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星河の覇皇

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第六十六部第二章 連合の小国その九

「現状に満足していたりだ」
「その他にもですね」
「それぞれの満足の仕方を見出している」
「それぞれの価値観に対して」
「そうだというのですね」
「だから幸福を感じる者が多いのだ」
 割合的に言って連合で最も、というのだ。
「そうなるのだ」
「ですか、では」
「あの国はですね」
「確かに幸せなのですね」
「そうなのですね」
「幸せを感じる感覚は主観だ」
 客観ではなくだ、それだというのだ。
「周りがどれだけ不幸だと思っていてもだ」
「それでもですね」
「自身が幸福だと思えばですね」
「それで幸福ですね」
「幸福とはそういうものですね」
「そして幸福と思えるならばだ」
 その主観によってだ。
「それだけで人生の達人と言えるかも知れない」
「人生を楽しめている」
「だからですか」
「幸福を見いだせる者は人生の達人である」
「そうも言えますか」
「そうかもな、だからだ」
 この考えからいくと、というのだ。
「ブータン人は人生の達人が多いのかも知れない」
「それぞれの幸せを感じられている」
「それ故にですか」」
「彼等は人生の達人が多い」
「そうかも知れませんか」
「少なくともその王は何と言っていたか」
 官僚達にだ、アッディーンは問うた。
「自分自身を」
「はい、望む城を全て築城出来たことに喜んでいました」
「しかも自国の市民に一切負担をかけずにです」
「尚且つ築城を市民達に応援され完成を一緒に喜んでもらい」
「そのことをです」
「一生心から喜んでいました」
「その様です」
 官僚達もアッディーンにその王について話す。
「これ以上はない幸せな人間であるとです」
「よくそう言っていたそうです」
「そしてその幸せを後世の子孫、自国の市民達に残したい」
「そうともです」
「ならばだ」
 その王のそうした話を聞いてだ、アッディーンは述べた。
「王はやはり幸せであったのだ」
「ご自身で言っておられるから」
「だからですね」
「そのブータン王はですか」
「幸せだったのですね」
「そうだったのですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「その王は幸せだったのだ、幸せか」
「国家元首の務めは最大多数の国民に最大数の幸福を保障すること」
「それが務めですが」
「それはサハラでも同じ」
「そうですね」
「そうだ、私は今もそうだ」
 オムダーマンの国家元首である大統領だ、だからこそだ。
「国家元首であるだけにだ」
「全ての国民は無理ですが」
「それでもですね」
「最大多数の国民にです」
「最大多数の幸福を保障しなければなりませんね」
「それが犯罪でなければだ」
 オムダーマンの法律に触れなければだ。
「その限りはだ」
「その国民の幸福を保障する」
「それが義務ですね」
「オムダーマン大統領、そしてサハラ皇帝の」
「そうですね」
「その通りだ、国家元首はだ」
 まさにというのだ。 
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