ならぬ英雄自身もというのだ。
「学ぶ、既に学んできたが」
「学び過ぎるということはでござるな」
「ない、何でもまずはそのことを知らないとだ」
 そうでなければというのだ。
「才能があろうとも発揮出来ない」
「その通りでござるな」
「そうだ、まさにだ」
「采配も政も」
「知ることだ、そして知ろうとも」
「より深く広く知る」
「そうすることだ」
 こう言うのだった。
「そうすればさらにだ」
「よく出来る」
「一度読んだだけでは不十分なことも多い」
「だからでござるな」
「学ぶことだな、それでだが」
 英雄は今度は女に顔を向けて彼女に問うた。
「まだ名前を聞いていなかったが」
「はい、白山奈央です」
 女はここで名乗った。
「あちらの世界では八条大学文学部の二回生です」
「そうか、文学部か」
「年齢は二十歳です」
「俺達と同じだな。ではな」
「これからですね」
「宜しく頼む」
「神の道具は関口柔心の着物です」
 こちらはこうなっているというのだ。
「柔術の」
「その柔術家の力をか」
「受け継いでいます、そのこともあって」
「あの様な柔術が出来ているか」
「そして術も使えます」
 こちらも大丈夫だというのだ。
「ですから」
「戦力としてか」
「考えて頂ければ何よりです」
「こちらもそうさせてもらう、是非な」
「戦力としてですか」
「働いてもらう、ではだ」
「ここからですね」
「十二人揃った」
 全員がというのだ。
「それならだ」
「その十二人で、ですね」
「大坂まで行ってだ」
「あの地で旗揚げですね」
「そうする、時が来た」
 英雄はこう言った、そしてだった。
 仲間達と共に大坂に向かった、その地で旗揚げを行いそうしてそこからこの島ひいては世界を救うことを本格的にはじめるのだった。


第八十二話   完


                 2018・9・15 
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