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レーヴァティン

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第八十一話 東国その十二

「いいですね」
「むしろラーメンよりも違和感がないですね」
「そうなりますね」
「そうですね、チーズは身体にいいですね」
「食べていいですね」
「こちらも」
「そう思います、これは」 
 紅葉はチーズ、三角形に切られた白いそれを食べつつだった。今度はこうしたことを言ったのだった。
「違うお酒が欲しいですね」
「ワインか」
「はい」 
 こう耕平に答えた。
「そのお酒を」
「この島にもワインはあるが」
「葡萄酒ですね」
「西の島からの舶来品になるな」
「ある場所も限られていて」
「堺やそうした場所だ」
 つまり西の島と直接商いをしている場所だ、英雄が智と会ったその街には舶来品も多く売られているのだ。
「あるのはな、しかしな」
「あってもですね」
「高い」
 このこともあるというのだ。
「我等では何でもない金だが」
「普通の人が買うにはあまりにも高いですね」
「そしてこの街にはな」
 水戸にはというのだ。
「売っていない様だな」
「その様ですね」
「だからそれはな」
 ワイン、それまで望むことはというのだ。
「残念だがな」
「そうですね、では」
「起きた世界のことだ」
 そちらの世界の日本でというのだ。
「楽しむのならな」
「この世界では我慢します」
「それがいい、そしておそらくだが」
「ワインでなくても」
「昔の日本人は蘇でも米の酒を飲んでいた」
「日本酒を」
「そうしていたからな」
 実際にそうしていたことは間違いない、奈良時代の貴族達は蘇等乳製品を食べていたがその時の飲んでいた酒は米の酒であったことは間違いない。
「米の酒でもだ」
「いいですね」
「合う筈だ」
「それでは」
「米の酒の飲むか」
「チーズと一緒に」
 飲むのならとだ、紅葉は幸正の言葉に頷いた。そうしてだった。
 一行はチーズも食べてだった、それから。
 最後の一人を探しだした、ここで桜子が仲間達に言った。
「さて、水戸にいるとは聞いてるけれどね」
「どんな奴かだな」
「それがわからないんだよね」
「外から来た奴なのは間違いない」
 英雄は桜子にこう返した。
「これだけでだ」
「有力な手掛かり、だね」
「そうだ、外から世界から来た奴はただ能力が高いだけではない」
 それに止まらずというのだ。 
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