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星河の覇皇

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第六十九部第二章 軍と警察その二十八

「しかし」
「それでもですね」
「衝突は恐るものではありませんが」
「無闇な衝突は避けるべきですね」
「それは順調な政治の進展を妨げます」
 即ち政治の遅延を招くというのだ。
「連合の政治はそれにより実際に遅延を繰り返してもきました」
「何かと」
「集権派と分権派の対立が緩やかなら」
 その場合の仮定もだ、金は八条に話した。
「連合の政治の遅延は遥かに穏やかで」
「それで、ですね」
「発展もです」
 政府が主導する形での国家、連合全体のそれもというのだ。
「していたでしょう」
「実際にそう言われていますね」
「数十年、いえ百年は」
「それ位のロスがですね」
「あったかも知れません」
 その対立によってだ。
「政治的対立は政治にとっては常ですが」
「特に民主政治では」
「はい、民主政治はです」
「政治的対立をぶつけ合う場所ですね」
「まさに」
 そうしたものだというのだ、民主政治は。
「それを市民に訴え」
「そして選挙で是非を問う」
「それが民主主義であり」
「こうしたことは当然ですね」
「しかしです」
 金はさらに言った。
「あまりにも対立が激しく」
「遅延が過ぎた」
「そうなっていたと思います」
 連合ではというのだ。
「残念なことに」
「その思いがあるからこそ」
「私としましても」
「対立を避けたいですね」
「過度なそれは」
「では」
「欲を出したいですが」
 中央政府の権限の拡大を目指したいというのだ、今以上に。
 しかしだ、それでもというのだった。
「それが政治の遅延を招くのなら」
「避けたいですね」
「遅延を招いてまで求めるものかというと」
「そうではない」
「そうも思いますので」
 電話の向こうの金の目は強い光を放っていた、彼女の持っている知的な強い光を放っている目であった。
「ですから」
「そこは避けて」
「そのケースも考えています」
 今実際にというのだ。
「欲を張りますと」
「よくありませんね」
「そこに焦りが出れば」
 出来るだけ多くを求めようとしてだ、急いで手に取るか周りが見えなくなってだ。
「失態につながります」
「だからですね」
「はい」
 その通りという返事だった。
「このことは」
「では」
「もう少し権限を拡大すべきと思いますが」
「それでもですね」
「それが水の泡になってはいけないので」
「だから」
「はい、絶対にです」
 それこそというのだ。
「このことは止めて」
「そうして」
 こう話してだ、そのうえで。
 金はあらゆるケースを考えてだった、そうして。
 八条にだ、こうも言ったのだった。 
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