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八条学園騒動記

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第四百九十二話 再びざわざわその六

「いいんだよ」
「主人公でもですか」
「かなり個性的ですけれど」
「個性が強くてもな」
 それでもというのだ。
「迷惑じゃないからな」
「ヤクザ屋さんって迷惑かけるのが仕事ですからね」
 ビアンカははっきりと言った、
「どうしても」
「悪いことをすることがな」
「だからヤクザ屋さんですから」
 この認識はこの時代でも変わらない。
「それで、ですね」
「来てもらうと迷惑なんだよ」
「どうしても」
「それでな」
「いつもお断りですね」
「そうしてるんだけれどな」
 それでもというのだ。
「来るからな、貼り紙してあっても」
「それは厄介ですね」
「というかどうして何度も来るんですか?」
 アルフレドはおじさんにこのことを尋ねた。
「ヤクザ屋さんは。別々の人が来るにしても」
「何でもいい店って聞いてな」
「それで、ですか」
「ネットでも評判になっていてな」
 いい店と、というのだ。
「それでなんだよ」
「評判がよくて」
「ヤクザ屋さんの耳にも届いてな」
「それで、ですか」
「来るんだよ」
 こうアルフレドに話した。
「サービスがよくて店が奇麗だってな」
「それはいいことですよね」
「だからお客さんが来てくれるけれどな」
「いいお客さんじゃないんですね」
「どの店でもそうだろ」
 それこそ店のジャンルに関わらず、というのだ。
「悪いお客さんも来るんだよ」
「ヤクザ屋さんみたいな」
「マナーの悪い人もな」
 例えヤクザ屋さんでなくてもというのだ。
「飲み過ぎてな」
「それもあれですね」
「あれだよ」
「困りますね」
「飲むからな」
 雀荘でもというのだ。
「飲みもののサービスもやってるしな」
「そこでお酒もですね」
「出るさ、ビールなんかな」
 この時代でもポピュラーなこの酒はというと。
「凄い売れるんだよ」
「そうなんですね」
「あんた達も好きか?」 
 おじさんは二人にそのビールのことも聞いてきた、そうしつつ一緒にフロアの端の休憩コーナーに向かった。そこには椅子だけでなく自動販売機と缶や紙コップを捨てるゴミ箱までしっかりと用意されている。
「ビールは」
「家でよく飲みます」
「買って」
 二人共おじさんにすぐに答えた。
「特に黒ビールが好きです」
「ソーセージと一緒に飲みます」
「そうか、雀荘じゃ夏に特に売れてな」 
 それでとだ、おじさんは二人の言葉を受けてさらに話した。
「酔ってな」
「暴れる人とかいますか」
「我を忘れて」
「そうだよ、もうな」
 その酔った人はというのだ。 
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