| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六十五部第三章 連合の元首その十八

「軍事的英雄になるとな」
「いませんね」
「平和ならいない」
 この種類の英雄はというのだ。
「どうしてもな」
「戦争がなければ軍事は重要視されない」
「だからだ」
「我が国ではですね」
「軍事的英雄はいないのだ」 
 そうだというのだ。
「どうしてもな」
「そうですね、しかし」
「彼は連合では政治的英雄とみなされることが多いが」
「まあ切れもなく軍事的英雄でもありますね」
「戦場には出ていない」 
 連合では閣僚は中央政府でも各国政府でも文民だ、当然中央政府国防長官もだ。文民は戦場には出ないものだ。
「一切な、しかし」
「しかしですね」
「軍隊を動かしている」  
 中央政府国防長官であるその立場からだ。
「それではだ」
「サハラから見れば特にですね」
「軍事的英雄となる」
「戦争を勝利に導いてくれましたし」
 エウロパ戦役だ、連合がはじめて戦った戦争である。
「それを考えますと」
「やはり軍事的英雄だな」
「あの戦争での一番の功労者と言っていいですね」
「彼が中央軍を整えた」
 その編成もシステムもだ、何もかもが彼が整えたのだ。
「そして戦略を立てたのだからな」
「それならばですね」
「彼がだ」
 まさにというのだ。
「最大の功労者だ」
「そうなりますね」
「その通りだ、それ故にだ」
「その連合の軍事的英雄に会われ」
「彼を知りたいのだ」
 それがアッディーンがあ八条と会う目的だというのだ。
「稀代の戦略家をな」
「そして会われて学びたい」
「そういうお考えだろうな」
「そうなのですね」
「それはシャイターン主席も同じだろう」
 もう一人の彼もというのだ。
「やはりな」
「八条長官と会われてですね」
「学びたいのだ」
 その戦略をというのだ。
「今後の為にもな」
「今後ですか」
「まだ戦争がある」
 サハラ、あの国ではだ。
「統一戦がな、それにな」
「それにですか」
「もう一つあるかも知れない」
「もう一つといいますと」
「どうもサハラ南方で新種のレアメタルが発見されたらしいが」
「そうなのですか」
「少し聞いた」
 噂、それをというのだ。
「真偽は不明だがな」
「レアメタルですか」
「何か相当なものらしい」
「エネルギーとしてですか」
「そこまではわからないがだ」
「石油や原子力の様な」
 人類の文明を変えた様なものをだ、秘書は出した。
「そうしたものでしょうか」
「若しそうならだ」
「それがサハラだけに出るのなら」
「その時はな」
「それを奪おうとする国が出るかも知れないですか」
「人は欲が深い」
 キロモト自身自分はそうだと思っている、彼の場合は権力欲だ。伊達に中央政府大統領になったのではない。
「画期的なまでの資源があればな」
「それを手に入れてですね」
「栄えたくなるものだ」
「では若しその資源がそうなら」
「サハラは再びな」
 それこそというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧