| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十一話 東国その十三

「外から来た、即ち異邦人だ」
「そこだね」
「異邦人はそれだけで目立つ」
 本人の資質と関係なくというのだ、ただ髪の毛や目の色、服装等が違うだけで人はその者を見るものだ。
 それがだ、自分達と明らかに違う雰囲気を持つ者ならばというのだ。
「俺達もそうだな」
「そうだね、こうして普通にいてもね」
 桜子もこう述べた。
「視線感じるよ」
「それはだ」
「あたし達も異邦人だからだね」
「外の世界から来たな」
「だからだね」
「自然と目立つ、そしてだ」
「この街にいる奴も」
 最後の一人、この者もというのだ。
「目立っているんだね」
「間違いなくな、もっともこのことはな」
 異邦人であるだけで人は目立ってしまう、このことはというのだ。
「俺も最近になって気付いた」
「そうなんだね」
「自分が異邦人とははっきりと自覚していなかった」
 それ故にというのだ。
「だからだ」
「わからなかったんだね」
「前から視線は感じていた、しかしな」
「その視線もだね」
「異邦人を見るものとは考えていなかった」
 そこまで深くはというのだ。
「旅人を見る、そうしたものだとな」
「思っていたけれど」
「それが違った、俺達はやはりな」
「この世界では異邦人でだね」
「その分目立つ、そしてだ」
「最後の一人もだね」
「その筈だ、それが最大の手掛かりだ」
 他ならぬ自分自身が発しているそれだというのだ。それも常にだ。
「ならばな」
「異邦人をだね」
「今から探す」
 即ち最後の一人をというのだ、こう言ってだった。
 英雄は仲間達をそれぞれ分けてそのうえで最後の一人を探すことをはじめた、自分達と同じ異邦人であるその者を。


第八十一話   完


              2018・9・9 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧