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ドリトル先生と春の花達

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第五幕その九

「このことは日本に来るまでわからなかったよ」
「僕達もだよ」
「このことはわからなかったわ」
「まさかそこまでなんてね」
「まずは桜」
「桜からはじまる国だなんて」
「そうだね、けれど桜もね」
 先生は笑顔でこうも言いました。
「そこまで愛情を込められているとね」
「嬉しいだろうね」
「こんなに愛されているとね」
「桜にしてもね」
「嬉しいよね」
「そう思うよ、幸せなお花だよね」
 実にというのです。
「ここまで想われているお花は少ないだろうからね」
「世界でね」
「本当にそうだろうね」
「ここまでの思い入れになると」
「本当にね」
「ないと思うよ」
 皆も言います、そしてです。
 先生は皆にです、今度はこのお話をしました。
「それで今日のティータイムだけれど」
「うん、何?」
「どうなるの?」
「それで何を飲んで食べるの?」
「飲むのは緑茶でね」
 日本のこのお団子でというのです。
「それで三色団子とういろうと桜餅だよ」
「あっ、そのお餅なんだ」
「桜色で桜の葉で包んだ」
「中に餡子のある」
「あのお餅を食べるのね」
「そしてういろうはね」
 こちらもというのです。
「桜だよ」
「ああ、ういろうもなんだ」
「そういえば三色団子にも桜入ってるしね」
「白、よもぎに桜」
「この三つよね」
「桜尽くしだよ」
 その和風ティーセットだというのです。
「僕も今から楽しみだよ」
「食べるものまで桜尽くしなんて」
「随分といいわね」
「華やかだね」
「贅沢だね」
 先生はにこにことしてこうも言いました。
「今日のおやつは」
「うん、確かにね」
「随分豪勢なおやつよ」
「桜尽くしで」
「季節の味を楽しめて」
「だからこう言ったんだ」
 贅沢と、というのです。
「僕もね」
「確かにそうだしね」
「この組み合わせは贅沢だわ」
「それもかなり」
「華やかなまでに」
「この華やかがね」 
 先生ご自身もというのです。
「贅沢だよね」
「日本の贅沢だね」
「季節の華やかさを楽しむ」
「それも味だけじゃなくて心でも」
「とても贅沢よね」
「この贅沢を満喫するよ」
 ティータイムにというのです。
「是非ね」
「日本の贅沢だね」
「まさにそれね」
「日本の贅沢を味わえるなんて」
「何ていいことなんだろう」
「皆と一緒にね」
 先生は一人で何かを楽しむ人ではありません、勿論皆でなのです。今一緒にいる動物の皆です。 
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