| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四百八十話 それで終わらずその七

「本当に殺してなかったの?」
「そう思うわよね」
「ええ、実はとかじゃないかしら」
「そうした話もあるわ」
 メグもエイミーのその疑問を否定せずに答えた。
「実際にね」
「やっぱりそうなのね」
「ええ、何しろ調べた大久保利通は」
 この明治の元勲として日本では今でも知られている人物はというと。
「黒田清隆と同郷だから」
「そうなの」
「同じ薩摩の出なのよ」
「今の薩摩星系じゃなくて」
「そう、その頃の薩摩よ」
 日本の九州の最南端にあったこの国だというのだ。
「だからね」
「ううん、同郷の誼でとか」
「それがどうも否定出来ないから」
 それでというのだ。
「お墓を掘り返すことも大概だけれど」
「それをあえてやって検死してなの」
「確かめて言ったけれどね」
「そうなのね」
「だから疑わしいのね」
「そうした説もあるわ」
「というかあれじゃないの?」
 今度はジョーが言ってきた。
「冗談抜きに殺してたんじゃないの?」
「ジョーお姉ちゃんもそう思うのね」
「ええ、思うわ」
 ジョーはエイミーにすぐに答えた。
「私はね」
「そうよね」
「だってこうしたお話ってね」
「出るべくして出て」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「真実の場合が多いから」
「それでなの」
「ええ、勿論そうでない場合もあるけれど」
「こうしたお話なの」
「何故か実際の場合があるのよ」
 こうした不祥事の話はというのだ。
「だからね」
「ううん、そうしたものかしら」
「少なくとも尋常なお話じゃないわね」
 ベスもこう言った。
「やっぱり」
「奥さんを殺したとかね」
「立派な殺人事件じゃない」
「そんなことを今やったら」
「どんな人でも終わりよ」
 この時代の連合ではだ、どれだけ力を持っている政治家でも政敵にこのことを言われてスキャンダルになり確実に失脚する。
「確実にね」
「そうなるわね」
 メグもこう言った。
「今だと」
「そうでしょ」
「ならない筈がないわ」
 メグはベス、彼女から見て次妹である彼女にも話した。
「それで裁判にかけられてね」
「有罪になって」
「死刑ね」
 連合の酸鼻極まるそれが待っているというのだ。
「そうなるわ」
「そうよね」
「当時でも失脚ものだったし」
「若しそんなお話が事実なら」
「伊藤博文さんも実は女性を手籠めにしなかったし」
 その噂話は嘘であったという、伊藤博文は遊ぶ相手の女は選ぶタイプで有力者の妾になっていない様な若い無名の娘ばかり選んでいたという。こうした配慮も出来る人物だったのだ。しかも無理強いはしない男だった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧