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八条学園騒動記

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第四百八十話 それで終わらずその六

「本当にね」
「私が酒乱でなくて」
「よかったわ」
 こう思っているというのだ。
「本当にね」
「それを言ったら四人共よね」
「そうよね、酒乱の人が一人でもいたら」
「大変だから」
 家族の中にというのだ。
「中には刀抜く人もいたそうだし」
「酔ってなの」
「そう、それで奥さんを切ったとかね」
「そんなお話もあるの」
「本当かどうかわからないけれど」
 それでもというのだ。
「日本にそうした人いるらしいわ」
「それ今の人じゃないわよね」
「明治の頃の人よ」
 その人は誰かというと。
「黒田清隆っていうね」
「その人は確か」
 ベスは名前を聞いてすぐに言った。
「明治の日本の政治家の人よね」
「日本の発展に貢献したね」 
 メグもこう話す。
「凄い人よ」
「そうよね」
「けれど何か酒乱だったらしくて」
「そんなことをしたの」
「そうした話もあるのよ」
「それ本当?」
 ジョーはその話に怪訝な顔で問い返した。
「そこまでの酒乱だったって」
「噂ではね」
「噂でしょ」
「ええ、けれどそうしたお話もあって酒乱のことはね」
「事実なのね」
「そうらしいわ、病的だったっていうから」
 そこまでの酒乱だったというのだ。
「大変だったみたいよ」
「そうなのね」
「それでね」
「そんな話もあるの」
「実際に最初の奥さん急死していて」
 そしてというのだ。
「お墓掘り返されて調べられたそうよ」
「本当に切られたのか」
「そうみたいよ」
「かなり疑われたのね」
「ええ、けれど違ったっていうけれど」 
 要するに黒田は妻を殺していなかったというのだ。
「どうもね、けれどね」
「そこで疑われるレベルだったのね」
「そこまでの酒乱だったらしいわ」
「酔って刀抜いて奥さん切り殺すとか」
 エイミーはその噂が真実ならと話した。
「最低どころか」
「犯罪者よね」
「完全にそれじゃない」
「今だったら確実に殺人罪よ」 
 それになるというのだ。
「当時も失脚がね」
「言われていたのね」
「この噂を明治天皇が聞いて」
 この方がというのだ。
「本当かってなってね」
「それで調べられて」
「幸いというか」
「何もなかったの」
「そうらしいわ」
「それ本当?」
 エイミーは話をしてくれたメグにかなり疑わし気な顔を見せて聞き返した。 
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