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星河の覇皇

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第六十六部第一章 新兵器その二十

「ここにはいないがな」
「党のバラモン階級の長老のお歴々の中に」
「何人かそうした意見を匂わせている方がおられますね」
「シュードラの会長、将来の総裁候補はどうかと」
「その様に」
「そうだ、ライータ君はシュードラの中でも階級が低い」
 三千あるその中でだ。
「下から数えてすぐの階級だからな」
「あまりにも階級が低く」
「アウトカーストではないにしても」
「その低さが問題になる」
「だからですね」
「これが普通のシュードラならまだましだっただろう」
 シュードラ階級の中でもというのだ、低いものよりも高いものの方がよかったというのだ。同じシュードラでも階級は細かく分かれているのだ。
「だが彼は低過ぎてだ」
「問題視されている」
「今回は」
「実力があり人気があっても」
「お歴々からは」
「カーストは法律的にはない」
 二十世紀に既に廃止されている、しかしなのだ。
「宗教的には残っているからな」
「職業区分、棲み分けにもなっていますし」
「社会的な秩序を形成していますし」
「どうしてもです」
「存在しています」
 マウリアについてはというのだ。
「軍人もヴァイシャ階級が殆どです」
「クシャトリア、シュードラの軍人は僅かです」
 将校、特に将官はそのヴァイシャ階級の中でも上位者だ。士官学校に入る者もカーストが影響するのがマウリアだ。
「バラモンの軍人も殆どいませんし」
「だからですね」
「そのことはです」
「今も存在しています」
「このマウリアには」
「このことは否定出来ない」
 どうしてもというのだ。
「カースト制度はマウリアにだ」
「はい、社会を形成していて」
「その基幹となっています」
「マウリアでは宗教が強いです」
「連合やエウロパ以上に」
「サハラと同じく」
 宗教の存在が強い国だというのだ、もっと言えば宗教が文化であり文明であり社会であると言っていい程だ。
「特にヒンズー教もです」
「マウリアを動かしています」
「そのヒンズーの中にあるカースト制度も」
「根強く残っています」
「その通りだ、だからだ」
 それこそというのだ。
「今もそれが問題となる」
「シュードラで青年会会長になっていいのか」
「例え政治家としての資質に恵まれていても」
「シュードラの中でもかなり低い階級でも」
「それでもですね」
「これがムスリムならまだよかった」
 そしてシーク教徒でもだ、つまりムスリム以外ならばだ。
「他宗教にはカーストはないからな」
「バラモン達にしてもですね」
「かえって受け入れられますね」
「他宗教なら」
「シュードラではなく」
「そうだ、しかもシュードラだからまだこの程度だ」
 反発があってもというのだ、青年会会長選挙への出馬についても。
「この程度で済んでいるのだ」
「シュードラの低い階級でもカーストの中にいる」
「これならですね」
「まだバラモン階級でも許せる」
「カーストの中にあれば」
「カーストの中にあればまだいいのだ」
 ヒンズー教ではというのだ。 
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