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レーヴァティン

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第八十一話 東国その十

「どちらも様々な種類があってな」
「当然じゃのう」
「そうなる、それで中国ではな」
「拉麺は麺の一つぜよ」
「他にも様々な麺がある」
「うどんや素麺みたいなのう」
「日本のラーメンとは違う」
 英雄は言い切った。
「全くな」
「わしの友達で中国人おるがのう」
「俺にもいるがな」
「大学でじゃな」
「そうだ、同じ学部にな」
 中国からの留学生の友人がいるというのだ。
「いる、そしてだ」
「中国人が言うからのう」
「台湾人もな」
 これが香港の者でもマカオの者でもだ、中華圏の人間はラーメンと拉麺は全く違うものと言うのだ。
「そうだな」
「そうぜよ、あっちの拉麺は生地を引き延ばして作るぜよ」
 そうして作るというのだ。
「日本のラーメンと違うぜよ」
「そうだな」
「それでそのラーメンのはじまりがのう」
「水戸だった」
「黄門さんがあっちの学者さんが日本に来ていてじゃったな」
「作らせて食べたのがはじまりだ」
 このことは史実にある、水戸黄門こと徳川光圀は好奇心旺盛な人物でそれが食事についても向けられていたのだ。
「それでだ」
「ラーメンも食べたのう」
「そしてそのラーメンをだ」
「今からじゃな」
「食おう、日本の最初の頃のラーメンをな」
 こう言って店を探した、するとだった。
 暫くして『らーめん』とのれんにそれこそうどんや蕎麦屋の様に書いてある店を見付けた、のれんの色は深緑だったが確かにだった。
 そう書いてあった、愛実はその店の名前を見て言った。
「ここだっちゃな」
「そうだね」
 桜子が愛実に応えた、
「ラーメン屋さんだね」
「そうっちゃな」
「じゃあここに入ればね」
「ラーメンを食べられるっちゃ」
「入るね」
 ここでだ、桜子は英雄に尋ねた。
「そうするね」
「そうだ、ではな」
「今から入って」
「ラーメンを食う」
「そうしようね」
 桜子は英雄に笑って応えた、そうして全員でだった。
 店の大きな卓に座って一斉に座った、そのうえでラーメンを頼んだ。するとだった。
 うどんの丼の中に縮れた蓮根の色が加わった麺とだ。
 鳥ガラスープと思われるスープもありだ、鶏のものと思われるチャーシューに。
 ラッキョに大蒜、韮、葱、生姜というものが丼と共に出された皿の中のあった、そうしたものを見てだった。
 すぐにだ、峰夫が仲間達に話した。
「このラッキョ等をでありますな」
「ラーメンの中に入れてでござるな」
 智がその峰夫に応えた。
「食べるでござるな」
「入れて混ぜて食べて下さい」
 ラーメンを運んできた店の者が言ってきた。
「ラーメンの中に」
「そうして食べるでありますな」
「はい」
 その通りだとだ、店の者は峰夫に答えた。
「そうして召し上がって下さい」
「では」
 彼等も応えてだ、そうしてだった。 
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