| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十六部第二章 連合の小国その十

「政治の権限を持っている限りはだ」
「その為に動くべきですね」
「最大多数の最大幸福」
「その為に」
「中には犯罪を幸福とする者もいる」
 窃盗や詐欺で金銭を非合法に手に入れる輩だけではない、中には殺人快楽者の様な狂気の輩もいる。
「そうした者にはだ」
「幸福は与えられませんね」
「決して」
「幸福を得る、若しくはその目的は犯罪を経るものかそのものなら」
「それはですね」
「守れませんね」
「幸福は求めるべきだ」
 しかしというのだ。
「だがそれでもだ」
「他者を害してはならない」
「そういうことですね」
「このことはどの世界でも同じですが」
「まさにサハラでもですね」
「無法者はいてはならない」
 決してというのだ、アッディーンも。
「国家の為にも周囲の為にもな」
「他者を害する幸福は幸福ではありませんね」
「それは」
「自身が幸福になることはいいにしても」
「他の者を害しては」
「それではですね」
「幸福ではありませんね」
 官僚達も言う。
「コーランに書かれているまでもありませんが」
「やはりコーランにも書かれています」
 そうしたことがというのだ。104
「コーランに書かれていることは絶対です」
「そこに間違いはありません」
「このこともそれが為にです」
 絶対というのだ、イスラムにおいてはコーランは無謬のものとされている。だから彼等もこうした考えなのだ。
「ですから」
「それで、ですね」
「そうした者の幸福を適えてはならない」
「むしろ取り締まるべきですね」
「人はイスラムの戒律を破ってはならない」
「ムスリムならば尚更」
 その絶対のイスラムの教理を破ってはならないというのだ。
「だからこそ」
「それで、ですね」
「幸福はイスラムの中にあってこそ」
「そうなりますが」
「連合においては法律ですが」
 連合の法律という意味での言葉だ。
「だからこそですね」
「連合では法律を守り」
「そのうえで」
「幸福を追求しそれを見出し満足している
「そうしたことが出来ている者がネパールでは多い」
「そういうことですね」
「私の幸福は何か」
 ここでだ、アッディーンは自分のことを話した。
「そう聞かれるとだ」
「閣下の幸福といいますと」
「それは何でしょうか」
「一体」
「まず私は富にも美食にも服にも興味がない」
 もっと言えば美酒や豪邸、美女にもだ。
「そして権力にもだ」
「そちらにもですね」
「興味がない」
「左様ですね」
「確かに大統領であり皇帝になろうとしている」
 即ち権力の座にはあるというのだ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「野心は」
「感じていない」
 自分自身の中にというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧