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ドリトル先生と奇麗な薔薇園

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第四幕その十

「薔薇は食べられるんだよね」
「そうそう、実はね」
「薔薇は食べられるから」
「あのお花が」
「そのこともいいことだよね」
「薔薇を使ったお料理はね」 
 そのお話もする先生でした。
「昔からあるからね」
「確かローマ帝国の頃から」
「あの頃からだよね」
「薔薇のお料理はあるよね」
「あのお料理は」
「うん、その頃からあるんだ」
 二千年前からというのです。
「それでネロも好きだったんだよ」
「あの暴君で有名な」
「とんでもない皇帝だったっていう」
「あのネロも?」
「実は暴君だったかというと」
 先生は皆にネロという皇帝のお話もしました。
「実は違っていたんだ」
「あっ、そうなの?」
「ネロって暴君だと思っていたら」
「実は違うの」
「そうだったの」
「うん、結構ムラのある性格だったみたいだけれど」
 それでもというのです。
「ローマの大火災の時も自ら先頭に立って対策にあたったり解放奴隷に慈悲深かったりね」
「へえ、そうだったんだ」
「暴君って悪名高いけれど」
「実はそうした人だったんだ」
「うん、内政も結構しっかりしていてローマ全体を考えて政治をしていてね」
 そうしてというのです。
「市民に気前がよくてね、ただキリスト教徒を弾圧していたから」
「そのせいでなんだ」
「暴君って言われていて」
「当時は普通の皇帝だったんだ」
「軍隊を指揮したことがなくてそこを衝かれて叛乱を起こされて追い詰められて自殺したけれど」
 そうした結末だったけれどというのです。
「それでもね」
「別に暴君でもなくて」
「普通に皇帝として政治をしていて」
「悪い皇帝じゃなかったんだ」
「死んでからも懐かしがられてお墓にはお花が絶えなかったし」
 こうしたこともあったというのです。
「当時皇帝の権威、つまりローマ帝国を否定するキリスト教徒を弾圧していたからだよ」
「暴君って言われてるんだ」
「キリスト教を弾圧していたから」
「そのせいでなんだね」
「そうだよ、皇帝としては確かに軍隊を指揮出来なかったけれど」
 こうした欠点があってもというのです。
「それなりの皇帝だったんだ」
「ふうん、成程ねえ」
「よく言われていることと違って」
「悪い皇帝じゃなくて」
「それどころかわりかしいい皇帝だったんだ」
「うん、当時としてはね。そしてね」
 さらにお話する先生でした。
「そのネロも薔薇が好きでね」
「薔薇のお料理を食べていたんだ」
「そうだったんだ」
「薔薇の香りがするお水を飲んでね」
 そしてというのです。
「薔薇のお花が入ったサラダや薔薇のプティングを食べていたんだ」
「本当に薔薇が好きだったんだ」
「暴君は実は普通の皇帝で」
「しかも薔薇が好きだったんだ」
「そう、芸術と薔薇が好きだったんだ」
 暴君と言われたネロの素顔はというのです。 
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