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ロボスの娘で行ってみよう!

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第45話 ラインハルト捕殺作戦会議


お待たせしました。やっと完成。

大海令と違い大宙令は創作ですが、統合作戦本部長が出さないで、宇宙艦隊から出す命令です。

アイマルラン号の諸元等は なぁ様の【銀河のそよ風】からお借り致しました、ありがとうございます。
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第45話 ラインハルト捕殺作戦会議

宇宙暦793年1月15日

■惑星ルジアーナ造兵工廠    エリオット・バウンスゴール造兵少将 

同盟軍宇宙艦隊総司令部大宙令No57、981、354、135号

下記貨客船建造願い。
設計条件 居住の快適さや移動距離は問わず。
当諸元に外見において作成されたし。

1、全長482m前後 全幅84m前後 全高202m前後。
2、当三面図、写真を参照とせよ。
3、制作期限は宇宙暦793年1月13日までとす。
4、本船は特務艦としての建造である。
5、宇宙艦隊予備費より建造費は充当される。

昨年の12月16日、こんな田舎の造兵工廠に、宇宙艦隊副司令長官グリーンヒル中将より、お粗末な写真、三面図、寸法等の諸元だけの、貨客船の建造が依頼されてきた。時間は1ヶ月弱と有り些か焦ったが、諸元を見て納得が出来た。

何処かで撮った写真を元に貨客船を建造すると言う事、特に外見をソックリにと有り、張りぼてでも構わないとの事で有ると言うことは、何らかの偽装工作に使うのであろうが、我々技術屋は其処まで詮索せずに、黙々と注文道理の船を造るだけだ。

外見さえソックリなら構わないと言う事で、機関等は解体のため入港していた巡航艦後部船体ごと使ったりした。そうでもしなければ1ヶ月弱の期間で船を造ることなど中々難しいと言えるだろう。我々の艦船のように規格化された物であれば、それも可能であるが。

工廠の努力の甲斐あって期日通りに完成した船の名はアイマルラン号である。その船を今日司令部直属の訓練艦隊が引き取っていった。受け渡しの際に話を聞いたが、ローゼンリッター連隊の演習用に使うと言うことだが、そうしておこう、世の中には聞かない方が良いことが沢山有るのだからな。


宇宙暦793年1月17日

■フェザーン回廊近隣バラトループ星系  旗艦ヘクトル

尤もフェザーン回廊に近いバラトループ星系に集結した宇宙艦隊総司令部直属艦隊1000隻とアイマルラン号擬きは、星系外縁に停泊し最終準備にかかっていた。同盟、帝国、フェザーンが気づかれない様にヘルクスハイマー伯爵の迎える事を秘匿するため、敢えて星系外縁のアステロイドベルトに停泊しているのである。

停泊中の旗艦ヘクトルの大会議室で各戦隊長達が集められ、最終的な計画が話し合われていた。

「諸君、今回の航海は訓練目的で有ったが、急遽亡命者の保護を行う事に成った。
詳しい事はアッテンボロー中佐から報告して貰う」
髭面のカールセン少将の言葉にリーファ以下、元々事情を知っている人間はニヤリとし、知らない人間はいきなりかと言う顔や困惑した顔をしている。

「ご指名を受けました、アッテンボロー中佐です。今回我が艦隊は艦隊の練度向上とローゼンリッター連隊の新規訓練を行う予定でフェザーン近隣まで航海してきましたが、情報により帝国貴族の亡命者がフェザーン経由で入国する事が決まりました」

「政争に敗れた貴族が亡命してくること自体珍しく無いのでは?」
幕僚の数人が疑問をぶつける。
「我が艦隊が護衛する事が必要なのですか?」

「その貴族は帝国の新兵器を持って亡命してくるとの情報が来ています。さらにその新兵器が画期的なために追っ手が送られたとの情報が入りました」
「しかし、どの様に同盟側へ帝国軍が来るんですか?」

「皆さんの、疑問は尤もですが、過日イゼルローン回廊を強行突破した巡航艦一隻が同盟側宙域で消息を絶ったとの連絡が有りました。その艦が遭難したのか、進軍しているのかは不明ですが、念には念を入れよと有りますので、包囲殲滅訓練を行いつつ、貴族の保護を行う事とします」

「しかし、報告書だと巡航艦の消えた地点で爆発が認められたとありますが?」
「敵も馬鹿ではありませんから、ダミーを爆破したとも考えられます」
リーファの説明に納得する者、いぶかしむ者など千差万別であった。

「その装置ですが、ゼッフル粒子に指向性能力を持たせる兵器との情報も入ってきたのです」
「何だって、ゼッフル粒子を操れると言う訳ですか?」
「帝国技術総監シャフト大将が研究させているとの情報が有ったはずです」

その言葉に多くの士官が頷くはじめる。

「それだけ大事な、兵器であれば、イゼルローン回廊からの巡航艦侵入や、フェザーン回廊からの仮装巡航艦侵入などが起こる可能性が考えられます」
「なるほど、確かにあり得ますな」

「仮装巡航艦なら幾らでも送り込めるか」
口々に戦隊長や幕僚が話しながら頷く、そしてカールセン提督が命令をする。
「と言う訳で、我が艦隊は万が一に備えて、警戒を行いつつ訓練と亡命者保護を並行で行う」

スクリーンに巡航艦、仮装巡洋艦に対する包囲殲滅作戦が表示され、各戦隊の位置関係やフェザーン回廊までのルートが出されて、戦隊指揮官達がそれを読み取りながら話し合いを行う。更にローゼンリッター連隊による敵艦襲撃に関するシミュレーションも行われた。

「アッテンボロー中佐、我々はどの様な役を宛がわれて居るんですかな」
「シェーンコップ中佐には主役を張って貰いますからね」
不敵に笑みを浮かべる、リーファとシェーンコップ。

「ほう、敵艦は撃破するのでは無いのですかな」
「出来る限り、敵を捕獲したいのですよ」
「なるほど、それで我々を連れて来た訳ですな」

「敵の指揮官が死ななきゃ手足を切り飛ばして頭をかち割っても良いんですけどね」
「此はまた、過激なことを、いっそ沈めた方が良いのでは?」
「沈めないのは、帝国が捕虜交換直後に同盟領へ侵入してきた事が世論のイゼルローン要塞再攻撃の後押しとならないためですよ」

「尚更沈めた方が良い気がするのですが?」
「いえ、有耶無耶にすると、責任の所在が判らなくなりますからね」
「中佐に責任を取らす御仁は居ないでしょうに」

シェーンコップは思った。独断専行の責めがアッテンボロー本人に罹らないようにするためか、この人は案外期待はずれかも知れないな。所がリーファの言葉を聞いて考えを改めざるを得なくなった。

「今回の侵入が有れば恐らく門閥貴族の横槍でしょう。帝国は今はイゼルローン要塞に来て欲しく無いためにあらゆる手を打っています」
「ほう、しかし新兵器なら構わず追っ手を差し向けるのでは?」

「帝国軍なら態々イゼルローン回廊で小競り合いを仕掛けて、同盟の関心をイゼルローン回廊に持って来て博打のような巡航艦潜入をするぐらいなら、フェザーン回廊から仮装巡航艦で追撃しますよ」
「その為に捕獲ですか?」

「そうです、同盟市民が激高しないように、今回の潜入は帝国政府ではなく屑の門閥貴族の私怨により行われたとの証拠が欲しいと言う訳です」
「イゼルローン要塞攻撃のチャンスでは無いのですかな」

「中佐も判っていて、意地悪ですね。今の同盟の戦力じゃ、艦隊が集まっている回廊は抜けませんよ」
「そうですな。それが判らない御仁が多すぎるのが大変ですな」
「人ごとのように、それだから、ローゼンリッターには期待しています」

ふむ。この人はやはり思った通りの人だな。此処まで言われれたら、微力を尽くしますかな。
「判りました、このワルター・フォン・シェーンコップ、微力を尽くしましょうぞ」
「微力ですね」

「そうです、微力です」
「フフフ」
「アハハ」

がっちりと握手する。リーファとシェーンコップであった。

半日かけた会議はカールセン提督の言葉で締めくくられた。
「今回の訓練は思わぬ事から、実戦になるかも知れないが、このような事戦場では良くある事だ心して望んで欲しい」

各戦隊指揮官が帰還後、カールセン艦隊は50隻20グループに分かれて民間船などに見られないよう主要航路外の宙域からフェザーン回廊出口付近へ向かっていく。 


帝国暦484年1月17日

■自由惑星同盟領 フェザーン回廊近辺航行不能宙域至近

統帥本部作戦三課アーベントロート少将の特命で12月21日イゼルローン要塞を密かに出立した巡航艦はイゼルローン回廊同盟側出口で、同盟軍パトロール艦隊と遭遇しながら、味方警備艦隊と機雷を旨く利用し撃沈されたように見せかけ、まんまと同盟領への侵入に成功していた。


3週間をかけ地理が全く不明な同盟領をフェザーン回廊近傍まで到着したのは、偏に運が良かっただけと言えるのか、それとも指揮官が良いのかは判らない。しかし実際は敢えて罠に誘おうとしているリーファの蜘蛛の糸に絡み取られる寸前であるが、本人達は今の時点では全く気がついていなかった。

「艦長、やっと到着ですな」
「全くだ。回廊での小競り合いが一番大変だったな」
「それにしても、捕獲よりも破壊した方が早いのでは無いのですかな」

「困ります、指向性ゼッフル粒子発生装置は我が軍の新兵器です。それを奪取して頂かないと」
「しかし、ベンドリング少佐、試作機であろうと、今までのデーターが有れば、再建は可能では?」
「試作機だからこそです。あれには膨大な試験データーが蓄積されています。それを失うのは惜しいのです」

「副長もベンドリング少佐もあと少しだ。
明日にもフェザーンの駐在武官からの連絡ポイントだからな」
「連絡は大丈夫でしょうか?」
「どうだろうな、優秀な人材で有れば良いが」

「気になるのは、叛徒の動きですが」
「今のところ、逆探にも何も映りません」
「そうか、明日になれば細評が判るはずだ」
 
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