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ドリトル先生と和歌山の海と山

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第八幕その十

「あと僕達が周りにいないと」
「動物がね」
「皆がいないとね」
「先生はどうなのか」
「動物と縁がない先生もね」
「全然想像がつかないわ」
「そうだね、僕も本当にね」
 先生自身このこともでした。
「皆が傍にいてくれないとね」
「うん、どんな風か」
「僕達も先生がいないと駄目だしね」
「先生がいてこそね」
「色々楽しいしね」
「生活も出来るしね」
「僕もそう思うよ、若しもだよ」
 王子もお抹茶を飲んでいます、あとぼた餅もさっき食べていました。
「先生が学問ともお茶とも縁がなくてね」
「動物の皆もとだね」
「縁がなかったら」
 それこそというのです。
「先生じゃない別の誰かだよ」
「そうだよね」
「先生は日本にいても先生だよ」
 祖国イギリスを離れてです、そして日本文化に親しんでいて今では日本語を普通に喋っていてもです。
「けれどこの三つと縁がなかったら」
「僕じゃないね」
「そう思うよ」
「全くだね、皆もいてね」
 王子とトミーも含めて言うのでした。
「僕は僕になっているね」
「そうだね、ただ」
「ただ?」
「僕は縁があるものはあってね」
 先生は団子を食べつつお話しました。
「ないものは徹底的にないんだよね」
「スポーツかな」
「もうこれはね」
 それこそです。
「ないね、あと煙草やドラッグもね」
「ドラッグは問題外だしね」
「いつも皆に言ってるけれど」
「ドラッグの類はね」
「したらね」
 それこそというのです。
「身体も心も破滅するよ」
「そうだよね」
「だからこうしたものは縁がなくて本当にいいよ」
 こう王子にもトミーにも動物の皆にもお話しました。
「そして最後にね」
「ああ、女の人だね」
「うん、もうこのことはね」
 ご自身では何も気付かないままです、先生は達観した笑顔でお話をしました。
「どうしようもないからね」
「先生はもてないんだね」
「本当にもてないんだよ」
 断言した先生でした。
「そんな外見じゃないしね」
「人間心だけれどね」
「外面なんかじゃなくて」
「ましてや運動神経だけじゃない」
「そうなんだけれど」
 動物の皆はいつも通りこうしたことにはこう言う先生にやれやれでした。 
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