| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四百七十九話 お菓子にはその十

 しかしだ、今の連合はどうか。
「満ち足りているでしょ」
「食べものも飲みものもね」
 エイミーもその知識から答えた。
「資源も」
「だからよ」
「戦争が起きないから」
「平和だし」
「それで女神様にしても」
「平和になったのよ」
 そうした性格になったとだ、メグは話した。
「別人みたいにね」
「そういえばイシュタルも性格変わったわね」
 ジョーはメソポタミアの女神でとりわけ有名なこの女神のことに言及した。
「そういえば」
「そうね。昔は男好きでもあって」
 ベスも次姉に応えた。
「そしてね」
「相手の男の人飽きたら捨てて」
「次から次にね」
「殺したりするから」
「そういうこともしなくなって」
「一夫一妻になって」
 この時代のイシュタルはそうした性格になっているのだ。
「恋愛のルールを定める」
「そうした神様に成ってるから」
「変われば変わるものよね」
「本当にね」
「そう、変わったのよ」
 実際にとだ、メグはこちらの妹達にも話した。
「女神様達の性格もね」
「豊かになって優しくなった」
「そうなったのね」
「ティアマトだって最初は死んでたのよ」
 この原始の女神もというのだ。
「人々に大地を自分の身体を模して作って与えて引退したけれど」
「ご主人のアスプーと一緒にね」
「そうして引退したのよね」
「けれど最初はね」
 紀元前の神話ではどうかというと。
「新しい神々に色々あって戦争を仕掛けて」
「ああ、負けてね」
「大地に変えられたのよね」
「そうなってるから」
「違ってるわね」
「このことも」
「アスプーも殺されてるし」
 この神はティアマトよりも前にそうなっている。
「だからよ」
「本当に違うのね」
「神話も時代によって」
「今のティアマトとアスプーは原始の夫婦神で海水と淡水の神様だけど」
 メソポタミアの神々への信仰では神々の主の座を退いて隠居した神々とされているが信仰は受けている。
「神話も変わるのね」
「時代によってね」
「そうしたものなのね」
「そう、そしてね」
「そして?」
「神様が司るものが変わりもするけれど」
「それでもキッチンの神様は」
 それはというと。
「竈の神様ね」
「そうよ」
 そちらになるというのだ。
「キッチンにはね」
「ちょっとならないのね」 
「言葉の関係かしら」
 それではというのだ。
「キッチンっていうよりかはね」
「竈の方が」
「そう、言葉として昔の趣が出て」
 そしてというのだ。
「そのうえで」
「それでなのね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「竈と言うのでしょうね」
「キッチンじゃなくて」
「よくて台所ね」
「キッチンって言うと駄目なのね」
「キッチンって言うと」 
 それはというのだ。
「現代的でしょ」
「それはね」
「だったらね」 
「昔の竈って言う方が」
「いいってことでしょうね」
「成程ね」
 エイミーはここで納得した、そうしてお菓子とココアを楽しんだ。それでおわりと思ったとこでだった。


お菓子には   完


                   2018・6・9 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧