| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

仮面ライダーLARGE

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三話「チカラとは?」

 
前書き
久しぶりの投稿です。何気なくちょっとライダー熱が出てしまったので書きたくなりました。 

 
 インターポール・フランス本部にて

 「おいおい? まーた仮面ライダーかよ?」
 次から次へと仮面ライダーが続出してくる。しつこいったらありゃしないという呆れ顔をする男の名は滝和也。かつて日本を救った伝説のFBI捜査官として有名であるが、今はインターポールになって退屈な書類整理に追われる日々を送っている。
 「今頃、本郷達はどこで何してんだろーかね?」
 「滝?」
 何冊ものファイルを抱えながら通路を歩いていると、背後からある一人の女性に呼び止められた。
 「……?」
 「暇してるようね?」
 ため息をついて、つまらなさそうな顔をしている滝を見た。
 「ああ、毎日が退屈で死んじまいそうな仕事だ。誰だよ! 俺をこんな書類整理っつう拷問業務に移した野郎は!」
 「そういうと思って、アンタにやってもらいたい仕事を持ってきたわ?」
 と、彼にある一通の白い封筒を差し出した。滝は、それを見て「待ってました!」と笑みながらそれを受け取って中身を空けて広げた。
 「サンキューな! アンリ?」
 女性の名は、アンリエッタ・バーキン。かつて滝や仮面ライダーと共に世界征服を企てる悪の組織に立ち向かったFBIの一人である。
 「おっ! 日本か? 久しぶりだな~」
 「ええ、本来なら私が行く予定だったんだけど、日本語はどうも不慣れなの。それに、現在日本はISの発祥の国として外国人に対しては厳しいらしいのよ。そこで、日本人である貴方が行く事になったわけよ? まったく、ISなんかあるせいでFBIの商売もあがったりだわ? 各国の政府もIS委員会に結構な援助をしてるのにね?」
 そう、皮肉を言う彼女を目に滝は苦笑いした。
 「日本のとある神社で怪人が出現か……?」
 「それも、ショッカーのロイドシリーズらしいの。このロイドは、ある一体のライダーによって退けられたらしいけど……」
 「本郷達か……?」
 「違うわ? 見たこともないフォルム……一見『がんがんじい』みたいな大柄な体系なんだけど……やっぱり姿形は『仮面ライダー』そのものよ?」
 「はぁ? なんじゃそりゃ?」
 滝は、ポカンと首を傾げた。手作りのアーマーを纏って、軍艦マーチの替え歌を歌いながらスクーター乗り回すような青年がもう一人いるようには思えない。
 「私もよくわからないのよ? もしかすると、新手のライダーかもしれないわ?」
 「お、こいつか?」
 きれいに撮影できない画像だが、されど体系は肥満的な大柄体系である。
 「ま、がんがんじいよりかは強そうだけどな……?」
 「……どうするの? 行く?」
 「ああ! ちょうど、腕も鈍ってたところだ」
 「じゃあ、成田に着いたら一条という長野県警の刑事と合流してちょうだい? 彼もあなたと同じライダーに詳しい人間らしいから」

 ネオショッカー日本支部にて

 「……なに? これが例のライダーか?」
 グロリアスは、カラスロイドのビデオレコーダーより撮影された、境内で戦う大柄な体系のホッパータイプを目に唸った。
 「ほう……見た目からしてパワータイプの強化人間のようですな? 映像を解析した結果、各ボディーの至る箇所から人体の身体能力を大幅にアップさせるパーツが施されているようです」
 彼の隣に立つジルキスは、そのデータの書類をグロリアスへ渡した。
 「なるほど……して、ジルキス?」
 グロリアス書類に目を通す視線はジルキスへと移った。
 「はぁ……」
 「この、ホッパーは我々に対して危険に値する存在であろうか?」
 しかし、そんな問いにジルキスは速攻にキッパリと答えた。
 「いえいえ、全くの論外でございます。戦闘員やソコソコのロイドシリーズでは強敵となりかねませんが、本郷猛をはじめとするこれまでのホッパーシリーズと比べたら、なんともチッポケな存在です。出撃時の費用が無駄になるだけです」
 「ほう? こちら側がその気でやれば、赤子の手をひねるも同然というわけか?」
 「まぁ……いかがなさいますか?」
 「よい、時期に大首領『JUDO』様が進められる計画時には気づかぬうちに存在が消されているであろう? すておけ……」
 「それがよろしいですな? しかし……」
 「なんだ?」
 「例のカラスロイドでございますが……このライダーにリベンジさせろと喧しくてかないません」
 「出撃してもよいが、補充はせんと伝えておけ? こちらはただでさえ費用に限りがあるのだ……」
 そして、グロリアスは再び画面へ目を戻した。
 「あと……このライダーと共に映っているこの小娘は何者だ?」
 モニターにもう一人移るはライダーのバックに立つ一人の少女、和風装束をも要したような身なりを持つこの存在に、グロリアスは視線を変えた。
 「この者も同じ強化人間の可能性がございます。調べた結果、非戦闘タイプの傾向に近い種類かと……」
 「このものについて、貴様はどう見る?」
 「前者のライダーと同様の感じですな? もっとも、戦闘タイプのバックアップとしての存在ゆえに、あのライダーのバディーかと思われます。何度も申しますが非戦闘タイプゆえに、脅威などは感じません」
 「そうか……うむ」
 すると、グロリアスはやや同じ映像をジッと見つめ続けていた。
 「指令?」
 そろそろ映像を消しますぞと伝えようとしたのだが、グロリアスはジッと見つめている。
 「華麗だ……」
 と、グロリアス。

 成田空港にて
 
 「インターポールの滝刑事ですか?」
 「ああ……そうだけど?」
 「……お待ちしておりました。長野県警の一条です」
 成田空港第一ターミナルの正門前に立っていたのは長野県警から来た一条薫であった。彼も、かつてクウガと呼ばれるライダーと関わったことのあるライダーの協力者の一人だ。
 「あんたがか?」
 最も、インターポールというエリート職業をしている自分よりも、彼のほうがよっぽどエリートの様になっている風格だ。
 「日本を救った伝説のFBI捜査官ということで有名と聞きます」
 「いやいや! 大方ライダーたちの力で、俺はちょびっと手伝っただけだよ?」
 「まぁ……とりあえず、乗ってください?」
 滝を車へ乗せると、一条は空港から出て目的地である地点へ向かってハンドルを切った。
 「ところで……一条警部?」
 「はい?」
 移動中、後部席に座る滝は一条へこう問う。
 「あんた……クウガっていうライダーと知り合いなんだってな?」
 「……ええ、一様ですが」
 「そうか、今そのクウガってのはどこで何してんだ?」
 「そうですね……彼も、雲のように自由な人間なので」
 「ん? 強化人間じゃないのか?」
 「古代遺跡の産物であるベルトを装着してライダーになってしまった青年です。しかし、それでも本当によくやってくれましたよ。他者の痛みを自分の痛みと思い、誰よりも一番人間らしい奴でした……」
 「……それで、グロンギを倒したのか」
 「ええ、しかし……今度はショッカーと名乗る組織の?」
 「おう、今回ばかりは先人のライダー達も頑張ってもらわねぇとな?」
 「そうですね……」
 ――俺よりもコイツの方がインターポールに向いてるな?
 皮肉にも、滝はそう一条の後ろを見つめた。

 あの戦いから数日後、俺と朱鳥は再び神社の自宅内で話し合っていた。自分たちが強化人間なのかもしれないという自覚を抱き、戦いが終わった後に社務所の客室で互いに話し合った。ライダーやらの姿は、戦う意思が失せれば自然と元の人間の姿に戻っていた。
 「……そういえば、あの時どうして俺に変身しろって言ったの? なんだか、俺が仮面ライダーになるのがわかっていたみたいでさ?」
 咄嗟に叫んだ彼女の一言に、俺はまっさきに問う。
 「なんとなく……でしょうか? テレビの影響かもしれませんね~……」
 と、朱鳥はそう苦笑いした。何はともあれ、彼女のおかげで俺はあの危機をどうにか脱することができたのだ。
 「でも……これからどうするか?」
 やはり、この体になってしまったからには、これ以上学校生活なんて送ることなんて不可能だ。ま、よくある話だよな? サイボーグや強化人間になってしまった主人公が、力を制御出来ずに周りの人物を傷つけてしまい、そういった苦難を抱えてしまうとか?
 「でも、神社を離れるわけには……」
 「また、怪人の連中が襲ってきたらどうすんだ?」
 「うぅ……」
 「とりあえず……今は今後のことを考えるしかないよ?」
 そのとき、ふと玄関のインターホンが鳴り響いた。朱鳥は、「はーい!」と相談会議を一時中断させて玄関に向かった。
 「はい、どちら様ですか?」
 訪れに来た来客は、サングラスをかけた長身な男であった。男は、目の前の美少女巫女を目に、やや顔を赤くした。
 ――ほぉ……こいつは可愛い子ちゃんだぜ!
 幼気な顔であるも、綺麗だというには変わりない。滝は、そんな少女を前にやや取り乱してしまった。
 「あの……どうかなさいましたか?」
 「あ、いや……すまねぇな? ちょっと、聞きたいことがあってね?」
 「はい……」
 「インターポールの滝和也ってんだ。お嬢さん、ちょっとお伺いしてもいいですかな?」
 「は、はい……あのどうぞ?」
 と、朱鳥はホイホイとこのインターポールの捜査官を家の中へ招き入れてしまった。
 「お、先客か? 悪いな?」
 突然招き入れた客に、俺は苦笑いしてやや席を外した。その来客はあとから朱鳥が持ってきた緑茶を飲みながら客間に座っていた。
 「……誰なの? あの人?」
 俺は、怪しむ目を客間で茶をすする男を見たあと、台所でお菓子を用意している朱鳥へ訊ねた。
 「インターポールの人らしいですよ?  ところで……インターポールって、何なんでしょうか? 九豪君はご存知ですか?」
 「えっと……確か、国際警察だっけ? 詳しいことはよく知らないけど……って、そのインターポールが来たの!?」
 「どうしてでしょうか……?」
 「考えられる理由はただ一つ。俺たちだよ!」
 「え? どうしてですか?」
 「俺たちが強化人間だからだろ?」
 「でも……そんなに早くバレちゃうものでしょうか?」
 「警察ってもんは些細なことでも徹底的に調べつくすからね? てか、どうするんだ?適当なこと言って帰ってくれるような相手じゃないし……」
 そうこうしている間にも、客間から滝の声が聞こえた。
 「あっ、朱鳥ちゃん? お茶とお菓子お代わりねー」
 客間で胡坐をかく滝は、空になった湯飲みを掲げて朱鳥を呼んだ。
 「あっ、はぁい。ただ今~」
 と、単純な彼女はそのまま急須とお菓子の入ったお盆を持って滝のもとへ戻った。
 ――態度からして凄い堂々としているし、てか図々しい……
 只者じゃない。ってことは俺も知った。だが……
 「胡散臭い」
 俺はそうつぶやいた。
 「……さて、そろそろ本題に移るが?」
 と、滝という警部は俺も呼び出して朱鳥の隣に座る。
 ――さて、どうくる?
 別の話から話題を言って徐々に俺たちを油断しつつゆっくりと気づかれないように話を本題へ向けようとするに違いない。インターポールってのはエリートと聞く。なら、それぐらいの話術はもっていてもおかしくはない!
 ごくりと、俺はつばを飲み込んだ。一方の朱鳥はどうも実感がわかないのが、のほほんとしている。口を滑らせそうでこっちが怖い……
 「じゃあ、聞くぞ?」
 ――さぁ、どう来る?
 「お前ら……」
 ――来たぁ……!
 俺の心臓はバクバクと高鳴る。
 「仮面ライダーか?」
 「……へっ?」
 「いやだからさ? お前らって『仮面ライダー』だろ? 知ってる? 今時だけどその『仮面ライダー』って」
 「……」
 いや、どういうことだ? え? 真っ先にそこから聞くのか? どう答えたらいいのか逆に困った。
 「そこの姉ちゃんもそうだろ? 強化人間だってな?」
 「あ、はい……そうですけど?」
 「って、桑凪さぁ~ん!!」
 俺は突っ込むように叫んだ。どうしてすぐに流されて言っちゃうんだろうか、この娘は。
 「え? あっ、いっけない……」
 今更両手で口元を抑えても遅い。滝は納得するかのように頷いた。
 「なるほどな? まぁ、いい。別にお前らを逮捕するわけじゃねぇ……話を聞いてくれないか? 今後についての相談もしてやる」
 と、彼は何やら協力的になって俺たちの相談に応じてくれたようだ。聞くところによると、この滝さんは多くのライダーと知り合っており、今まで活躍してきたライダーの生きざまから、今後の俺たちの生活をどうすればいいかをアドバイスもしてくれた。
 「多分、ショッカーの連中はお前たちを襲うようなことはもうないだろう?」
 「え、どうして?」
 「初陣からここ数日間、特に異常はなかったろ? 敵が襲撃してきたりとか」
 「はい……ありませんでした」
 朱鳥も、同級生にいじられる以外はとくにかわったようすはなかった。そもそも、最近はいじられそうになったら、雷馬が助けに来てくれるから助かっている。
 「あの戦いから、奴らはお前らを研究して、再び襲っても意味がないことと知ったんだろう」
 「どうして、わかるんですか?」
 「初陣で、お前さんが敵の片腕取ったことは戦果であるも、これ以上しても無駄な時間だと知ったんだろう? すると、おそらく近いうちにデッカイことを奴らはしでかすかもしれないってことだ。そんときまで当分は泳がせておけってことだろうな?」
 「……」
 一見、胡散臭そうにもやはりキレる人のようだ。これがインターポールの捜査官の実力か……
 「じゃあ、神社で生活はとりあえず大丈夫なんでしょうか?」
 と、朱鳥。
 「まぁ……しばらくはの話だ。だが、あまり正体が知られないよう学校は中退した方がいいかもな?」
 「えっ? やっぱり……ですか?」
 と、俺もだ。
 「当たり前だ。どのライダーもやっぱ力の加減に不慣れで、悪気がなくとも他者を傷つけちまうことだってあったんだ」
 ――ちぇっ! 今まで虐めてきた奴にちょっとぐらい仕返ししてもいいじゃんか?
 と、俺は少し野望を抱いた。ま、それが原因で悲劇につながってもいけないしな。
 「じゃあ、しばらくの間はここでおとなしくしていることだな? いくら仮面ライダーだからって、無茶はいけねぇ。世の中が平和になったときにはその体を社会に役立てることだ。まぁ、俺が言えるのはこんぐらいだ。相談だったら、いつでも乗るぜ? ほら……」
 と、彼は僕らに電話番号のメモを渡して、座布団の席から立ちあがった。
 「人間じゃない体になっちまったのは酷だが……それをどうとらえるかが正念場だぞ?」
 滝さんは、最後にそう言い残して神社から出ていった。一体、あの人は何だったんだろうか? 俺たちの正体を暴いた後は言いたいことだけ言って用が済んだら帰って行ったのだ。しかし、これで今後どうするべきかの助言は授けてくれた。
 ま、とにかくしばらくは目立たないように暮らしていればそれでいいということだ。
 ……が!
 「学校中退するってことは、早々に働けってことだよな?」
 しかし、中卒からの就職なんてたかが知れてるからな……
 「あ、でしたらここでお手伝いしてくださいませんか? お給料についてはわからないことが多いですけど、一様……ご飯やお風呂は提供できますし」
 「え! そ、それって……」
 「同居っていうんでしょうか?」
 「……」
 今、俺の脳内にはとんでもない非現実的な展開の予想が何度も駆け巡った。これは、よくある展開とは言えない。主人公が普通の、悪くてもモヤシ眼鏡野郎ならともかくだ。美少女のヒロインと同居する主人公がデブキャラつったら……
 ――こんな展開ありかよ~!?

 神社の外にて
 
 「わるいな? 待ったか?」
 滝は、石段を下りて、下で待つ一条の元へ帰ってきた。
 「……いいえ、どうでしたか?」 
 一条は、石段の入り口付近に車を止めて滝が戻ってくるのを待っていた。本来は彼も共に行こうとしたのだが、ここは滝自身が一人で行くと言い出したので、先輩の彼の意見を聞いて、滝一人を境内へ向かわせたのである。強化人間の場合、その力に混乱、動揺して人間不信になりかねないという状況もあり、ここは親身な対応と長年ホッパータイプの強化人間との付き合いが長いことからだ。
 案の定、ライダーに変身してしまったのは大柄な青少年であり、彼の隣にいた少女も同様の存在になっていた。まだ、力の加減で困惑する前触れであるのか今後についてで悩んでいたことから、ここは彼はそれなりにわかりやすい助言を与えて、今後についての意見を聞きだして、何かあればと連絡先を渡して出ていった。
 「状況はどうです?」
 「ああ……やっぱ、強化人間だったわ。偶然か成り行きかで変身したらしくて、その後について悩んでいたそうだ」
 「そうですか……彼らは今後どういう?」
 「とりあえず、この先は学園生活なんて無理だから中退するようすすめた。下手にケンカでもしちまったら、相手を殺しかねない力を強化人間は持ってる。手遅れになる前にできるだけ人気は避けろってな?」
 「強化人間は序盤、力の制御も難しいとも聞きます」
 「ああ、それもある。さて……とはいえ、今後はしばらく監視した方がいいかもしれない。ショッカーの連中が今後どう動くかも気になるしな?」
 二人はとりあえず所へ戻った。
 
 翌日、藍越学園にて

 今日、俺たちは退学届けを書くため、書いた書類を教員に渡した。教員には帰国してきた両親の都合で引っ越すと適当に理由を言い、朱鳥は虐めが酷すぎるから転校するという理由らしい。まぁ、ただでさえ三原の件もあったから、彼女としてはトラウマを抱えてしまったのだろうと、その辺は他の教員も十分に理解している。
 どうにか俺たちの中退の手続きは終わり、今日が最後の授業となった。俺は、今まで個人的にお世話になった購買のおばちゃんにお別れを言いに昼休み、足を運んだ。
 「……転校するのかい?」
 「はい、おばちゃんにもお世話になりました……」
 「そうかい……明日からお兄ちゃんがここへ来なくなると思うと、寂しくなるね? それと……朱鳥ちゃんも、転校するんだってね?」
 「はい……」
 「やっぱ。あのゴリラ野郎のせいだね? まったく、ロクな教員が居ないね! まぁ、次の学校では幸せに学園生活を送ってもらいたいもんさね?」
 「そうですね?」
 「あんたも、次の学校では元気にやっておくれよ?」
 「はい、頑張ります」
 「じゃあ、これ持っていきな? あたしの奢りだよ?」
 と、おばちゃんは俺に袋に俺の好きなパンを詰め込んで渡してくれた。
 「え! そんな、いいんですか?」
 「学園で一番良い子っていったら、アンタと朱鳥ちゃんぐらいしか知らないしね? そうだ、これ朱鳥ちゃんと一緒に食べな? あのとき、良い感じになったんだろ?」
 そうニヤニヤされてしまい、俺は顔を赤くした。
 とはいえ……朱鳥に何ていえばいいんだろうか? 廊下を歩きながらどういうセリフを言えばいいかを考えていた。
 「よう! 雷馬?」
 後ろから声をかけてきたのは弾だった。あいかわらず能天気な態度である。
 「お前か? ったく、転校の噂を広めやがって……」
 「悪い悪い! そうだ、一緒に飯でもどうだ?」
 「ああ、悪いけど……桑凪探してんだ」
 「桑凪も居るぞ? 屋上に」
 「え! どうして……」
 「お前と桑凪に話があるんだ。とりあえず、来てくれ? ちょっと……つーか、超大事な話だからさ?」 
 と、弾は俺を屋上へと連れだした。屋上には、彼が言った通り朱鳥が居て、呑気に座り込んで俺たちが来るのを待っていたのだ。
 「それで、話ってなんだよ? 弾」
 俺が問う。
 「ああ……その前にさ? 単刀直入に聞く」
 そういって、彼は俺に立ちに問う。
 「……お前らさ? もしかして、『仮面ライダー』?」
 「……ッ!?」
 ど、どうしてそれを!?
 「驚く顔したってことは、やっぱりか……」
 「え、いやッその……」
 俺はやや危機感を感じて隠そうとしたのだが……
 「仮面ライダー? ええ、九豪君がそうですよ? 私はちょっと違う強化人間です♪」
 「なっ!?」
 あっさりと言ってしまう朱鳥に、俺は勢いよく振り返った。
 ――何バラしてんだよッ~!?
 「こりゃ、大当たりだな?」
 弾は両腕を組んで納得するようにうなずいた。
 「弾……何で、お前が知ってんだよ?」
 俺はやや険しい顔をして弾を見た。
 「おいおい、睨むなよ? 別にどうもしないって? 聞いただけだよ? ``同業者``かどうかをね?」
 「同業者って……まさか! お前!?」
 「ああ……これがわかるか?」
 と、弾は制服の上着をたくし上げてベルト部分を俺たちに見せると、そこから分子展開でライダーベルトが装着された。
 「俺も、仮面ライダーだ。コードネームは『NACHT(ナハト)』……」
 そして、弾はそのままライダーベルトの展開を解いて、それは粒子となって消えた。
 「すごーい! 五反田君も仮面ライダーなんだ~!!」
 呑気に朱鳥は驚いている。俺も呑気さを除いては同様に驚いている。
 「……で、お前のコードネームは?」
 「っえ? 俺?」
 「そう、お前がライダーでいるときのコードネームだよ? クウガとかアギトとか、ああいうのだよ?」
 「……」
 正直、弾に聞かれるまでそういうのには気づいていなかった。何せ、混乱続きだったため……
 「さぁ……?」
 「ベルトに書いてあるぞ? ほら、展開してみろよ?」
 「展開?」
 「ベルト来い! ってな感じでさ?」
 「えっと……こうか?」
 俺も、ベルトの展開を念じると、弾と同じような形でベルトが腰に装着されていた。
 「あ、できた……」
 「えっと……ベルトの、ここだ! ここ!」
 「ここって……?」
 弾は、俺のベルトの中央の部分に刻まれたアルファベットの単語を呼んだ。その単語は、「LARGE」と書かれてある。
 「LARGE(ラージ)? そう読むのか? って、ラージってお前……ははは! 確かにお前にはお似合いのネームだぜ?」
 ラージ、それは大柄、巨体、太ったという意味だろうか? 俺も詳しくは知らないが……って、弾! 
 「なぁ? ところで桑凪はどういう恰好してんだ? 見せてよ?」
 「あ、弾……そいつはちょっと」
 俺は言う、あれは少し露出度が……
 「ちょっと、恥ずかしいでうすぅ……」
 と、同様に朱鳥も恥じらった。
 「え、うそ! 超見たいんだけど……」
 「ああ! もう! また今度な? そもそも、どうしてお前がライダーやってんだよ?」
 俺は弾に訊ねた。どうして、こいつもライダーなのかと。
 「そういうお前達こそなんで俺と同じようなことになってんのさ?」
 弾に同じように返された。
 「偶然と成り行きだよ?」
 「俺も偶然と成り行きだ。出前の帰りに変な奴らに拉致られて気づいたら仮面ライダーさ? そのあとは力を制御するのに苦労したよ? でも、俺よりもお前の方が俺以上に苦労しそうだな? 見る限りパワータイプだろ? それ相応な技が必要だし。まぁ、それが理由で、転校するのはいい選択だ」
 「インターポールの滝ってひとからそうしろって助言をくれたんだ」
 「インターポール? ああ、最近周囲に覆面パトカーが多いと思ったら、そのせいか? 一様、俺もマークされてんのな?」
 「お前は……学校に残るのか?」
 「クソ爺とバカ妹を除いちゃあ、この町が好きだらな? 俺……」
 そうか、確か……こいつの家は食堂をやってて、祖父と妹の三人暮らしだったな? こいつはよく二人の悪口言いまくってるけど、仲がわるいんだろうか?
 「まぁ、おいおい頑張っていけや? もし、なんかあったら尋ねに来いよ? あ、場所しってる?」
 「ああ、一様ね?」
 昼休憩の終わりを告げるチャイムは鳴りやみ、俺たちは弾と別れて教室へ戻った。
 
 それから放課後、今日でこの学園にも別れを告げて俺は朱鳥と共に帰宅路を歩いた。これから、出来るだけ目立たぬように暮らしていかなくてはならない。難しいだろうな?
 「……あ! そういえば?」
 途中で、朱鳥が何かを思い出したようだ。
 「どうしたの?」
 「今日、御夕飯のおかずを買わないと……」
 ――なんだ、買い物か? 
 「あっちゃ~……前回買い忘れちゃったから、今日は多めに買わないと……はうぅ」
 何だか大変そうだ。まぁ、ダメもとでと俺は問う。何だか、女子とはいえ妙に朱鳥とは話しやすくなったような感じがする。
 「もし……俺でよかったら、手伝おうか? 荷物持ちぐらいなら」
 「え、いいんですか?」
 「まぁ、俺でよければだけど……?」
 「はい! おねがいしますぅ~!」
 と、すんなり受け入れてくれた。何だか、彼女は俺のことを信用している。まぁ、うれしいけど……うん。
 買い出しは、熊牙神社の近くにあるスーパーであった。俺はカートを引いて、買い物メモを片手に前を行く朱鳥へとついていく。
 「助かりました! わたしって、結構食べちゃう方なんで……」
 「そ、そう……?」
 夕暮れ時の帰り道、俺は両手にパンパンの買い物袋をよいしょと持って歩いている。結構食べるんだな? 下手すれば俺より食うんじゃね……?
 「ははは……食べるの好きなの?」
 「うん! 山盛りスイーツとか大好物で……」
 ――スイーツ好きか、やっぱ女の子だな?
 強化人間になったとはいえ、やっぱり趣味は変わらないようだ。俺も同じである。
 「九豪君は、好きな食べ物とかありますか?」
 「俺? そうだな……ラーメン?」
 「ふふっ、九豪君らしい食べ物ですね? 豚骨味とか?」
 「豚骨醤油、国道あたりにあるラーメン屋のが大好きなんだ」
 「そうなんだ……」
 雑談が続く中、次に俺が言おうとした時だった。
 「うわぁ~! 九豪君、見てください?」
 「……?」
 何やら、飛鳥がふと目に留まったスイーツ店に展示されている食品サンプルを目をトロかせていた。
 「おっきなスイーツですよ~!?」
 「ああ、デッカイな?」
 「はうぅ~食べたいなぁ……あ、でもお小遣いもう無いし……」
 値札を見れば、二千円相当と結構するスイーツ、厳密にいえば直径50センチ近くもある、クリームで分厚く膨れたイチゴとバナナの大盛りクレープである。しかし、その値札の隣にあるプレートには「今日だけ特別サービスデー!」と書いてあり、値札には二千円に赤くバッテンされて、二千円が千円に半額で販売されていた。
 ――うわぁ~……見るだけで胸やけしそう~
 俺も甘いものは好きだが、さすがにこれを一人で食うと思うとちょっとな……
 「おいしそうぅ……」
 しかし、朱鳥は一人で食べたい気満々のようだ。しかし、小遣いがないことが唯一の難点だ。そういえば……
 俺は、ふと財布を見た。偶然にも中に千五百円相当の金額が残っている。
 「……桑凪さん、よかったら食べない? それ?」
 「へっ?」
 「よかったら、奢るよ?」
 俺は笑顔というよりかは苦笑いした。
 
 「くうぅ~! 美味しいですぅ~!!」
 店内の向かい合わせの席で、はむっとバカでかいクレープをかじり、頬張る朱鳥を目に俺は苦笑いだ。見ているだけで胸焼けしそうだ……
 「でも……いいんですか? 私、御馳走になっちゃって……」
 遠慮しがちで、何度も聞いてきた。そうだろうな? まぁ、俺は一番安い百円のジュースを片手に苦笑いした。
 「ははは、いいよ? 遠慮得ずに食えって?」
 「でも……」
 「本当に、スイーツが好きなんだな? 俺も久しぶりに好きなラーメン屋いくときとか、調子に乗って大盛り頼んじまうからさ?」
 「そうなんですか? あ、じゃあ……はい! 半分こです」
 と、彼女はナイフでクレープの半分を切って、下半分を俺に寄こした。
 「いいのか?」
 「はい、一緒に食べた方がおいしいですし」
 「じゃあ、こちらも遠慮なく」
 俺もクレープに食いついた。おお……意外と美味いじゃんこれ! 
 どれ、もう一口……と、俺はもう一度クレープへ口をつけようとしたところだった。
 「……あれ? あれは!?」
 口元にクリームをつけたまま、朱鳥が何かに気づいた。俺もそれにつられて窓を見た。
刹那、上空に映っていたISのシルエットは瞬く間に俺たちの元へ急降下して、その間合いへ飛び込んできた!
 店舗のガラスは一斉に割れて、周辺の客は血相を書いて逃げ惑う。衝撃で飛ばされた俺は朱鳥をかばって共にガラスの破片が散らばる地面へ伏せ込んでいた。
 「な、なんだ……!?」
 ゆっくりと背後を振り返って窓辺を見た。そこには……
 「あ……ISッ!?」
 そう、飛行タイプのISで名は確か……ラファールとか言っただろうか? ニュースで見ただけの知識だから詳しいことはわからないにせよ、俺は仁王立ちしながらこちらへライフルを向けるラファールの装着者を見た。
 「な、なんだ……!?」
 「貴様が……例のマスクド・ライダーか?」
 ラファールの装着者が問う。
 「だ、誰だよ! アンタ?」
 「質問に答えろ! お前たちが新たに発見された強化人間か?」
 「……ッ!」
 どうする? その唐突の問に答えればいいのか、否か……しかし、こっちにはどうすることもできない。今、仮面ライダーに変身して立ち向かったとしても、相手はISとはいえ装着は見ての通り女性だ。正義の味方である仮面ライダーが人を、それも女性を傷つけることなんてあってはならない! しかし、そんな美学を貫けるものだろうか?
 「うぅ……九豪君?」
 俺の胸の中で泣きじゃくる朱鳥を見て、俺はこれ以上辛抱ならなかった。
 「ッ……」
 しばらくして、俺の重い口が開いた。
 「……だとしたら、なんだよ?」
 「死ね!」
 ――そうくるかよ!?
 ラファールは、両手のアサルトライフルを発砲する。俺たちをハチの巣にしようという気でいるようだ。ライフルの連射によって辺りは粉々になったのが煙に代わって辺りに立ち上がって俺と周囲の光景はその煙に包まれて見えなくなった。それでも、ラファールはライフルの引き金を引き続けた。
 カウンターや展示されている洒落たオブジェなども次々と銃弾で微塵にされていく。天井の蛍光灯もバラバラになり。それも煙に舞ってしまう。
 そして、銃弾が切れたところで状況を確かめるべく破片の煙が止むのを待ち続けた。
 「やったか……?」
 これだけの対戦車用小型貫通弾をこの至近距離で全弾命中させれば、いくら強化人間だろうと、ひとたまりもあるまい。
 しかし……
 「なにッ……!?」
 煙が立ち去った目の前の状況は違った。そこには少女を胸に抱いて庇う巨体のアーマーを纏った強化人間の姿があった。
 「……」
 少女を抱き上げたままゆっくりと立ち上がる強化人間はそのまま背後のラファールへと振り向いた。その姿は紛れもなく……
 「マスクド・ライダー……!?」
 ライダーは、気を失った少女をカウンターの上に寝かしつけた。そして身をラファールへと向けた。
 「死なせない程度に何とかしないとッ……!」
 巨体とは思えない速さでラファールへタックルを仕掛け、ISを店から外へ押し出した。
 「くぅ……パワーは強いが、空中なら!」
 ラファールは、空へ浮上してライダーの頭上からライフルを射撃し始めた。
 「やっべ……!」
 両腕で頭部を覆う俺ことラージだが、全く銃弾何て受け付けることなく跳ね返され、痛みやこそばゆさすら感じない。
 「この程度の攻撃なら!」
 しかし、敵は空の上である。こちらに空を飛ぶような機能なんてない。どうすればいいんだ!?
 「逃げ惑うだけか? ライダー!!」
 「くそっ!」
 俺は、その巨体で地響きを立てながらラファールから逃げ回った。
 こうなっちゃ手も足も出せない! 出来るだけ朱鳥が居る店から遠ざけないと……
 「……!」
 しかし、ラファールは俺をあぶり出すためか周囲のあたりの逃げまどう人たちが居るのに、上空のラファールは攻撃してくるではないか、周辺からは幾人もの悲鳴が響いてくる。こんな非情な敵を見逃すわけにはいかない。周囲は実に悲惨だった。
 「た、助けてくれぇ……」
 巻き込まれて頭部を負傷してその場に倒れて苦しむ人。
 「ママッ……! ママァ……!!」
 母親とはぐれて泣きわめく小さい子供。いや、逸れたんじゃない。その子のズボンには赤い血がべったりと染みついていた。
 逃げるにつれて、その場に倒れて動かない人たちも幾人か見えた。大勢の人たちがISの奇襲に巻き込まれて、もだえ苦しんだり、動かなくなったり……
 「ッ……!」
 女尊男卑だからって、こんなことが許されると思っているのか!?
 ――許さないぞ……!
 叫びあい、逃げまどう人々の大混乱した中を、目立つ身なりであるライダーが走り回り、ふと目の前の瓦礫の裏へ回り込んで身を潜めた。
 「どうにか対策しないと!」
 「あれ? 君は……?」
 「……?」
 隠れる瓦礫の隣に先客がいた。見覚えがある。
 「やぁ、久しぶりだね? おデブライダー君?」
 「おデブは余計だ! コソ泥ライダー」
 そう、熊牙神社でベルトを盗みに来たディエンドとかいう泥棒ライダーだ。コイツだけは仮面ライダーとは認めたくないな?
 「怪盗ライダーって言ってほしいかな?」
 「それよりも、何でISが……!」
 「どうせ、IS委員会が差し向けたんだろ? 連中はこの世界で最もイレギュラーとなる仮面ライダーの存在を許すはずがないからね? ライダー狩りってやつを決行したのさ? ま、とはいえ今まで一体もライダーを仕留めたこともないし、逆に返り討ちされて死者すらでてるらしいけど? まー、王蛇やベルデはガチで容赦ないからね……」
 「そんなことよりも、アレをどうすればいいか考えてくれよ!?」
 擦れすれのところを銃弾が掠った。
 「え~? 僕の専門外だからな……まぁ、今時のメイドインショッカーのライダーたちは対IS機能も搭載されていると思うから何とかなるんじゃない? じゃあね!」 
 と、気づいたら彼の姿は消えており、どこにもいなかった。
 「くそッ! マジでどうすりゃ……」
 ――ISも機械だから、ショートしちまったら動かなくなるかもしれないけど……
 電流、ショート、そう思いつつ全身から力が込みあがってきた。すると、どうだろうか?目の前で半壊した信号機の点滅に電流が走り、その後はピクリとも動かなくなり、信号の点灯部が砕け散ってしまった。
 「……!?」
 それに目を丸くする俺は、イチかバチかと賭けてみた。
 「どこだ……ライダー!?」
 しびれを切らして、ラファールは銃を乱射してはあぶり出そうとしていた。
 そのとき……
 「うおりゃあッー!!」
 目の前擦れすれを巨体のライダーが飛び上がった。その跳躍力は、ラファールが浮上する頭上を軽く達する。
 「なにっ!?」
 「くらえっ! ライダー電撃!!」
 大の字に両手両足を伸ばし、電流をと念じながら力を全体に込めた。すると、周囲の空中に激しい電流が飛び散り、それはラファールにも降りかかった。
 「し、しまった!?」
 高圧電流ゆえ、シールドが削られるとともにISのシステムがショートしてしまい、完全に機能が死んでしまった。あとは、飛行能力を失ってヒラヒラと地上へ落ちてしまうだけだ。
 「くそぉ……」
 落下する最中ながらもラファールの操縦者はあきらめ悪くライフルをラージへ向け発砲してくる。
 「死ね! デブライダー!!」
それに数発食らうライダーは死なない程度にを前提にトドメを決めた。
 全身を右足を伸ばしながら身体を遠心状に回転させて、その回転しながら出した右足の踵をラファールの肩へ振り落とす。
 「ライダー大車輪踵落としッ!!」
 「何ッ!?」
 そして、それをもろに食らった……
 
 そのとき、俺は確かに加減を低めたはずだった。しかし、トドメをさす俺の中で一瞬の迷いが生じた。このISが絶対悪ではないかという考えだ。それに対して俺はラファールの装着者に対して一瞬の怒りが芽生えた。そして……
 「ライダー大車輪踵落とし!!」
 ブーツ越し踵が遠心回転しつつラファールの装着者の肩へ振り落とされた。軽めに落とすつもりだった。しかし、俺の踵はラファールのアーマーを砕くまでには留まらず、そのまま装着者の……肉まで切り裂いてしまったのである。
 「ぐへぇぁッ……!!」
 「ッ……!」
 返り血がシャワーのように噴出して、俺の仮面やアーマーへ降りかかる。
 血を吐きだして二つの部位に引き裂かれた装着者は絶命して地面へと叩きつけられ、それがさらに肉片となって半壊した固い地面の上で飛び散った。
 地面へ着地した俺は、その周囲を呆然とした。
 ――嘘、だろ……?
 ガクッと、膝を落として呆然とその地に染まった地面を見つめていた……

 「九豪……君?」
 衝撃音と振動に、気が付いて目を覚ました朱鳥はそのまま寝かされていたカウンターから身を乗り出してボロボロになった店を出てラージの気配がする元へ駆けだした。
 「九豪君!?」
 そこには、膝をつくラージの姿になった雷馬が居た。目の前の血と肉で染まった地面を目に彼は、呆然と悔しがり、悲しんでいた。
 「九豪君……?」
 そっと、彼女は彼の肩のアーマーへ優しく手を添えた。
 「……りなんだよ」
 「……?」
 「……りなんだよ……無理なんだよ……!」
 仮面越しから涙ぐむ彼の声は次第に悔しさへと変わった。
 「無理なんだよ……俺に、『仮面ライダー』なんてっ!」
 「九豪君……」
 「怪人ならまだしも、人を()った。でも大勢の人たちを平気で傷つけて許せなかった。でも……俺は殺した……俺は、仮面ライダーなんかじゃない!!」
 理想から脱落したヒーローからは、その仮面からすすり泣く声しか聞こえてこなかった。
 
 数日後
 
 「凄いニュースだな?」
 ある自宅にて、一人の少年は家事の空いた時間にテレビをつけてみればワイドショーを中断させた速報ニュースが飛び込んできた。
 『今日午後、ラファールタイプとみられるISが市街地を襲撃し、後に「仮面ライダー」と思われる……』
 「仮面ライダー……?」
 少年は首を傾げた。そのしぐさの反応は、初めて聞く態度か、それとも……
 「帰ったぞ? 一夏……」
 振り返ると、不愛想な姉が帰宅してきた。
 「ああ、今飯作るよ? 姉貴……」
 ソファーから立ち上がると、一夏という……大柄な少年はわずかにニュースへ視線を向けながらも、何やら険しい表情をしつつ台所についた。

 ある食堂にて
 
 「まさか……!」
 客らが目をくぎ付けにさせている天井辺りに置かれた客用のテレビには、速報でISのテロと思われるというニュースが流れていた。その途中では仮面ライダーなる存在も現れたという情報を耳に、調理中にも構わず飛び出してテレビを見上げる弾は、目を丸くした。
 ――まさか、九豪のやつ……!?
 「ちょっと! お兄!? 早く戻ってきてよ! 焦げちゃってるってば!!」
 「チッ……!」
 舌打ちして、鬱陶しい身内が叫んでいる厨房に戻った。
 「んもう! サボってないでまじめにやってよ? お兄!!」
 「っせーな! だったらテメェーがコンロ止めりゃあいいだけのこったろうが!!」
 すごい形相の睨みで妹の欄へ怒鳴った。それにやや強気であった妹も驚く。
 「ご、ゴメン……って! 勉強中なんだから仕方ないでしょ!?」
 負けじと食いつく欄は、ふと客たちが見ているテレビに目を向けた。彼女は、近頃仮面ライダーという「都市伝説」に興味があるらしく、学校でもその話題で持ちきりだ。もちろん悪い意味で。
 「ねぇ? 本当に仮面ライダーとかいう『通り魔』がいるの?」
 女尊男卑で盛んな女子たちの間では仮面ライダーはISや女性を襲う卑劣な「通り魔」呼ばわりされているらしい。
 「ライダーなんていねぇよ? わかったら、さっさと受験勉強してろ!」
 「なにさ! この低能兄貴! IS学園入ったら絶対に見下ろしてやるんだから!!」
 そういって、彼女は機嫌を損ねて自室へ戻った。
 「ったく! 誰に似たんだよ?」
 弾も気分を害して、調理を再開した。彼は、本当にあの事件に雷馬と朱鳥が巻き込まれていないことを願った。
  
 

 
後書き
次回の仮面ライダーLARGEは!

雷馬「蓬町?」
朱鳥「男女平等の珍しい町ですよ?」

雷馬「俺は、もう……ライダーを辞める」
朱鳥「九豪君……」

雷馬「もし……どんなに悪い相手だったとしても、取り返しのつかない仕打ちをしてしまったら……?」
雄介「……走ってみなよ? 気が済むまで、自分は何をすべきかを一生懸命考えながら、走り続けてみなよ?」
雷馬「それでも……ダメなら?」
雄介「大丈夫! 大丈夫!」

高見沢「人は皆、仮面ライダーなんだよ。それぞれの正義を信じて戦っているのさ? 善と悪なんて存在しない。だから、君も己が信じる正義を貫いて戦えばいいさ?」
雷馬「ああ……その言葉でようやくわかったよ。けど、俺はアンタみたいにはならない!」

雷馬「朱鳥……俺、決めたよ! 俺は……」


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧