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艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~

作者:V・B
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第三十三話

 
前書き
どうも、ゾロ目って幸せな気持ちになれますよね。特に『三』って数字が好きな僕には今回はなかなか嬉しいですね。

まぁ、今日起きたことと言えば財布に入ってた(二枚しか入れてなかった)十円玉が一枚無くなってた位ですね。ちっせぇ不幸ですわ。 

 
「はい、六本で二百六十円ね。まいどー。」
 
俺は店のオバチャンにぴったり二百六十円を渡すと、人気のアイス、『ジャリジャリ君』が六本入ったレジ袋を受け取った。
 
俺はオバチャンに礼を言って、そこで待っていた木曾達のそばに戻った。
 
「ほれ。俺の奢りだ。」
 
俺はそう言うと、自分の分のアイスを袋から出して食べ始めた。
 
「おっ、サンキュー!」
 
「ありがとう、二号。助かるよ。」
 
「ありがとうっぽい!」
 
「ありがとうございます、二号さん。」
 
「ん、あんがとさん。」
 
うーむ、お礼の言葉の言い方だけで誰が何て言ったか直ぐに分かるな。問題として出されても答えれる自信がある。
 
ちなみに、上から天龍、時雨、夕立、春雨、木曾の順番だ。木曾の素っ気なさよ。
 
「しぃかしなぁ…………これからどうするよ?予定より二時間はえーじゃん。」
 
天龍はアイスを食べながらそう言った。
 
…………しかし、この天龍と木曾の格好はある意味意外だった。
 
だって、あれだけ戦闘民族みてぇな生活してるのに、ちゃんと私服来てきてるんだもん。誘われた時なんか戦闘服で来るんじゃねぇかとも思ってた。
 
むしろこっちの白露型駆逐艦ですよ。がっかり、と言うか驚愕したのは。さっきは触れなかったけれどもさ。
 
だって、三人とも同じ格好なんだもん。全員制服なんだもん。
 
どこぞの学生じゃあないんだからさ。
 
…………いや、まぁね?別に制服が苦手とかそーゆー意味では無くてな、むしろ可愛いんだよ?だけどさ、たまにはほら、私服姿も見てみたいじゃない。素材が良いからさぁ。
 
「………二号?」
 
時雨に声をかけられて、ハッと我に帰った俺。
 
「えっ?あ、うん、わりぃ。聞いてなかったわ。」
 
「ったく、疲れてんじゃねぇよ。まだまだこれからだってのに。」
 
慌てて取り繕ったら、天龍にニヤニヤされながらどやされた。なんか悔しい。
 
「取り合えず、ボクたちの行きつけの店があるんだけと、そこに行こうかなって話になってるんだ。行ってみるかい?」
 
時雨が俺に簡潔に話してくれた。ふぅむ、コイツらの行きつけの店か。ちぃとばかし、いや、かなり気になるな。
 
白露型駆逐艦共はともかく、意外にも木曾と天龍も何やら楽しみにしている様子だ(なかなか失礼だな俺)。
 
「おう、そんじゃ、そこにでもお邪魔させて頂きますかね。」
 
俺がそう言いながら頷くと、
 
「うし、んじゃま、今晩は遅くなるって提督に連絡するわ。」
 
木曾がスマホ(持ってたことに驚いた。ここまで来ると失礼と言うより入った無礼だ。)で、提督に電話を掛けていた。
 
「もっしもーし、こちら木曾。……あぁ、楽しんでるよ。んで、今回も皆木さんとこ寄ってくから、帰り遅くなるわ。あいあい、んじゃ。」
 
…………やっぱり、テンションたけぇな。よほどお気に入りなんだろうな。
 
「さてと、行きますかね。」
 
そう言った天龍を先頭に、俺たちは再び歩き始めた。
 
…………まさかいかがわしい店とかじゃねぇよな?と、変なことで不安になっていた。
 
いや、晩飯いらねぇっつってたってことは…………食いモン屋か?
 
という俺の推理は見事に的中した。
 
歩き始めて十五分。
 
「ほれ、着いたぞ。」
 
木曾がそう言ってきた。
 
俺の目の前にあるのは、恐らく民家を改装して造ったのであろう建物。
 
看板には、『食事処 鳳翔』と書かれていた。
 
「見ての通りの定食屋っぽい。夕立たちもよく来るし、てーとくさんもよく来るっぽいよ?」
 
ほう。提督もよく来るのか…………って、それってまず間違いなく鎮守府の関係者の店でしょ。
 
「ま、取り合えず入ろうよ。」

と、いつもは木曾と同じくらい冷静で落ち着いている時雨もテンションが高そうだ。頭の触角(おいこら)が今にも動きそうだ。
 
「あのー、私もここって始めてなんですけど…………?」
 
と、消え入りそうな声で呟く春雨。かなり不安そうだ。
 
…………つーかこいつら、俺ばっかり注目してて、春雨のこと頭ン中からすっかり消えてたな?全員「あっ。」って顔してたし。
 
「ほ、ほらほら!入ろうぜ!」
 
…………誤魔化した。
 
俺と春雨がジト目で見ているのに気がついてか、天龍を先頭に先に店に入っていった。
 
「…………まぁ、なんだ。俺達も入るか。」
 
「…………はい。」
 
何となく負けた気がした俺たちは、そのあとに続くようにのれんをくぐって、店内に入った。
 
 
 
 
「あら、そちらが新しく入った人達?いらっしゃい。」
 
そう言って声をかけてきたのは、物腰の柔らかそうな女の人だった。だいたい、お袋と同い年位かな?
 
「紹介するぜ。こいつらは春雨と二号。春雨は三ヶ月前から、二号は先月から着任したんだ。」
 
初対面の人に二号って紹介するんだ。なかなかいい神経してるなこいつ。
 
「んで、この人は鳳翔さん。元々艦娘だった人で、三年前に前線を退いたんだ。」
 
ほー、元々艦娘だったんだ。そりゃあ提督も来るはずだわ。
 
「………………………………。」
 
しかし、鳳翔さんはさっきからずっと、俺の顔をじろじろ見ていた。なんだろ、男だからか?
 
 
 
 
 
「………………………お父さんとお母さんの事は知っているの?」
 
 
 
 
 
 
「!!」
 
俺は思わず息を飲んだ。いや、よく考えればわかったことだけどさ。
 
そうかそうか、世間って目茶苦茶狭いんだな。何も思ってなかった所から、ビックリするような話が出てくるんだな。
 
「……………………えぇ、一応、両親の仕事位は。こいつらは多分知りませんけど。つーか俺も着任したときに始めて知りましたし。」
 
俺は正直にそう言った。
 
天龍と時雨はなにやら慌ててるし、夕立はポカーンとしてるし、春雨はなんのことか分かってないらしい。木曾は相変わらずのクールスマイルだ。
 
「…………あのときの赤ちゃんと、まさかこんな形で再会するとはね…………悲しいものよ…………。」
 
鳳翔さんのその一言で、俺は理解した。あぁ、俺は赤ん坊の時にこの人と会ってる。つーか、親父とお袋が見せたんだろうな。
 
「それじゃあ、自己紹介した方がいいですかね?」
 
俺はひとつ息を吸って、言った。
 

 
 
 
 
 
「俺の名前は七宮 千尋。親父は元提督。お袋は元艦娘だ。」
 
 
 
 
 
 
 
『………………………。』
 
全員が、黙った。つーか、すげぇ驚いてた。
 
いや、驚いたなんて生易しいもんじゃない。驚愕していた。ま、当たり前か。
 

 
だって、あの七宮 亮太の息子だって言われたんだ。鎮守府の関係者なら誰でも驚く―――。
 

 
 
 

「いやいや、そこまで驚くこたぁねぇだろ?」
 

 
 
 
 
 
――一人を除いて。
 
「艦娘の適正ってのは、遺伝も関係してるらしいからな。論文見たけど、その遺伝ってのは女の方が強く引くらしいけどな。親父が提督、お袋が艦娘だったとかじゃねぇと男で艦娘の適正持った奴は出てこねぇはずだ。」
 
相変わらず先読みと言うか、推理が目茶苦茶早い木曾。どうやらこの様子だと、着任したときから確信してたらしい。
 
「はは、ははははは……………………アホか!んなもんに頭回せるか!」
 
そう叫んだのは天龍だ。いや、普通はそうだ。そんな無駄なことを考えるような奴がいる方がおかしい。
 
ただでさえまだまだ謎が多い『艦娘』だ。一々気にしてられない。
 
「流石に今回は木曾が変態だと思うな…………今に始まったことじゃないけどさ。」
 
明らかにドン引きしているのは時雨。木曾から一、二歩距離を取っていた。
 
「っぽい?」
 
相変わらずの夕立。お前はずっとそこで拓海の妄想でもしとけ。
 
「えっと……………………どういうことですか?」
 
何も分かってない春雨。さっきからずっと首を傾げていた。
 
「もう…………やっぱり、その血の運命かしら…………。」
 
目元を押さえているのは鳳翔さん。いや、その血の運命て。どこのジョー〇ター家ですか。
 
そんなこんなで、なんか店内はカオス状態。取り合えず、まずは皆を落ち着けるところからかなぁ…………そのあと、春雨に説明しなきゃな…………。
 

 
 
 
俺は、このとき、親父達の知り合いに会ったってことに喜んでいた。
  
 

 
後書き
読んでくれてありがとうございます。鳳翔さんは俺が始めて手にいれた軽空母でしてね。なんとしても物語に出したかった。なお、今では瑞h………ウワヤメロナニヲスル。

それでは、また次回。 
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