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名探偵と料理人

作者:げんじー
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第十七話 -図書館殺人事件-

 
前書き
このお話は 原作10巻 が元となっております。

ごめんなさい、みんな大好き津川館長……あなたの出番は… 

 
「あ」
「なんや、龍斗いきなし声出して」
「いや、そういえば四井会長のとこで事件あった時にやってみようかなって思ってたやつ、すっかり忘れててな」
「なんやそれ?今から出来る事なん?」
「ああ、紅葉が協力してくれればね」
「??」

―ピンポーン!!

「お?今日って俺も紅葉も何もない休みの日だから二人で家でゆっくりしようって言ってたよな?来客の予定なんてあったっけ?」
「……」

インターホンの音が玄関から聞こえた。伊織さんが対応に出て……おや?また珍しいお客さんだ。というか、初めてじゃないか?
伊織さんも彼と俺の関係の事を知っていたのか、俺の友人であるという彼を俺の部屋まで案内している。

『ああ、ここまででええよ。龍斗の奴びっくりさせたんねん』
『はあ、ですが龍斗様に通用するとは思いませんが』
『大丈夫大丈夫、まかせとき!あんさんは、飲み物用意でもお願いするわ!』
『ですが……いえ、かしこまりました』

どうやら、いきなり部屋に入ってきて驚かせるつもりのようだ。伊織さんは彼に言われた通り飲み物の用意にキッチンの方に戻ったようだった。

―ガチャ!!

「よぉ龍斗!!!服部平次様が遊びに来てやったでええええええええ!?!?お前、こんなお天道様が上がってるうちからなにしとんねん!!??」
「やあ、平ちゃん。東京の家に来るのは初めてだね。いらっしゃい」
「おう、そやな!きてやったで!!……やない、なにしとんねん!お前ひ、膝の上に」
「あ、うん。この娘ね、平ちゃん覚えてないかなあ?ほら小学校の時京都でかるた大会に飛び入りで参加して俺が優勝、平ちゃんが3位だったやつ。その時の決勝の相手だよ」
「お、おう?あー、なんやそんなこともあったなあ。龍斗が頭おかしいやり方で勝ちよってからによ―覚えとるわ。……じゃなくてなんでそないな娘がお前の膝の上に乗っ取るんやっちゅうこっちゃ!その娘、真っ赤になって固まっとるやんけ!」

そう、四井麗花さんの誕生日の時に巻き込まれた事件で時間つぶしにしていたトランプで、蘭ちゃんの膝の上にのっていた新ちゃん、もといコナン君の様子を思い出して紅葉にして貰うことにした。流石に蘭ちゃんたちの時のように女の子を下にするのはしたくなかったので紅葉に上になってもらった。……うん、ドキドキするね。流石にこのまま話すのも変なので紅葉を横に下して平ちゃんと話す事にした。

「まあ、休日だしね?かるた大会で縁が出来て今は俺の恋人なんだ」
「な、なるほどなあ。しっかし、龍斗に恋人ができるなんておもわへんかったわ」
「んー?それはどういう意味かな?へ・い・ちゃ・ん?」
「ちゃうちゃうちゃう!こない早くできると思ってなかったちゅうこっちゃ!大人になってからできるって!!ガキん時から保護者みたいやったやん。だから同年代できるとは探偵の俺でも予測できんかったわ」
「ああ、そういう。とりあえず自己紹介して?紅葉」
「ウチは大岡紅葉いいます。元は京都泉心高校に通っとりましたが今年の1月にこっちに来て龍斗のお家にお世話になってます……」
「おう、オレは服部平次!改方学園に通っとる西の高校生探偵や!」
「そういえば、探偵とか言ってたね。そっちも動き始めたんだねえ」
「おうよ、高校に入ってからな!……そっちも?誰か他に探偵やっとる知り合いでもおんねんか?」
「ああ、ほら。俺には関東と関西にそれぞれ幼馴染みがいるって言ってたじゃないか?関西は」
「オレと和葉やな」
「そう。それで関東の幼馴染みの1人が探偵やってるんだよ、高校生探偵」
「へ、へえ。そらおもろいこともあるんやな?そんで、なんちゅうやっちゃそいつは」
「工藤新一」
「HE?」
「だから工藤新一だよ。高校生探偵の」
「な、なんやてえええええええええ!!!!!」

俺がその名を言うと、平ちゃんの本日二度目の絶叫が緋勇邸に轟いた。


「なんや、おもろいことになっとるなあ?龍斗。まさか二人いる男の子の幼馴染みが探偵やなんて」

フリーズから戻ってきた紅葉がそう言った。顔の方はまだ少し赤い。平ちゃんはというと、伊織さんが持ってきた飲み物を飲みながらこっちをじとっとした目で見ている。

「龍斗も人が悪いなあ。オレがガキんときから探偵になりたいいうことを知ってるはずやのに工藤の事教えてくれへんかったんやろ?」
「まあ、どうせ大きくなったらどっかの事件かなんかで会うだろうしそんときでいいかなって思ってたらすっかり忘れてたよ。それに関西行ったときはほとんど東京の話はしなかったしね」
「まあせやけどなあ。それにしても工藤あいつは噂通り、いや噂以上の男やったで!!」
んん?
「噂以上って?新ちゃんは確か今事件の調査で米花町を離れているはずだけど」
「新ちゃん?ああ、工藤の事か。ほら、新聞にあったやろ?辻村外交官殺人事件」
「そういえば今日の朝刊にそない事件があったって書いとったな」
「そうそう、それや。その事件現場にオレもおってな。オレが犯人の仕掛けた偽の証拠にまんまと引っかかって推理を披露しとったらきよったんや!」
「きよった?」
「そう、あの東の高校生探偵、工藤新一がな!!」
は?
「え、は?それって、別の人なんじゃないか?ほら、別の関東で高校生探偵やってる人とか」
「そないなわけあるかいな。そんときおったのはオレだけやのうて、毛利探偵や工藤の女っちゅう蘭って子もおったんや。その子が新一いうとったから間違いないで」
「た、龍斗?どういうことなん?新一君、元に戻れたってことなんか?」

平ちゃんの話を聞いてびっくりした様子の紅葉が声を潜めて俺の方に聞いてきた。いや、俺もびっくりしてるんだが。確かに新ちゃんは何度か工藤新一の姿に戻っているけどソレは確か灰原哀の作った解毒薬の…おかげ…?いや、なんかもう一つあったような?

「そ、そっか。蘭ちゃんがそういうのなら間違いないね。でも新聞に新ちゃんの名前はなかったよ?」
「それがなあ、毛利探偵事務所に居候しとるコナンちゅうガキがのう、工藤の奴が事件に関わったことを言わんといてって伝言を頼まれたらしいんや。そのガキは今風邪でそのまま倒れたんで詳細は聞けへんかったんやけどな。まあ、言われた通りに工藤の顔見知りの警察の目暮警部に伝えたから名前はのっとらんちゅうこっちゃ」
「そ、そっか。コナン君風邪なのか。心配だな……」

コナンに戻ってるってことは新ちゃんが元に戻っていたのは一時的ってことか。……待てよ?なんか思い出してきたぞ。新ちゃんが初めて幼児化から元に戻ったのは、確か……!

「ところで平ちゃんさ、小五郎さんとこに何かお土産持ってった?」
「ん?おお、ようわかったな。中国酒の『白乾児』っちゅうきっつい酒をな。毛利のおっちゃんは大層な酒好きってきいとったからの」

ああ。思い出した!これ、平ちゃんと新ちゃんの初邂逅で初めて元に戻る話として原作にあった奴だ。

「そういうことね……」
「ん?なにがそういうことやねん」
「こっちの話。……あのね、平ちゃん」
「どないしたん?そないな顔して」
「新ちゃんね、事件の調査って言うのは間違いないだけどね。関わった事件が厄介な規模を持った裏の組織関連だったせいで命を狙われてるんだ」
「い、命っておだやかやないな」
「そうなんだよ。平ちゃんの言う「工藤の女」である蘭ちゃんには心配させないように連絡を取ってるんだけど今の世間的の行方不明や死亡説は今の新ちゃんにはとても都合がいいんだよ」
「……そこまでしなあかん相手ってことなんやな」
「俺も、一応新ちゃんとコンタクトは取れるけど基本向こうからなんだ、だから平ちゃん。お願いがあるのだけど……」
「…わかっとる、それを聞いたらオレも協力しない訳にはいかへんな。探したりするのはやめにするし無暗に話したりせーへんようにするわ」
「頼むね」
「んー、なんや。龍斗に頼まれるなんて中々あらへんからな。なんや、妙なかんじがするで」
「そう?そうかもね」
「せや!せっかくやし、工藤がガキん時の話を教えてくれへんか?今度おうたときの話のタネになるかもしれへんし」
「それはええね、ウチもみんなの小さい時の話きいてみたい。勿論龍斗の事も」
「あ、ああ。いいよ?じゃあ何から話そうかな、確かアルバムがどこかに……」

俺は、平ちゃんと紅葉が知らないみんなとの幼少時代の話をした。話は小学生の話が終わり中学に入るという所で平ちゃんの新幹線の時間となりお開きとなった。

「ふーん、工藤はコナン・ドイルの大ファンなんやな。オレはどちらかというとエラリィ・クイーンの方が好きやけどな」
「あら奇遇やね。ウチも推理小説家ならエラリィ・クイーンが好きやね」
「なんや、気が合うなあ」
「ええ、だって名前に『クイーン』がついとりますでしょ?」
「お、おおう?せ、せやな?」
「紅葉はかるたのクイーンになるのが夢だからね。まあそういうことで新ちゃん、生粋のシャーロキアンだからそれ関連のイベントがあったらお忍びで参加するかもしれないね」
(お忍びというか、コナンの姿でね)
「ほっほー、そらええ情報もろたで。……もうこないな時間か。小学生までの話でキリもええとこやしオレも新幹線の時間があるしな。今日はこれくらいでお暇させてもらうで」
「うん、今度は俺がそっちに行ったときにでも。紅葉も一緒に」
「うん、ウチも和葉って娘におうてみたいしね」
「おう!龍斗のとはまた一味違う、大阪本場のうまいもん食べさせてやるさかいな!!」
「楽しみにしてるよ!」

玄関で平ちゃんを見送り紅葉と二人で部屋に戻った。

「それにしてもびっくりしたなあ。新一君が元に戻るやなんて」
「そのお酒に何か秘密があるのかもね。さっきは元に戻ったことにオレもびっくりしてて忘れてたけど、小学生にお酒を飲ますなと怒るんだった……」
「せやね。けど今日はよかったわ。小さい時の龍斗も見れたし。もっとはようから会いたかったわ……」
「紅葉。これからずっと一緒なんだ。このアルバム以上に思い出を重ねていこう?」
「そ、そやね?これからずっと一緒なんだものね?」
「とりあえず、さっきとったこれを現像して収めようか?」
「これ?……あー!さっきの膝にすわっとるやつ!!いつの間に?!たーつーとー!」

さっき、紅葉が固まっているうちにスマホで撮った画像を見せると恥ずかしさが蘇ったのか携帯を取ろうとして襲ってきた。
そんなふうにじゃれあいながら休日は過ぎて行った。




後日、風邪を引いたという新ちゃんの様子を見舞いに行こうと毛利探偵事務所に向かっていると前方から新ちゃんが三人の子供たちに囲まれて歩いてくるのが見えた。

「やあ、コナン君。女の子に手を引っ張られてるなんてモテモテだね」
「龍斗…にいちゃん。これは違うよ!」
「そうなのかい?それはともかく風邪だって聞いたけど外に出ているってことはもう大丈夫みたいだね。でもぶり返すかもしれないしあんまり無茶はしちゃダメだよ?」
「なーなー、コナン誰だよこのイケメンのにーちゃん」
「そうですね、どっかで見たことあるんですが」
「歩美もどこかで……どこだったかな?」
「初めまして、俺は緋勇龍斗。二人が見たのは何かの雑誌じゃないかな?料理人をやらせて貰っているよ。今有名なのはお菓子作り、パティシエの面だけどね」
「パティシエ、緋勇龍斗……あー!思い出しました!お姉ちゃんの買った雑誌に載ってた世界一のパティシエ緋勇龍斗!!」
「歩美も!お母さんが買ったお料理の本に載ってた!!!あのレシピのお料理すっごく美味しかった!!」
「な、なんだよそのぱーてー?」
「ぱーてーじゃなくてパティシエですよ元太君。お菓子作り専門家ですよ。この人はその世界大会で史上最年少の13歳で優勝したんです!!」
「ほへー!そんなすごい兄ちゃんなのか!」

こちらの自己紹介をすませ、彼ら少年探偵団の事を教えてもらった。……新ちゃん、こんな小さな子供を巻き込んで何してんのさ。

「それで?今から君たちはどうするんだい?」
「今日はこれから図書館に行ってコナン君の読書感想文の手伝いをするんです!」
「そうだ!龍斗のにーちゃんも一緒にいかねえか?」
「え?」
「せっかく仲良しになれたんだし、いこいこ!龍斗お兄さん!」
「いい考えです!元太君!!」
「おいおい、お前ら」
「いいよ?今日はお見舞いに行くくらいで後は帰るだけだし、たまの読書も気分転換によさそうだ」

そうして、俺は子供たちと話しながら目的となった米花図書館へと向かった。子供たちとの会話は話題が絶えることなく、コロコロと笑いながら元気に動く様子はそれだけで元気になれそうだ。
図書館につき、俺は一時的に子供たちと別れて料理本が置いてあるコーナーへ向かった。そこで適当に本を見つくろい、児童書コーナーに向かうとそこから出てくる新ちゃんとばったり出会った。どうやら、下にパトカーが来ていて気になったそうだ。

「そのエレベーター待ってー!」

新ちゃんがそう言い、俺は位置的にエレベーターに先に乗ると子供たちを待った。

――ビィーーーー!!

ん?『定員7名、450kg』か。乗ってるの中老の津川館長、あとは細めの女性3人に俺。
それに小学1年生が四人…だが、なんで鳴ったんだ?

「…7,8人。ほんとだ!一人多い!!」
「元太君も合わせて9人ですよ?だからバカはかz…いたっ!」
「しゃーない、階段で降りるぞ!!」

馬鹿は風邪をひかないと言いかけた光彦君を元太君が殴り、エレベーターで降りられないことから階段で降りることを選択した新ちゃん。そしてそれについていく子供たち。
エレベーターはそのまま一階まで下り、津川館長はパトカーで来ていた警察の人に事情を聞かれていた。どうやら、職員の玉田さんが行方不明らしい。
途中、新ちゃんが茶々を入れたりしていたが、結局警察が調べた範囲では死体は見つからなかった。……そう死体だ。俺は死体の事を広げた嗅覚で察知した後、さらに嫌なにおいがしたので発生源である児童書コーナーに向かった。……これは、またよく考えたものだ。大人ならともかく、子供じゃ気付かない隠し場所だな。
警官が図書館内を念のため探していたが結局不審な所は見つからず、その報告を受けた目暮警部が
「何も見つからなかったか。やはり外で襲われたか?よーし、引き上げる「目暮警部?」ぞー?」
「どうも、目暮警部」
「ん?おお、龍斗君!!結婚式以来だな。あの時は本当にありがとう!!」
「いえいえ、それでちょっとお話が。警察の方を引き揚げさせるのもちょっと待ってもらいたくて」
「ん?なにかね」
「いえ、調べてもらいたい場所がありまして。さっきエレベーターに乗った時重量オーバーの音が鳴ったんですよ」
「エレベーター?」
「!!」

……津川館長の心音がはねたな。なるほどね。

「ええ、その時乗っていたのは俺、津川館長、細めの女性3名、それに子供たちが四人で乗ったらなったんですよ。『7名、450kg』が上限のエレベータがね」
「んん?全部で9名だからなるのは当然なんじゃないか?」
「なら、重さにして考えてみてください。津川館長、失礼ですが体重は?」
「さ、さあ?多分65kgぐらいじゃないか?」
「俺が85kg、荷物は……15kgってところか。後の乗っていた女性は細めだったから重くても60kgってところかな?子供たちは……」
「オレ、40キロ!」
「僕は20キロです!」
「私は15キロだよ龍斗お兄さん!」
「僕は18kgだよ、龍斗にいちゃん……」

新ちゃんは俺の言わんとしてることに気付いてるね。

「と、言う事はあの時乗っていた人の体重の合計は65+85+55+55+55+40+20+15+18で393kg。荷物を加えても422kgです。おかしいでしょ?もう一人大人が載っていないとならない計算になるんです」
「じゃ、じゃあまさか……」
「ええ。エレベーターの天井の上を探してもらってみてください。……それから、津川館長?」
「……な、なにかね?!」
「俺がエレベーターの事に触れたらすごい形相になりましたけど?何かあるんですか?」
「い、いや。なんのことかな?」
「……津川館長、どうやらあなたにはもっと詳しい事情を聞かなきゃならんようですな」

流石に、長年刑事をやってきた目暮警部の目はごまかせなかったようで追及の手がのびるようだ。警官に指示を出している目暮警部にあのことを伝えておくか。

「それから、警部?」
「……ん?おお、龍斗君お蔭で無事事件が解決できそうだ」
「それでなんですがね。さっき子供たちの引率で児童書コーナーにいたんですが。ちょっと妙なことが」
「妙なこと?」
「き、きさまなにを!?」
「ええ。懐かしくなって本棚にある本を見ていたのですが。本と本との間に変な本が挟んであったんですよ」
「と、いうと?」
「背表紙の無い本です。これなら本をとっても向こうの本だと思って気にも留めないでしょう。子供ならなおさらです」
「!!そっか、だから本棚の本が棚からはみ出てたりしてたんだね。向こう側の本を直したとき押し出されるから!」
「たぶん、そういう事なんだと思うよ」
「それで、……いやそうまでして隠そうとしているものだ中身はおそらく……」
「ええ。一つ、開けてみましたよ。中身は袋に入った白い粉」
「……麻薬か!!」
「ええ、おそらく玉田さんもそれを発見してしまったんでしょう。なのでその奇妙な本を調べれば指紋が出てくるんじゃないですか?ねえ、津川館長?」
「く、ぐっ!!」

その言葉を聞き、観念したのかうなだれる津川館長。その後、エレベーターからは玉田さんの遺体が発見され麻薬は押収された。怒涛の勢いで追い詰められてのが効いたのか、黙秘を続ければ玉田さん殺害は誤魔化せたかもしれないのにペラペラ自供したそうだ。

図書館から帰る途中、子供たちと別れたこともあって聞きたいことをきくことにした。

「なあ、新ちゃん。いきなりあんな元気に「じゃーなー!」はないんじゃないか?あの子たち、不安そうな顔してたぞ」
「ん?ああ、それはわりーことしたな。でもよ、オレ元の姿に戻れるかもしれねーんだぜ?」
「ああ、そういえばなんか聞いたね。元の姿に戻れたんだって?」
「そうなんだよ、服部ってやつが持ってきた酒を飲んだらな!だから、これから事務所に戻ってその酒もって博士の家に行くぞ!!」
「はいはい、お供しますよ」
「んだよ、そのツレネー返事は。まあいいや。しかし龍斗よくあの本棚の事気付いたな。児童書コーナーなんて行ってなかったろ?」
「ん?ああ、エレベーターで疑問に思ってね。よくよく嗅いでみたら乾いた血の匂いが天井の上からするし何かあるなーって警察の家探ししているうちに1階2階3階と色々まわってったらあそこで嫌な匂いがしてね。それを辿ったら見つけたってわけ。そんなこと言えるわけないし、新ちゃんたちを利用しちゃった。ごめんね?」

気付いたのは1階感覚を広げた時だったが、まあ歩き回って気付いたのほうがまだ納得してくれるでしょう?

「相変わらず犬並みだな、オメーの鼻は……っと、ついたな。じゃあとってくっからちょっと待っててくれ!!」

その後、無事白乾児を手に入れた新ちゃんは俺を連れ博士に事のあらましを説明し、実践すると言って瓶の酒をラッパ飲みし始めた。そして数時間後……

「あれぇえ、博士ろ龍斗が大きいまんまじゃえ~。どういうことへ?」
「ふむ、多分一度戻ったことでその酒の耐性が細胞に出来てしまったんじゃろ」
「たいせいぃ~?んなもん、もっと飲めばいいだっろ……!!」
「はいはい、小学生にこれ以上は飲ませられません。ついでに作ったこの濃厚しじみ汁を飲みなさい」
「んっく、んくんく!何すんだ龍斗ぉ!!」
「小1の体なんだから無理しないの、急性アルコール中毒起こすかもしれないんだから。それからビタミン剤も飲んで。あとはお水な」

しかし、あのアルコール度数で一気飲みしたのにこの程度とは新ちゃんの肝機能は化け物なのかな?末恐ろしいね。

「じゃあ、博士。この酒は新ちゃんがもうこれ以上飲まないように俺が持って帰るから後は水分補給と吐くかもしれないからお世話の方よろしくね?それからそのしじみ汁飲んでいいよ。味は濃いめだけど体にいいから」
「あ、ああ。確かにもう11時まわっとるし明日も学校あるんじゃったな。ありがとうなあ、龍斗君。おやすみ」
「おやすみなさい」


「たーつーとー?ずいぶん遅いお帰りやね?連絡しようにも携帯忘れてるし連絡せーへんし、どこで何しとったんかなー?」

あ、忘れてた。
 
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