| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

とある3年4組の卑怯者

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

47 乱暴者(あばれんぼう)

 
前書き
 マークやメイベルに清水の町を歩き、紹介する藤木達。公園に差し掛かった所、異様な空気になっており、そこにいたのは隣町の暴れん坊たちだった!
 
 「ちびまる子ちゃん」2期29話「隣の町のあばれん坊」に出てきた暴れん坊を登場させてみました。なお、アニメでは彼の名前は出てこなかったので、某暴力団の2代目の親分の名前を元につけました。 

 
 公園にいたのはかつて町の公園を奪って自分達のものにしようとするも、大野と杉山に撃退されたはずの隣町の暴れん坊の集団だった。
「ほウら、オマエらはどっか行け!」
 暴れん坊の集団にやられた二人の男子は怪我で動けなかった。藤木は体が震えていた。
(くそ、懲りない奴らだ!)
 その時、いじめられた二人の男子を哀れに思い、リリィが走って向かう。
「リリィ、危ないよ!」
 まる子の忠告にも拘わらず、リリィは二人の男子の所に向かう。
「貴方達、大丈夫?」
「だ、だいじょ・・・うっ!」
 男子の片方が答えるが、痛みで動けないようだった。リリィは暴れん坊たちの方へ目を向ける。
「どうしてこんなことを・・・!」
「ア!?テメエよ、勝手に入ってきてんじゃねエよ!ここはもウ俺様達の陣地なんだからよオ、他の場所へ行きやがれ!」
 暴れん坊の親分が言う。周りの取り巻きがリリィの顔を興味ありげに見る。
「こいつ、もしかして外国人?」
「よく日本語喋れんなあ!」
 彼らは笑う。そして親分がリリィに近づく。
「オイ、さっさと出てけっつってんだよオ!」
 親分はリリィの額にフックをかました。リリィが倒れこむ。
「どうして!?公園はみんなが遊ぶところでしょ?!」
「るせエんだよ!この公園はもウ俺様達のもんだっつってんだ!オマエもとっとと、イイヤ、外人は日本から出てイきな!オラァ!!」
 親分がリリィの足を踏む。暴れん坊の集団は「ほら、自分の国に帰れ、外人!」などと言いながらリリィを蹴り、殴った。藤木は巻き込まれるのが怖くて逃げたいと思ったが、リリィが殴られ、さらに人種差別される光景を見せられて見離せなかった。
(早くしないと、リリィが殺される・・・!!)
「リリィ!!」
 藤木は思わず飛び出した。
「やめろ、君達!暴力反対だぞ!!」
 藤木はリリィを助けようと暴れん坊たちに叫んだ。
「ア!?テメエ何様?この俺様を誰だと思ってんだア!?」
「隣の町の暴れん坊だろ!?前は大野君と杉山君にボコボコにされたくせに!」
「んだとオ!?暴れん坊だア!?俺様には山口のぼるって名がアんだよ!よオく覚えとけ!!」
 暴れん坊の親分は拳を藤木に向けた。藤木は顔を殴られる。そして取り囲まれる。
「リ、リリィ、その子たちを連れて逃げるんだ!」
 藤木は暴れん坊達に痛めつけられた男子二人を連れて逃げることを催促した。
「え、でも、藤木君は!?」
「僕の事はいいから!」
「なにごちゃごちゃ言ってやがる!」
 山口のぼると名乗った親分は藤木の胸倉を掴み、殴り飛ばす。子分達はリリィを放置して藤木に襲い掛かる。リリィは負傷した男子達に逃げるよう催促したが、自分は藤木が一方的にリンチされたまま逃げるなどできなかった。
「やめて!」
 リリィは子分の二人の間を押し払い、藤木に近寄った。
「藤木君、大丈夫!?」
「あ・・・、う・・・」
 藤木は痛みで声が出せなかった。
「リンチなんて卑怯よ!」
「じゃア、テメエも一緒にやられるか?」
 山口はリリィに迫る。リリィにも逃げ場がなく、やられるだけなのかと恐怖と不安しかない。
 
「は、花輪クン、何とかしてよ!アンタ武道習ってんでしょ!?」
 まる子は花輪に助けを催促した。
「ああ、そうだね、行くよ!」
 花輪は武道は喧嘩に使うものではないという理論があった。だが、ここではそんなことで傍観するなどできないと思い、リリィと藤木を助けに向かった。
「あ、花輪くう~ん、行っちゃダメ!怪我してほしくないの~!」
 みぎわが花輪を止めようとした。
「悪いけどbaby、これは見逃せないよ」
「花輪、俺も行くぜ!」
「オイラも行くブー!」
「あの人たちは許せないからね!!」
「オイラも助けるじょ~!」
 はまじ、ブー太郎、山根、そして山田も花輪に加勢しようとした。
「あ、ありがとう、浜崎クン達・・・。よし、さくらクン達やマークは僕の家に行ってヒデじいに知らせてくれたまえ!」
「ぼ、僕も助けを呼びに・・・」
 永沢がそう言うと、皆は永沢を見た。
「何言ってんだ!?お前友達の藤木がやられてんだぞ!?助けにいこーぜ!」
 はまじが言う。
「わ、分かったよ・・・」
(藤木君、君はいつも卑怯なのにリリィがいる時に限ってカッコつけるんだから、ホント呆れるよ・・・)
 永沢はそう思いながらも花輪たちに付いて行く羽目になった。
「そこまでだ、君達!!」
 花輪は暴れん坊達に叫んだ。
「何だア!?オメエらもまたやられに来たのかア!?」
「挑発してもムダさ、baby」
 花輪は涼しげな表情だった。
「随分と余裕の面だな。オイ、コイツらも纏めてやっちまエイ!!」
 暴れん坊達は花輪に襲いかかった。はまじやブー太郎、山根も迎撃しようとした。熾烈な(いくさ)が開戦された。

 まる子、たまえ、みぎわ、マーク、そしてメイベルは花輪の家へ向かい、走った。メイベルは泣いていた。
「リリィ、花輪クン・・・、大丈夫かな・・・」
「Don’t worry Mabel!Kazu is strong!(大丈夫だよ、メイベル!カズは強いからさ!)」
 マークがメイベルを安心させようとした。
「大丈夫だよ、メイベル!大人がいればアイツらもきっと懲りるよ!」
 まる子が慰めた。
「そうだよ!きっとリリィ達も助かるよ!」
 たまえもメイベルを励ました。
「ウン、アリガトウ・・・」

 花輪は襲い掛かってくる子分一人が殴りつけてくる前に足を伸ばしてみぞおちに当てた。子分が苦しがる。はまじ、ブー太郎、山根、そして山田も必死で戦ったが、彼らは苦戦していた。山田はくすぐり攻撃などで応戦し、はまじとブー太郎で二人がかりでかかるも子分一人も倒せずやられる。しかし、それでも立ち向かう。そこで花輪が急所を突く。山根は胃腸を痛くして動けなくなり、蹴り飛ばされたが、花輪の助けで撃退できた。永沢は手も足も出せずに立ちすくんでいた。子分の一人が永沢に近づく。
「んだあ、コイツビビってんぜ!やっちまうか!」
 子分の一人が永沢の胸ぐらを掴んで地面に投げつける。しかし、花輪がその場に向かって、脇腹を蹴った。
「永沢クン、大丈夫かい!?」
「ああ、ありがとう、花輪クン・・・」
 その時、山口が近づいてきた。
「テメエ、やるじゃねエか。まア、そウイウ奴のために用意した武器がアるがな」
「武器だって?」
 花輪が聞いた。山口は縄跳びに使う縄を出して振り回す。
「縄跳びを・・・危ないな・・・!」
 藤木はそれを見て立ち上がろうとする。痛みで立つことさえ億劫だったが、何とか立てた。
「藤木君、大丈夫なの?」
 リリィが心配して聞いた。
「花輪クン達も戦っているんだ。僕だけ何もしないわけには・・・」
 藤木は痛みをこらえて歩く。親分の縄飛びの先が花輪の顔に向かう。花輪が何とか縄跳びの持ち手部分が顔に当たるのを回避した。しかし、山口はそれでも余裕の表情だった。
「おい、やれ!」
 別の子分が後ろから花輪の尻に蹴りを入れた。花輪が横に体を逸らして何とか避けた。しかし、跳び縄の反対側の持ち手部分が花輪の顔に当たった。花輪は顔に当たったところを手で抑える。
「花輪クン!!」
 リリィが泣き叫ぶ。とうとう花輪までもがやられてしまった。山口が縄で花輪を叩く。
「へへ、結局はテメエも負けるのに無駄な戦いをしてたってことだな!」
「やめるじょ~!」
 山田が暴れん坊を止めようと必死で彼の腕にしがみついた。しかし、簡単に振り払われる。
「邪魔すんじゃねエ!」
 藤木が必死で山口に近づく。
「や、やめろ・・・!!」

 その頃、まる子たちは花輪家に辿り着いていた。インターホンを押す。
「助けてください!花輪クン達が暴れん坊たちと喧嘩をしているんです!止めてください!!」
『畏まりました。ヒデじいをそちらに向かわせます』
 ヒデじいが車を回して現れた。花輪の母も乗せている。
「お坊ちゃまが喧嘩を!?」
「そうなんだ!だから助けて!」
 たまえが懇願した。
「分かりました!お坊ちゃまたちはどちらにおりますか?」
 まる子たちは公園の場所を教えると、ヒデじいは車を飛ばした。
(お坊ちゃま、すぐに向かいます。もう少しの辛抱です・・・)
(カズちゃん・・・大丈夫かしら・・・)
 ヒデじいも花輪の母も花輪が心配でたまらなかった。 
 

 
後書き
次回:「送別」
 まる子らによってヒデじいや花輪の母が公園に急行し、喧嘩の鎮圧に出る。その後、マークやメイベルとの別れの時が・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧