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同じこと

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第二章

「それまでよく作っていたから」
「簡単に出来るから」
「そうそう」
 妻に笑って答えた。
「だからね」
「それでなの」
「そう、カレーライスを作って」
 そしてというのだ。
「無難にいくよ」
「何か手堅いわね」
「カレーは作りやすいし栄養もあるから」
 大きな失敗もしないからというのだ。
「そっちにするよ」
「わかったわ、じゃあね」
「それならなの」
「うん、それとね」
「それと?」
「サラダも作ろうか」
 カレーだけでなくというのだ。
「そっちもね」
「いや、それは」
「それは?」
「お金も考えてね」
「あっ、そうだね」
 夫は妻に言われて気付いた。
「確かにね」
「お金のことは考えて買わないと」
「さもないとね」
「すぐになるから」
 家の金がである。
「注意してね」
「じゃあお野菜もお肉も」
「安くよ、しかもね」
 天は賢章にさらに言った。
「今日だけじゃないから」
「明日も明後日も」
「少なくとも連休の間はね」
「無駄使いは出来ない」
「もっと言えばずっとよ」
 ここでは妻、家庭を持つ者として賢章に話した。
「お金のことはね」
「第一に考えて」
「計画的にね」
「無駄使いをしないことだね」
「そうよ」
 まさにそれが大事だというのだ。
「それはわかってね」
「うん、それじゃあ」
 賢章は妻の言葉に頷きカレーやサラダの食材を買っていった。出来るだけ安くてしかも質のいい食材を買った。
 そうして家に帰ってまずは昼食を食べた、昼食は昨日の夜の残りものだったがそれを食べながらだ。
 天は笑ってだ、自分の向かい側に座る夫に言った。
「食器洗いはね」
「僕がいつもやっているから」
「私がするわ」
「そうするんだ」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「任せてね」
「それじゃあね」
「あなたは休んでいてね、あとね」
「あと?」
「草むしりもね」
 それもというのだ。
「午後もやるから」
「まだ終わってないんだ」
「うちのお庭すぐに草が生えるのね」
「休日に外に出ない時はいつもやってるけれどね」
 他ならない賢章がだ。
「すぐにね、実際に」
「生えるのね」
「うちの庭はそうなんだよ」
「かなりローン組んで買ったけれど」
 二人で頑張ってだ。 
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