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レーヴァティン

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第八十話 繁栄の中でその十二

「そうなる」
「そっちの方が厳しいね」
「威張っている客は許されない」
 そうした場所だというのだ。
「食いものの店でなくてもな」
「店の人の態度が悪いとだね」
「潰れる、一度ビデオショップで見た」
 どんなビデオ、今で言うDVDを揃えているかが重要な店だがというのだ。
「客が抗議してここはこうした店だと居直った」
「店員が何かしたんだね」
「何をしたかまでは見ていないが」
 それでもというのだ。
「客が怒って俺は客だぞと言ってもな」
「ここはこうした店だ、か」
「睨んで言っていた」
「理由はどうでもお客さんに対する態度じゃないね」
「その時からすぐに潰れた」
「というかよくそんな店員雇ったね」
「雇う方もおかしいがな」
 おかしな店員を雇う経営側もというのだ。
「そもそもな、しかしな」
「その店員の態度が噂になってかい」
「店の客がどんどん減ってだ」
「潰れたんだね」
「そうなった」
 実際にというのだ。
「潰れるまで一瞬だった」
「一瞬かい」
「本当にな、だからな」
「そっちは店の人の態度はこっちより大事ってことだね」
「若しこっちの寿司屋みたいな態度ならな」
「関西じゃ駄目だね」
「そうだ、ではな」
「ああ、皆でね」
 桜子は笑顔で応えて話した。
「お寿司食べようね」
「そうしてから江戸を出てだな」
「水戸にも行こうね」
「そうするか」
 英雄も応えた、そうしてだった。
 二人は菓子を食べ終えると頭に事情を話した、すると頭もそれならということになって二人を送った。そして店を出た時にだ。
 英雄は隣にいる桜子にこんなことを言った。
「思ったよりだ」
「いい人だろ」
「刺青はあるがな」
「確かに刺青はあって柄は悪いがね」
「真っ当ではあるか」
「そうさ、ヤクザ屋さんに見えてもね」
「そこまではいかなくてだな」
 桜子に顔を向けて述べた。
「店を出ることも許してくれたか」
「前から話していたしね」
「成程な、ではな」
「今からだね」
「仲間達に連絡をする、そしてな」
「合流だね」
「そうして寿司を食う」
 このことは絶対だった、そうしてだった。
 二人で仲間達と合流した、英雄は江戸でも無事に仲間を手に入れることが出来た。残りは遂に一人となった。


第八十話   完


                   2018・9・1 
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