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『組長と零』

作者:零那
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『手当て』



組長が来てくれたその船は、そのまま折り返しアッチに戻る。急いで乗るように背中を押された。組長は、船降りてから部屋に着く迄、絶妙な距離感で常に背後に居た。

家庭環境の現状を詳しく教えろと若干強引に言われた。
前、聞かれたことには答えたけど、たぶん...組長も調べたんだろうな。

まさか先輩からだけじゃなく家庭内でもって、考えんし考えたくないよね普通(笑)信じれんってより信じたくないよね(笑)

『こんなこと現実にあるんやって、知りたくなかった』

わかるよ(笑)
こんなこと現実じゃないようにって、どんだけ願ったか...。

釣り竿をムチにしてしばかれた背中一面の傷。首からお尻まで一面隙間なく綺麗にミミズ腫れのボーダー柄(笑)

服も下着も脱いで、うつ伏せに寝るように言われた。手当てするって。言われた通りにする。

組長は、汚くて醜い背中一面を見て、少し辛そうな顔をした。少し震えたゴツイ手で、丁寧に優しく、薬を塗ってくれた。

服の繊維すら痛い状態やから、うつ伏せのまま居るように言われた。組長は、コッチを見んように背中を向けて、アッチを見ながら話しかけてくる。

そういうとこ、こんな生ゴミでも少し大事にされてるんかな?って勘違いしてしまいそう...

気付いたら勝手に涙が出てて、コッチ見てない筈の組長が拭ってくれてた。

『零は自分を大事にしてない。自分を大事にする事、今からはシッカリ意識せなあかん。大事な大事な零なんやで...自分で自分をぞんざいに扱ったらあかん。もうそんなん赦さんからな』

『...赦さん言われても...』

『大丈夫や。零なら解る。解ってくれる筈や』

『...』


 
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