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レーヴァティン

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第八十一話 東国その六

「ですから」
「納豆が嫌いでもだね」
「食べないといけないですが」
「あんた納豆嫌いかい?」
「好きです、ただ実家の祖父殿が」
 起きた世界での彼はというと。
「食べられなくて」
「それでだね」
「家族で食べていました」
「昔の関西の人だったんだね」
「何故腐った豆を食べるのか」
 実際にこう言っていたというのだ。
「今も言っておられます」
「本当に昔の関西の人だね」
「他のものは召し上がられますが」
 僧侶らしく出されたものは残さず食べるがというのだ、お布施の大切さを考えてそれで食べものは残さないのだ。
「ですが」
「納豆だけはだね」
「どうしてもなのです」
「まあ関東でもいるけれどね」
「納豆がどうしても駄目という人は」
「人には好き嫌いがあってしかも納豆は癖があるからね」
 だからだというのだ。
「どうしてもね」
「関東でもそうした人がいますか」
「納豆巻きもね」
 先程食べた寿司の話もするのだった。
「そうなんだよ」
「やはり人それぞれですね」
「そうだね、じゃあその納豆の水戸にだね」
「今からですね」
「行こうね」
 笑顔で言ってだ、そしてだった。
 一行は江戸を出て水戸の方に向かった、途中の道中でもだった。
 魔物達が出て来た、桜子は自ら前に出て刀を振るって倒した、それも幾度もだ。身体の動きもよく紅葉は大百足を倒した彼女に尋ねた。
「あの、博打打とのことですが」
「ああ、剣術も出来るんだよ」
「そうですか」
「そして神様の道具もな」
「その刀ですか」
「国定忠治だよ」
 笑ってだ、桜子は自分の神の道具の名前も言った。
「あの国定忠治さんが持っていたっていうね」
「あの刀ですか」
「それでだよ」
 その刀を持ってというのだ。
「博打の運もくれるし」
「いい刀ですか」
「ああ、勿論切れ味もいいしね」
 刀として重要なこの要素もあるというのだ。
「いい刀だよ」
「それは何よりですね」
「あたしの強い味方だよ」
 笑ってだ、桜子はこうも言った。
「忠治さんのそれみたいにね」
「そうなのですね」
「まああたしはあの人と違って山賊でも本物のヤクザ屋さんでもないけれどね」
 史実の国定忠治は両方であると言えた人物だった、どちらにしてもアウトローの人物であったことは間違いない。
「それでもね」
「侠気はですか」
「あるつもりだからね」
「だからですか」
「この道具を持っているんだろうね」
 その虎徹をというのだ。
「そうだろうね」
「そうですか」
「ああ、それでね」
「その虎徹で、ですね」
「あたしは旅の間ずっと戦ってきたし」
 道中の魔物達と、というのだ。
「そしてね」
「江戸に着いてですか」
「ああ、そうだよ」
 そしてというのだ。 
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