星河の覇皇
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第六十六部第一章 新兵器その二十一
「シュードラでもな」
「声が強くなっていない」
「カースト内の者なら」
「まだ、ですね」
「ましですね」
「これがアウトカーストになるとだ」
即ちマハトマ=ガンジーが言うハリジャンならというのだ。
「この程度では済まなかった」
「間違いなくですね」
「アウトカーストでは」
「カーストの中にいないのなら」
「認められないものがありますね」
「我が党はこれまでシュードラ出身の総裁もいればムスリムの総裁もいた」
そしてシーク教徒、キリスト教徒の総裁もだ。仏教徒だった総裁もいるがマウリアでは仏教はヒンズー教の一派とされている。
「しかしだ」
「それでもですね」
「アウトカーストだけは」
「野党もそうですが」
「アウトカーストの総裁は出ていないですね」
「議員ですら」
国会議員でもだ。
「アウトカーストだと戸籍に載っていないことも多く」
「政治家にもなれません」
「宗教的なタブーもありますが」
「それと共にですね」
「戸籍にも載っていない者が多いのではな」
到底と、というのだ。
「どうしようもない」
「そうなりますね」
「アウトカーストについてはかなりいい加減な人口統計をしますが」
「これからは」
「そこをどうしてもですね」
「積極的に改革を為さなければなりません」
領袖達も言った。
「是非」
「そうしてです」
「人口も確かに」
「税収もその分確保せねば」
「アウトカーストも組み入れて」
「そして優れた者もですね」
そのアウトカーストの中からだ。
「党に迎え入れていきたいですが」
「どうしてもですね」
「アウトカーストですと」
「反発がある」
カーストの中にいない、ヒンズー教徒であってもそうした階級の者達はというのだ。
「議員に入れることすらな」
「過去あった人種問題以降ですね」
「このことは」
「我々にとっては」
「カーストのことは」
「カーストは何度も言うが法律的には最早存在していない」
二十世紀のインドとしての独立以降はそうだ、非近代的という理由で廃止されているのだ。だがこれは法律でのことだ。
「社会は法律だけで動くか」
「そうも限らないですね」
「法治国家においても」
「法律は全てではない」
「人はそこまで単純なものではないです」
「そして社会も」
その単純ではない人間が作っているものだからだ、社会も。
「どうしてもです」
「このマウリアも同じです」
「法律の他にも宗教があります」
そのヒンズー教がだ。
「両者は密接な関係にありますが」
「同時に離れてもいます」
「法律では廃止されているカーストも」
「ヒンズー教では存在しているので」
まさにそれが為にだ。
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