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レーヴァティン

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第七十六話 ローマに行ってその五

「奇麗な街でいいね」
「街並だけじゃないよな」
「うん、ゴミも少なくてね」
 道に散らばっているそれもだ。
「いいね」
「そうだよな、俺達の起きている世界だとな」
「ルネサンス時代とかまではね」
 この島のパリが丁度そうした時代の街だ。
「もうね」
「道の端にゴミとか汚物捨てていてな」
「家のをね」
 当時の欧州では家にトイレがなかった、壺等で用を足してそれを窓から外に捨てていたのである。それが道の端にあったのだ。
「それで酷かったんだよね」
「凄い汚くてな」
「その汚い中を鼠が走り回ってて」
「ペストの元になったんだな」
「この島のお家には何処にもおトイレがあるから」
 中には街の計画が進んでいて水洗のものもある。
「いいね」
「そうだよな」
「出したものは肥料に使ってるし」
「あれもいいんだよな」
「うん、ゴミとか汚物は下手に捨てたままだとね」
「疫病の元だからな」
「ペストにしてもね」
 久志が今言ったその病気にしてもというのだ。
「そこから大流行してね」
「大変なことになったからな」
「この島は衛生観念がしっかりしていてね」
「その分疫病の心配もないな」
「ペストなんて流行したら」
 それこそとだ、剛は曇った顔で話した。
「人がどれだけ死ぬか」
「当時の欧州の三分の一が死んだっていうからな」
「もうそこまで死んだら」
 それこそというのだ。
「社会構造とかね」
「実際欧州のそれが変わったからな」
「だからね」
「疫病のこともな」
「考えていくべきだね」
「俺達もな」
「家にトイレ位ないと」
 そして汚物を処理出来る状況も整っていなければだ。
「どうしようもないよ」
「そうだな」
「簡単な様でね」
「忘れたらいけないな」
「絶対に出るから」
 人間が存在していればだ。
「それだけでね」
「ゴミにしろ何にしろな」
「それでそうした出るものをどうするか」
「それも政治だよな」
「さもないと大変なことになるから」 
 奇病が起こるというのだ。
「だからね」
「衛生管理も政のうちか」
「街も村もね」
「両方だよな」
「人のいる場所はね。人口とか汚れやすさとかその場所の地理も考えて」
「やっていかないと国は駄目になるか」
「疫病なんて起こしたら」
 この場合は衛生行政の怠慢によってだ。
「統治者失格だよ」
「そうだよな、日本でもあったな」
「宮崎の牛のあれだね」
「あの時の政権の農水大臣が大騒ぎの時に外遊したな」
「あんなことをしたしその前の行政も酷くてね」
「あんな騒ぎになったんだよな」
「あれは政治家失格だから」
 そう言ってもいいとだ、剛はいつもの朴訥な口調に少し怒りを込めて述べた。 
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