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戦国異伝供書

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第二十話 東の戦その九

「必ず勝てると思います」
「武田家に、そして」
「真田源次郎にも。しかしあの者は」
 家康は飲みつつ羽柴にさらに話した。
「強いだけでなく心も確かな者と聞いております」
「心技体が備わっているのですな」
「そうした者なので降して家臣にすれば」
「その時はですな」
「武田家の諸将の中でもです」
「かの信玄殿と共に」
「天下の力になります」
 そうなるというのだ。
「ですから是非です」
「家臣にして大事にすべきですか」
「その下にいる十勇士達も。そして武田家の後は上杉家ですな」
 家康は羽柴に次の戦のことも尋ねた。
「左様ですな」
「はい、あの家ともです」
「戦いまするな」
「そうなるかと」
「上杉家は二十五将、そして」
 家康はこの家の人材についてもだ、羽柴に話した。
「その中でもです」
「優れた御仁がいますか」
「そうです、あの家の若き執権直江山城守ですが」
 直江兼続のことを言うのだった。
「あの者もです」
「恐るべき者であるだけに」
「家臣にすれば」
「大きな力となりますか」
「はい、ですから以前吉法師殿に文でお話しましたが」
「明日徳川殿が直接ですか」
「お話したいと思っております」
 こう秀吉に言うのだった。
「その様に」
「ううむ、天下の英傑二人ですか」
「まだ若いですが」
「その二人を入れれば」
 それでというのだ。
「織田家の天下はさらに盤石なものとなり」
「いざという時にもですな」
「二人がいれば」
 その時はというのだ。
「吉法師殿のお力にもなります」
「だからこそですか」
「二人を織田家に加えることです」
「何としてもですな」
「織田家は多くの優れた家臣の方々も強さですが」
 その石高や銭、兵の数等だけでなくだ。
「そこにです」
「さらにですな」
「あの二人が加われば余計に盤石になりますので」
 そうだからこそというのだ。
「どうかです」
「ですか、そしてですな」
「明日吉法師殿にお話します」
「それがいいかと、殿のお力になるならば」
 羽柴にしてもだった。
「それがしにとっても心強いことですから」
「だからですな」
「はい、そしてそれがし自身も」
「今以上に励まれてですな」
「やがて国持大名に、百姓の倅あがりがです」
 そこまでなればというのだ。
「どれだけ嬉しいか、母上にも孝行が出来まするしな」
「そういえば羽柴殿のお母上は今もお元気ですな」
「お陰で」
「それは何より。それがしの母上もです」
 家康は笑いながら自身の母のことも話した。
「今もお元気で」
「浜松においてですな」
「幸せに暮らされています、そして後には」
「駿府にですな」
「移っていただき」
 徳川家は武田家との戦の後で武田家から駿河を貰うことを信長から約束されている、遠江の東もだ。 
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