異世界転移した最強の俺、追放されたSSS級冒険者（美少女）を拾う

　中の人専用の入り口から、神殿内部に俺達は入る。
　見ている範囲では簡素な造り、といった雰囲気だった。
　信者がいる部分は派手に飾っているのかもしれない。

　そう考えるとお祈りの人達と一緒に中に入った方が楽しかったのかもしれない。
　などと考えているとそこでキャサリンが、

「そういえば皆様にお聞きしたいことがあるのですがよろしいですか？」
「なんでしょう」

　俺がそう答えるとキャサリンは、

「これまでに何らかの……新興宗教である“教団”のやらかした件に関する依頼を受ける、もしくは戦闘に巻き込まれたことはありますか？」
「俺達はある。エリカはどうだ？」
「あるわ。ただ、その時の人物たちは全員、今はどこかの牢屋の中にいるはずだけれど」

　エリカがそう答える。
　それを聞きながら俺は、そういえばぶちのめしただけでその後は賞金がかかってそうな奴がいるかもしれないと連れて行って、

「そのまま放置だったな。賞金がかかっていたから少しそれをもらって終わりだったか。実害がほとんどないから、今頃は自由の身なんじゃないのか？」

　俺がそう話すとキャサリンは少し考えてから、

「自分たちに敵対している人物も、その“教団”は狙っているようなんです。なんでも、『妨げとなる小さな石も、退けねばならない』との事です」
「……どうでもいい所に時間を割いていると、大事な所が抜け落ちる気がするんだよな。それに、余計な人物のしっぽを踏んで反撃もされるだろうし……いいのか？」
「その方が好都合です。自分から敵の正体を気づかせてくれるのですから」

　キャサリンがしれっとそう告げると同時に、そこで、大きな扉の前にたどり着く。
　他とは明らかに違うその場所。
　キャサリンはドアのノックを二回行ってから、

「アイル神官長。客人をお連れしました」
「どうぞ」

　部屋からそんな声がしてキャサリンが扉を開く。
　そこには若い男性がいて、彼は俺達に微笑み、

「お待ちしておりました。私はここの神殿をまかされているアイルと申します。現在は神官長を……」

　そこでアイルは表情が驚いたものに変わり、言葉を切った。
　代わりにじっと、誰かを見ているらしい。
　俺の後ろにいる誰かだが……。

　その視線を追って俺が振り向くと、そこにはルーシーがいた。
　しばし見つめあう、ルーシーとアイル神官長。

「……」
「……」

　そこでルーシーがアイル神官長の視線を避けるかのように、すっと俺の背後に隠れた。
　やはり神殿というだけあったこの神官長、ルーシーの正体に気づいてしまったのだろうか？
　ここはどうするべきだろうかと俺は思っているとそこでアイル神官長は、

「これは世間話なのですが……この神殿はなかなか古いものでして、時折、女神様と直接お会いしたものたちが輩出されているのです」
「そうなのですか」

　何となくバレてそうだなと思いながら俺は相槌を打つ。
　俺の後ろでルーシーが俺の服を掴んでいたりするが、どうしようかと俺が思っているとそこでさらにアイル神官長が、

「それでその女神のお姿を像に留めたいと、彫刻家に弟子入りしたものが百年ほど前におりまして、その人物が作った像がいくつもこの神殿には飾られていたりするのです。あとでご覧になってはいかがでしょうか」

　そう、そこで再び微笑みながらアイル神官長は言ったのだった。