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八条学園騒動記

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第四百八十七話 ざわざわとその九

「ドイツ軍の」
「あの国のなの」
「男爵っていうだけ貴族出身で」
「ああ、貴族ね」
 部長は貴族と聞いてすぐに嫌そうな顔になった、彼女も連合の者ということか。
「凄く嫌な奴だったの」
「いえ、騎士道精神に溢れた軍人だったそうです」
「そうだったの」
「勇敢で仲間思いで」
「高慢でふんぞり返っていなかったの」
 これが連合のエウロパ貴族のイメージだ、ただしステレオタイプ化されていて偏見と言えばそうなる。
「その人は」
「そういうところはあまり」
「そうだったのね」
「それで大活躍していて」
「エースで」
「それでだったんです」
 アルフレドはさらに話した。
「乗っている機体は」
「赤く塗っていたの」
「それでレッドバロンだったともです」
「言われているのね」
「自分が乗っているって示す為だったそうです」
 機体を赤く塗装していたのはだ。
「実際凄く目立ったそうです」
「赤い彗星も目立ってるしね」
 アニメの方のこともだ、部長は話した。
「仮面も被って」
「あの仮面ですね」
「正直正体丸わかりだけれど」
 第一話で正体がわかる展開は当時極めて斬新だった。
「それでもね」
「仮面を被って軍服もね」
「何かオリジナルデザイン入っていて」
「目立ってるけれど」
「モデルになった人もです」
「レッドバロンで」
「凄腕のエースだったんですよ」
「そうなのね、まあモデルがエウロパでも」
 部長としてはだった。
「私はね」
「いいですか」
「赤い彗星だから」
「そのキャラだからですか」
「赤いカラーの時はね」
「あくまでそちらですか」
「レッドバロンはどうでもいいわ」
 赤い彗星、部長が好きなそのキャラクターのモデルでもというのだ。
「正直ね」
「そうですか」
「それにレッドバロンって一次大戦よね」
「その時の人です」
 先程話した通りにとだ。アルフレドは話した。
「複葉機に乗っていた」
「プロペラの」
「はい、羽根が上下に二枚ある」
「今は博物館にあるわよね」
「飛んでることは飛んでますよ」
 この時代でもというのだ。
「マニアの人が乗っています」
「そうなの」
「ライト兄弟の時の」
 飛行機を発明した兄弟だ、弟が最初に乗ってそのうえで人類初の飛行機で空を飛んだ者となっている。
「あの時のものだって人気あるんですよ」
「マニアの人達の間ではそうなのね」
「それもかなり」
「じゃあ赤く塗ったりとか」
「そうした人もいると思いますよ」
「そうなのね」
「連合にはいなくても」
 それでもというのだ。
「エウロパにはいると思いますよ」
「まさにレッドバロンね」
「ええ、とにかくあの時代の飛行機も」
 複葉機もというのだ。
「今も飛んでいますよ」
「そうなのね」
「まあプロペラ機はすっかりマニアのものになっていますけれど」
 この時代では完全に過去の遺物になっている。 
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