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ドリトル先生と春の花達

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第五幕その八

「早いと散るのが早くなるから」
「その分早く見られなくなるから」
「それでなんだね」
「それは嫌なんだ」
「日本人としては」
「そうだよ、それで遅くなるとこれも嫌だし」
 これまでお話した通りです。
「中々難しいんだ」
「日本人もややこしいね」
「桜はいつも通り咲いて欲しい」
「それが早くても遅くても嫌って」
「難しいよね」
「それだけこだわっているんだよ」
 桜に対してというのです。
「日本人はね」
「元々こだわる人達だけれど凄いね」
「桜へのその思い入れは」
「何ていうか尊敬に値するよ」
「そこまで桜に思い入れがあるなんて」
「イギリス人も薔薇好きだけれど」
 ふとです、先生はこのお花を思い出しました。
「日本人の桜への思い入れはそれ以上だよ」
「愛情すらあるよね」
「もうその域に達しているわ」
「桜は第一のお花」
「桜がないと春いや一年ははじまらない」
「そんな感じ?」
「そうよね」
「だからね」
 そこまでだからだというのです。
「桜が咲くのは早くても遅くても駄目なんだ、しかもね」
「しかも?」
「しかもっていうと?」
「それぞれの地域で咲く時期があるんだ」
 そのこともあるというのです。
「南から北に徐々にね」
「咲いていくんだ」
「そうしていくんだ」
「だからそれぞれの地域でなんだ」
「咲くその時期があって」
「それも問題なんだ」
「そうだよ、このことも本当に大事で」 
 それでというのです。
「日本ではそれぞれの地域のこともあるんだ」
「余計にややこしいね」
「地域によって咲く時期が違うって」
「そういえば日本で南北で気候がかなり違うんだ」
「北海道と沖縄ではもう別の国みたいだし」
「そこまで違うから」
「そうしたお国だから」
 それでというのです。
「桜が咲く時期も違うんだ」
「その地域によって」
「そういうことなんだ」
「それじゃあだね」
「それぞれの地域で咲く時期が早くても遅くても駄目」
「いつも通りでないと」
「そこも難しいんだよね、日本人のこだわりは」
 そうだというのです。
「何かと」
「というか凄いこだわりだね」
「全くよね」
「まさに桜の国?」
「少なくとも今の季節は」
「自衛隊もね」
 日本の今の軍隊にあたる組織のお話にもなります。
「よくマークに桜を使うしね」
「あっ、そういえば確かに」
「自衛隊でも使ってるわね」
「何かとね」
「桜使ってるわ」
「マークに」
「だからね」
 それでというのです。
「軍事組織にまで使われているから」
「思い入れが強い」
「そこまで強いということね」
「日本人の桜への思い入れは」
「そうなんだ、いや僕もね」
 こうも言う先生でした。 
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