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自殺行為

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第二章

「果たして本当にえらいことになるのか」
「考えるまでもないんじゃねえか?」
「アメリカ軍の基地の門にターバン巻いて俺はイスラム国だ!tって叫びながらダッシュする様なものだろ」
「その場で袋だろ」
「俺達全員死ぬぞ」
 彼等はかなり本気でこう思っていた、しかし鈴木はそれでもこう言うのだった。
「まあまあ、スリルも味わうってことで」
「どうしてもやるんだな」
「そうなんだな」
「あってみようよ」
 こう言ってだ、彼は実際に東京ドームの巨人阪神戦の三塁側チケットを購入した。それも部員の数だけだ。
 そのうえでだ、部員達に笑顔で言った。
「じゃあ行こうね」
「本当に行くのか」
「こんな危険なこと日本で他にないだろ」
「どうなるか知らねえぞ」
「俺ちょっとお守り買って来るわ」
「俺遺書書いておくよ」 
 部員達はかなりだ、不安に感じていた。しかし。
 賽は投げられていた、もっと言えば鈴木が勝手に投げていた。そしてだった。
 写真部の面々は東京ドーム三塁側に陣取った、周りは黒と黄色で埋め尽くされていて阪神帽に半被にだ、メガホンにだ。
 阪神の旗が翻っていた、六甲おろしは巨人の聴いているだけで人を狂気に陥らせるクトゥルフの調べを思わせる巨人の歌を完全に凌駕していた。
 その中に陣取ってだ、写真部の面々はまた彼等の中で言い合った。
「さて、これからだな」
「ああ、どうなるかだよな」
「マジすげえな、ここ」
「そのまま甲子園が移ってきたみたいだな」
 これが阪神ファンだ、敵の本拠地でもかなりの数が揃うのだ。全国にファンがいるだけでなく応援で出張で来たりもするのだ。
 それでだ、東京ドームの三塁側はだった。
「一面黒と黄色だな」
「猛虎魂感じるな」
「熱気も凄いな」
「冷房も何もあったもんじゃないな」
「一塁側圧倒してるぜ」
「こんなところで巨人応援するのか」
「かなり勇気がいるな」
 こう言い合う、しかし鈴木だけはだった。
 笑ってだ、彼等に言った。
「じゃあ試合はじまったら巨人の選手のナイスプレイに拍手して声援を送ろうな」
「どうなっても知らないからな」
「死んでも不思議じゃないぞ」
「試合終わるまで無事だと奇跡だぞ」
「マジ狂気だな」
 部員達は自分達が死ぬのではと思っていた、しかし時間は止まらない。
 遂に試合がはじまった、すると彼等は鈴木が言った通りにだ。試合の中巨人を応援していた。しかし彼等の予想通りに。
 巨人の選手の好プレイに拍手したり声援を送ると周りからだった。 
 凄まじい視線を感じた、無言であったが。
 殺す、その気が明らかにあった。
「おい、やっぱりな」
「ああ、やばいな」
「洒落になってねえぞ」
「殺す気満々じゃねえか」
「止めた方がいいだろ」
「帰った方がいいんじゃないか?」
「ちょっとまずいかな」
 流石に鈴木もこう言い出した、周囲からのあまりもの殺気を受けて。
「これは」
「いや、かなりまずいだろ」
「周りの人達めっちゃ怒ってるぞ」
「今もかなり睨まれてるぞ」
 イニングが代わって試合が中断している最中でもだ。
「ヤクザ屋さんみたいな人もいるしな」
「柄の悪い兄ちゃん姉ちゃんも」
「帰った方がいいぜ、今のうちに」
「そうしようぜ」
「いやいや、最後まで応援しよう」
 巨人をとだ、鈴木はこの状況下でもこう言うのだった。
「ここは」
「どうなっても知らないぞ」
「最後まで応援とかな」
「本当にどうなるんだ」
「生きて帰られるのかよ」
 部員達はかなり不安だった、しかし鈴木は帰ろうとせずだ。 
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