八条学園騒動記
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第四百八十六話 双子の閃きその二
「しかしな」
「それでもよね」
「敵役は自業自得でもな」
「辛いでしょうね」
「追い詰められている時はな」
最初の余裕なぞ完全に消え去ってだ。
「何とか挽回しよう、覆そうとあがいてな」
「結局負けるのよね」
「それで屈辱の土下座もあるな」
「あえて用意した土下座する場所でね」
下が焼けているそこでだ。
「辛いわよね」
「敵にとってはな」
「ええ、しかも読者はね」
つまり自分達はとだ、ビアンカは話した。
「それを見て笑うのよ」
「最初のインパクトが強烈でか」
「外道な第一印象なら余計にね」
傲慢であったり卑劣であったりすればする程いいのだ、そうした人間の良心や倫理観を刺激するキャラクターならばだ。
「もうそいつが負けた時はね」
「痛快だな」
「追い詰められていく様が楽しくて」
「本当に黒い笑いだな」
「そうよね、ブラックよね」
ビアンカもこう返した。
「それで兄さんもなのね」
「そんな黒いギャグを読んでな」
「面白いって思ったのね」
「それもかなりな」
「そしてその演出でね」
「ざわざわがだな」
「評判なのよ」
この時代でもだ。
「面白いってことでね」
「そうなんだな、確かにな」
「ざわざわ面白いわね」
「ああ」
実際にとだ、アルフレドはビアンカに答えた。
「癖になりそうだ」
「だから今も残っているのよ」
「二十一世紀からか」
「二十世紀の最後の方じゃないかしら」
オリジナルの作者が描きはじめたのはというのだ。
「その頃からね」
「描かれていてか」
「だからね」
「二十世紀から今もか」
「残ってるけれど」
それがというのだ。
「面白い演出だからよ」
「残るんだな」
「今じゃ日本語以外でも使われているし」
「銀河語でもな」
「それだけの演出なのよ」
「成程な」
「その漫画私も知ってたけれど」
ビアンカはアルフレドにあらためて話した。
「兄さんが読んでいたのは本当に意外よ」
「偶然からだったからな」
「読みはじめたのは」
「それからだったが」
「それが面白くて」
「今も読んでいる」
こう言い切った。
「そしてこれからも読みたい」
「そういうことね」
「この演出は漫画以外にも使えないか」
アルフレドはこうも言った。
「そうも思ったが」
「漫画以外にもなの」
「そうだ、効果音等でな」
「まあね」
アルフレドのその話を受けてだ、ビアンカは少し考えてからそのうえで双子の兄に対してこう答えた。
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