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レーヴァティン

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第七十九話 江戸の街その七

「それは相当な力たいな」
「それだけの力を使えば」
「道具も力を消耗するたい、その力を使えば数ヶ月は力がかなり弱まると聞いてるとよ」
「そしてその数ヶ月が」
「下手したら命を失うとよ」
 その間に激しい戦いがあったとしたらだ。
「だからたい」
「その力を使うことは」
「うちもしないたい」
 こう言うのだった。
「それに魂まで消すことは」
「この世界ではかなりの重罪人でもない限りしないこと」
「だからたい」
 それ故にというのだ。
「うちも使ったことはないたいし」
「これからもでありますね」
「使わないたい」
 そのつもりはないというのだ。
「おそらく」
「わかったであります」
 峰夫もここまで聞いて納得した。
「それでは」
「わかったとよ」
 香織もこう返した、そしてだった。
 当季が捌いた刺身を全員で食べた、それは見事な大きさのハマチのものだったがそのハマチを食べながらだ。
 その調理した当季がこんなことを言った。
「ほんまは川や湖におるからのう」
「淡水魚やからやな」
「絶対に生では食わんぜよ」
 こう耕平に言った。
「それは駄目ぜよ」
「そや、生の川魚なんてな」
「虫が一杯ぜよ」
「鯉とかでもな」
「例えばピラルクぜよ」
 当季はアマゾンにいる世界最大の淡水魚の話をした。
「あの魚は美味いっちゅうが」
「あの魚もやな」
「日本人はあっちで刺身で食いたがるっちゅうが」
「食ったらあかんな」
「虫が一杯じゃ」
 寄生虫がというのだ。
「だから美味くてもぜよ」
「刺身やなくてな」
「火を通して食うべきぜよ」
「ほんまにな」
「それでこのハマチもぜよ」 
 捌いたそれもというのだ。
「実は氷の術で氷の中に入れておいたぜよ」
「そうして中の虫殺したんやな」
「火を通すか徹底的に冷やすか」
 そのどちらかをしてというのだ。
「虫は殺しておくべきぜよ」
「そうしてやな」
「今食っちょる」
 その刺身をというのだ。
「そうしているぜよ」
「ええこっちゃ、刺身食うならな」
 淡水魚のそれをだ、この島は海がなく淡水ばかりなので島にいる魚は全て淡水魚となるのだ。それがハマチでもだ。
「そうせなな」
「用心ぜよ」
「そういえば湖の魚普通に食ってたわ、それがし達も」
「今回は何か気になってのう」 
 それでというのだ。
「冷やしたぜよ」
「気になってかいな」
「そうぜよ」
「成程な」
「魚は大事ぜよ」
「虫のことが」
「祖父ちゃんに言われていたぜよ」
 こうも言う当季だった。
「高知ののう」
「高知のかいな」
「そうぜよ」
「高知でも川魚食うんか」
 前に海が広がっている、耕平は高知県のそのイメージから話した。 
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