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星河の覇皇

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第六十六部第二章 連合の小国その十一

「私は軍人になりたかったことは確かだ」
「そのことはですね」
「最初からありましたね」
「それで幼年学校に入りだ」
 そこから軍に入ったというのだ。
「別に出世等も考えていなかった」
「身を立てられることも」
「そうしたことも」
「生きていられればよかった」 
 そうした考えだったというのだ、確かに無欲ではある。
「だから軍に入った、幼年学校に合格してな」
「そして、ですね」
「そのうえで、ですね」
「軍に入られて」
「そのうえで」
「武勲は挙げていった」
 このことも狙ってではない、特にだ。とかくアッディーンは権力や金銭、そうしたものへの関心が薄いのだ。
「軍隊、戦場は好きだが」
「軍におられるからこそ」
「戦われ」
「武勲を挙げられて」
「お気付きになられた時には」
「提督になりだ」
 艦隊、つまり一軍を指揮出来る様になったというのだ。
「そしてだ」
「さらにですね」
「戦いの中にあり」
「そしてですね」
「今に至るのですね」
「軍人にはなりたかったがだ」
 出世もだ、そして国家元首になるまではだ。
「考えてもいなかったし想像もしていなかった」
「しかしですね」
「国家元首になられたからには」
「義務感か」
 それがあるというのだ、今の彼には。
「それに従いだ」
「サハラを統一され」
「皇帝に即位されて」
「そしてですね」
「サハラを繁栄させるのですね」
「これからは」
「そのつもりだ、サハラをだ」
 自身が治める国をというのだ。
「発展させる、そうさせることは考えている」
「国家元首の義務ですね」
「まさにそれですね」
「そうなる、私は趣味もある」
 読書にトレーニングだ、これまた質素な趣味である。
「こちらは日課にもしているが」
「では大切なものは」
「閣下にとってのそれは」
「軍人としての精神か」
 それがだ、彼の大事にしているものだというのだ。オムダーマン、いやサハラの軍人としてのそれである。
「それだ」
「軍人の精神」
「即ちマムルークの精神か」
「それがですか」
「大事なのですね」
「何度も言うが私は軍人だ」 
 自ら志願してなりその中で生きてきた、そうした者だというのだ。
「アッラーによりそうして頂いただ」
「だからですか」
「軍人としての精神がですか」
「最も大事なものとなりますか」
「閣下にとっては」
「この軍服は脱がない」
 決して、というのだ。
「私は礼装でもこれだな」
「はい、軍服です」
「常に」
「それは閣下が軍人だからですね」
「だからこそですね」
「この服なのだ」
 タキシードもスーツも着ないというのだ。 
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