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レーヴァティン

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第八十一話 東国その十一

 一行は店員の言う通りにラーメンを食べた、全員一口麺をすすって噛んでそうしてから飲み込んで。
 すぐにだ、英雄が言った。
「麺の中に蓮根を入れているな」
「そうっちゃな」
 愛実はさらに一口食べて答えた。
「只の麺ではないっちゃ」
「それを入れている」
「これは意外っちゃな」
「ラーメンは小麦粉だ」
 それの麺だというのだ。
「しかしな」
「黄門様のラーメンはこうだったっちゃか」
「小麦粉の生地の中にな」
「蓮根も入れてるっちゃ」
「それが独特の味になっている」
「美味しいっちゃ」 
「これはこれでな」
 英雄も麺をすすりつつ述べた。
「美味い」
「そうっちゃな」
「ではな」
「もう一杯食べるっちゃな」
「いや、もう二杯だ」
「二杯っちゃ」
「それだけ食べたい」
 会わせて三杯だというのだ。
「この味はな」
「随分気に入ったみたいっちゃな」
「コシがあってスープも美味くてな」
 それにとだ、英雄は愛実にそのラーメンを食べつつ話した。
「麺のコシもいい、それに香辛料の味もな」
「いいからっちゃ」
「あと二杯食いたい」
「ううん、そう言われるとっちゃ」
 愛実も食べつつ述べた。
「うちもあと二杯っちゃ」
「それだけ食いたいか」
「そうしたいっちゃな」
 今食べている自分達の世界で水戸黄門が食べた日本ではじめてのラーメンこれをというのだ。
「この味は」
「拙者もござる」 
 智もこう言ってきた。
「これはあと二杯でござる」
「食いたいか」
「そうしたくなったでござる」
 美味い、だからだというのだ。
「それではでござる」
「どんどんおかわりをしていくか」
「そうするでござる」
 愛実や智だけでなく他の者達もだった、このラーメンがいたく気に入りおかわりをしていった。そうしてだった。
 ラーメンの後で乳製品を売っている店を見付けてチーズを食べた、すると今度は良太がこんなことを言った。
「これは蘇ですね」
「はい、まさに」
 謙二も食べつつ言った。
「それですね」
「都にある」
「まさにあれですね」
「あっ、蘇もでしたね」
 紅葉もチーズを食べつつ言ってきた、皆そのチーズにこちらの島では味わえない筈の西洋の味を感じていた。
「乳製品でしたね」
「そうです、そういえば蘇はです」
「チーズです」
 良太と謙二は紅葉にすぐに答えた。
「造り方もそうです」
「まさに日本のチーズです」
「醍醐や酪も乳製品ですが」
「蘇はまさにチーズです」
「食べてみてそれがわかりました」
 今チーズを食べてというのだ。
「素敵な味です」
「この島では本来味わえない味ですから余計にいいです」
「そうですね、私も蘇を食べたことがありますが」 
 紅葉はかつて一人で旅をしていた時のことを思い出しつつ述べた。
「チーズは蘇とそっくりの味と言っていいですね」
「色はこげ茶ですが、蘇は」
「味は同じですね」
「そうですね、そう思うとこの島にチーズがあっても」
 蘇があるのならとだ、紅葉はそのチーズを食べつつ述べた。 
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