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八条学園騒動記

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第四百九十三話 ドラッグその四

「一度やるとな」
「穴二つね」
「そうなるからな」
「だからよね」
「それもやれば」
 まさにというのだ。
「本当にな」
「破滅するわね」
「麻薬と同じで心がやられる」
 さもしくなりそこから狂気に陥ってだ。
「だからな」
「どっちもすべきじゃないわね」
「若しもだ」
「若しも?」
「両方に手を染めるとな」
 麻薬と呪いにだ。
「人間でなくなる早道だな」
「麻薬やったら人間辞めますか、だけれどね」
「廃人になるというな」
「呪いはね」
「あれにも捉われるとな」
「鬼になるっていうわね」
 人間の心でなくなりだ。
「そうなるからね」
「麻薬に呪いともなるとな」
「廃人で鬼?」
「恐ろしい有様になるだろうな」
「もうとんでもなさそうね」
「俺はそう思うがな」
「実際にそうでしょうね」 
 ビアンカは兄の言葉を否定せずに応えた。
「怖いことになるでしょうね」
「そうだろうな」
「麻薬って種類によるけれど」
 ビアンカはこう前置きしてから話した。
「一週間寝ないで済むのよね」
「それは覚醒剤だな」
「一週間寝ないと」
「そこまで寝ないとな」
「どれだけ身体に負担かかっているのか」
 一日の徹夜でも結構以上なものだ、三日間徹夜をして漫画を描いていた漫画家は六十代前半で世を去っている。
 それがだ、一週間となるとだ。
「身体凄い疲れてるわね」
「疲れるだけじゃない」
「そこまで身体を起こす力って」
「身体にどれだけ負担をかけるか」
「そうよね」
「そんな薬を使うとな」
 それこそというのだ。
「身体への負担は恐ろしい位だ」
「そのことを考えるだけでね」
「だから死ぬ寸前の作家が打ってだ」
 日本の作家織田作之助だ、結核だった彼は当時ヒロポンと呼ばれていた覚醒剤を打って死ぬ直前まで書いていたのだ。
「執筆していた」
「そこまでして書くのも凄いわね」
「結局亡くなったがな」 
 織田作之助は三十四歳の若さでその結核で東京で客死している、彼は生まれも育ちも活動拠点も大阪だったのだ。
「そうしていた」
「死期の人に執筆の力出させる位だから」
「相当なものなのがわかるな」
「ええ、しかもそれ引き出すのよね」
「無理にな」
 覚醒させてだ、だから覚醒剤と呼ばれるのだ。
「そうするからな」
「どう考えても身体に悪いわね」
「そんなものを身体に入れるとな」
「廃人間違いなしね」
「麻薬は魔薬だ」
 アルフレドはこうも言った。
「俺もそう思う」
「おじさんが言った通りね」
「そして呪いはな」
「あれは魔道っていうわね」
「そうだ、人の道じゃない」
 人を呪う、そのことはというのだ。 
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