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レーヴァティン

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第七十六話 ローマに行ってその六

「僕達はしたら駄目だよ」
「病気のこともしっかりとな」
「そう、政治をしてね」
「やっていくべきだな」
「そうだよ、このパリみたいにね」
「奇麗じゃないとな」
「駄目だよ」
 これが剛の言いたいことだった。
「街はね」
「その通りだな、この島にもペストとかあるよな」
「あるにはあっても」
「衛生がしっかりしてるからな」
「流行はしないんだ」
「そうだな、ペストなんて流行したら」
 久志は歴史の知識から話した。
「それこそな」
「あれは怖いよ」
「日本人は知らないけれどな」
 日本でペストが流行したことはない、コレラはあるがコレラといえどその恐ろしさはペストより遥かにましだ。
「それでもな」
「そう、世界ではね」
「よく知られているな」
「何回か大流行して」
 欧州においてが一番有名だが中国で流行したこともある。
「それでね」
「大勢の人が死んでいるからな」
「ペストを起こさない為にはね」
「やっぱり最初からな」
「衛生がしっかりしていることだよ」
「街を奇麗にすることか」
「そう、そこからだからね」
 剛は久志に話した。
「だからね」
「トイレもしっかりとか」
「していこうね」
「そうだな、そりゃ道の端に捨てたままだとな」
「臭いし汚いし」
「そのペストが流行ってな」
「いいことは何もないからね」
 あの予言者ノストラダムスは本職は医者だった、そして医者として街の道を石灰水で徹底的に洗う様に言ったのはペスト対策の消毒だったのだ。
「本当にね」
「街も奇麗にしていくか」
「それがいいよ」
「わかった、じゃあそうしたこともな」
「政治としてやっていこうね」
「旗揚げしたらな」
 実際に政治をする時になればとだ、久志も応えた。そして愛馬だけでなく船も使って最短距離でだった。
 一行はローマに戻った、その見事な城壁と正門を見てだった。久志は仲間達に真剣な顔でこう言った。
「遂にな」
「この時が来た、ですね」
「ああ、そうな」
 実際にとだ、久志は夕子に答えた。
「思ったぜ」
「そうですね、では」
「まずはこの街をか」
「完全に一つにしてです」
「そうしてだな」
「はじめていきましょう」
「そうしような、最初からやることは多いな」
 旗揚げ、そこに至るまでにもというのだ。
「十二人揃って戻ってきたけれどな」
「その通りです、聖と俗の問題もありますし」
「宗教か」
「政教分離もです」
 このこともというのだ。
「まずです」
「ちゃんとしてか」
「そうしてです」
 そのうえでというのだ。
「どうするか」
「これからな」
「そうした問題もありますので」
「そうだよな、やることはな」
「実に多いです」
「そうだな、じゃあ俺達は今からな」
「はじめましょう」
「その第一歩だな」 
 久志はこうも言った。 
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