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八条学園騒動記

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第四百七十九話 お菓子にはその六

「古代フェニキア人がココアなんて想像がつかなくても」
「それ位縁がなくても」
「それでもね」
「言った者勝ちなのね」
「沢山作って売ったら」
 それでというのだ。
「本場になるでしょ」
「それで我が国もなの」
「沢山作って売ってるから」
「本場になるのね」
「そうでしょ」
「そうなのね」
「そう、それでね」
「私が今飲んでるココアも」
「我が国が言ってるならね」
 それならというのだ。
「もう本場でしょ」
「それだけでなのね」
「そうでしょ、あと紅茶もね」 
 ジョーは自分が飲んでいる紅茶も飲みつつ話した。
「シドン星系で本場って言ってるでしょ」
「そういえばそうね」
 エイミーもこの話は聞いていて納得して頷いた。
「紅茶も」
「けれど紅茶はイギリスからでしょ」
「あの国発祥よね」
「そうよ」
 中国からお茶の葉を輸入していたがそのお茶が船でイギリスに輸送するまでにもたないので醗酵させたか運んでいる最中に醗酵したのだと言われている、どちらにしても醗酵したお茶の葉であることは確かだ。
「それで本場がフェニキアっていうのも」
「シドン星系っていうのも」
「無理があるでしょ」
「幾ら紅茶が美味しくて産業として売っていても」
「ええ、紅茶はイギリスだからね」 
 このことは歴史ではっきりしていることだ、紅茶はこの国からはじまっていることは。
「それでシドン星系の人達がそう言ってても」
「違うわよね」
「どういう意味で本場かどうかは知らないけれど」
「美味しいから?」
「それだと通るけれどね」
 本場と主張する理屈もだ。
「まだね、けれどね」
「無理があることは」
「やっぱりね」
 このことはどうしてもというのだ。
「感じるでしょ」
「そうよね」
「本当に古代フェニキアは」
 またこの国のことを話したジョーだった。
「食文化は今と全然違うから」
「お茶もコーヒーもトマトも香辛料もなくて」
「キッチンも違うから」
「一切違うから」
「だからなのね」
「そう、まああれよ」
 ジョーはその紅茶を飲みつつまた言った。
「実際の私達は本当にフェニキア人の国でも」
「ずっと歴史の中に消えていて」
「それでね」 
 その為にというのだ。
「二千年以上の時を経て復活して」
「その間のブランクがあって」
「二千年以上ってね」
 それこそとだ、メグが言ってきた。その手にはコーヒーがあるが薄くしてありしかもクリープをかなり入れている。
「長いわよね」
「そうよね、連合の歴史が千年で」
「その千年も長いのに」
 その千年の間に長きに渡って混血も進んでいる、それでフェニキア人達もかなり混血が進んでいるのだ。
「その倍以上になると」
「もう何もかもがね」
 それこそというのだ。 
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