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とある3年4組の卑怯者

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25 文通

 
前書き
 花輪家の別荘を管理するメアリーの孫、エミリーと仲良くなったリリィ。みぎわもエミリーと一応のところ和解したのち、夜のキャンプファイヤーを皆で満喫するのだった!! 

 
 キャンプファイヤーの炎が小さくなった。
「それじゃあ、皆楽しかったわ。そろそろ戻るわ」
 リリィは花輪たちに礼を言った。
「また学校で会おーぜ!」
 はまじが言葉を返した。
「あ、そうだ・・・」
 リリィが何かを思いついたようだった。そしてエミリーに寄る。そして英語で以下のような会話をした。

「エミリー、アメリカにはいつ帰るの?」
「明日よ」
「そう、手紙送ってもいいかしら?」
「ええ、もちろん。おばあちゃん、私の住所を紙に書いてリリィに渡してくれる?」
「分かったわ」
 
「リリィさん、ちょっといいかしら?」
「はい」
 リリィはメアリーに連れられて花輪家の別荘に入った。藤木は何があったんだろうと気になった。
「花輪クン、リリィはエミリーと何を話していたんだい?」
「リリィはエミリーに手紙を送りたいそうだよ。結構仲良くなったみたいだからね」
「へえ。あ、そうだ、僕もエミリーにお礼をしたいと思うんだ。花輪クン、通訳お願いしてもいいかい?」
「ああ、いいとも」
 藤木はエミリーにお礼の言葉を言おうとする。
「今日は楽しかったよ。ありがとう」
 藤木の言葉を花輪が英語で訳してエミリーに伝えた。
「Thank you very much,too!」
 エミリーは笑顔だった。
「彼女は『こちらこそありがとう』って言っているよ」
「よかった」
 藤木は自分もエミリーと友達になれたと感じた。リリィが戻ってきた。
「藤木君、お待たせ。それじゃ、グンナイ!」
「みんな、さよなら!」
 藤木はリリィと共にミルウッド家の別荘に戻った。なおエミリーは去っていく二人を見て何かを感じたようだった。

 翌日、藤木とリリィは清水に帰ることとなった。リリィの父によって手配されたタクシーに乗った。そしてその道中、車内でリリィが藤木に話しかける。
「藤木君、楽しかったわ。来てくれてありがとう」
「え・・・?あ、うん、こっちも誘ってくれてありがとう」
 藤木は赤面した。
「ところでリリィはエミリーと仲良くなったようだね」
「うん、今度手紙を送るの。また一人友達が増えて嬉しいわ」
「うん、よかったね・・・」
(そういえば僕がリリィと初めて会ったときは、リリィはまだ友達がいなかったんだっけな・・・。今は友達が増えて楽しそうだな)
 藤木はリリィが変わっていくように感じた。逆に、自分は卑怯が治らなくてみすぼらしく感じた。

 花輪たちはエミリーを空港へ送るために、ヒデじいが運転するマイクロバスで空港に向かっていた。そして空港の出発ロビーに到着した。エミリーが改めて礼を言う。
「ミナサン、アリガトウゴザイマシタ」
 エミリーは片言な日本語で言った。
「また会おうね」
 まる子がやや泣いて言った。
「もう会うことないだろうね」
 永沢が水を差した。
「うるさいね、アンタは!」
 まる子は永沢に怒った。エミリーの両親も挨拶をした。ヒデじいが通訳する。
「『また日本に来たいと思います。その時もまた一緒に遊んでください』と仰っております」
 こうしてエミリーの家族は搭乗ゲートに向かった。
「さようなら~!!」
 皆はエミリーたちの後ろ姿に手を振る。エミリーも一瞬振り向いて手を振った。
「行ってしまいましたね・・・」
 丸尾が呟いた。まる子は彼女と対面した事が嬉しく、そして別れを寂しく感じていた。

 リリィは帰宅すると、エミリーに手紙を書こうとした。英語で以下の文章を書いていた。

 エミリーへ

 先日は一緒に遊べて楽しかったです。私にとって最高の一時になりました。また会えたら嬉しいわ。
 勉強などいろいろ頑張ってね。私も頑張るわ。

 リリィ

 リリィはその手紙を封し、切手を貼り付けた。そして母の協力で郵送してもらった。
 
 翌日、リリィは花輪に話しかけられた。
「Hey、リリィクン」
「あ、花輪クン。早速エミリーに手紙を出したわ。ちゃんと届くか心配だけど」
「Don't worry,baby。安心したまえ。メアリーが書いた住所は間違っていないよ。それからあれだけ仲良くなったんだからきっと返事は来るさ。まあ国際郵便だから少し時間はかかるだろうけどね」
「そうね・・・」
 リリィはエミリーからの返事を楽しみに待つことにした。

 リリィはまる子、たまえと下校していた。そしてエミリーに手紙を出したことを告げた。
「ええ、もう手紙出したの!?」
 まる子が驚いた。たまえが内容を聞く。
「なんて書いたの?」
 リリィは手紙の内容を言った。また、英語で書いたことでまる子から羨ましがられた。
「う~ん、いいねえ、英語で書けるなんて。アタシも手紙出せたらいいなあ」
「なら今度まる子さんも手紙書かない?私が訳すから」
「いいね、そうしよう!」
 
 
 そして一週間後、リリィは帰宅すると、母から手紙を差し出された。エミリーからの返事の手紙が来たという。リリィはエミリーからの返事を早速封を切って中を読んだ。内容は英語で以下のように書いてあった。
 
 リリィへ

 感謝の手紙をありがとう。私も学校で友達と楽しく過ごしています。ペンフレンドができたと友達からできたと羨ましがられました。また、日本に行きたいと思います。日本の友達の皆さんにもよろしく。

 エミリー

 リリィは返事が来た事が何よりも嬉しかった。

 翌日、リリィはいつもより早く登校していた。10分ほど経って、藤木が教室に入ってきた。
「あ、藤木君、おはよう!」
「おはよう、リリィ・・・」
「あ、そうそう、この前エミリーから返事が来たのよ」
「エミリーから!?よかったね!」
 そして休み時間、リリィは藤木やまる子やたまえ、花輪らにエミリーからの返事を日本語に訳して読み上げた。最後の「日本の友達の皆さんにもよろしく」の文章でリリィのみならず、皆にも敬意が込められてあると感じた。
「また会えるかな?」
 藤木は期待を膨らませた。
「きっと会えるわよ!」
「リリィ、あたしも早速エミリーに手紙出すよ!訳お願いしていい!?」
 まる子が決意した。
「もちろん!」
 こうしてリリィはエミリーと文通する事になったのだった。 
 

 
後書き
次回:「回顧」
 藤木とリリィがエミリーとの交流を楽しんでいた同じ頃、笹山は趣味の菓子作りをしていた。藤木からの告白を回顧しながら・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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