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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第五章 Over World
  たから、みんなで



「どうすればいいの・・・・」


暁美ほむらは、カケラを覗く。
覗けども覗けども、そこに答えはありはしない。


拳を握り、憤ってしまう。
この状況から抜けられないことに、全身が振るえている。


「あら、こんなところでどん詰まりかしら」

「うるさい・・・・」


そんなほむらを、梨花が後ろから茶化す。


梨花がチラリと視線を逸らすと、やはりそこには大きなカケラが存在していた。
さっきからそこにあるというのに、彼女にはそれが見えていない。


いくら真正面に持ってきても、いくら周囲を見渡しても、ほむらはそのカケラの周りをウロウロしながら、それを見つけられないでいる。


その様子が面白いのか、ワイングラスを傾けながら、梨花はクスクスと笑っていた。



「大丈夫かしら?」

「うるさい!」


聞いておきながら、その声は楽しんでいた。
ほむらはその声に、はじけるような声で叫び返した。


あらあら、とでも言いたそうに肩を竦め、おどけて見せる梨花。


その梨花を睨みつけ、ほむらがイラついた声で問いかける。



「一体どういうこと・・・なんでこの先に進めないの?」

「そりゃ、あなたが気づいてないからでしょう」

「何を!!」

「それはあなたが見つけることよ」


バンッ!!

何を叩いたのか。
ほむらの足が、何かを踏みつけたかのように音を鳴らす。

少し眉を上げ、眺める梨花。



「最初から思ってたけど・・・貴女何者なの・・・・」

「最初に自己紹介しなかったかしら?」

「いいえ・・・多分だけど、あなたは別の何か・・・そうね」

返答にふと、梨花の表情が少し止まる。
そしてニヤリと笑うと、面白そうに語りだす。


「へぇ、あなたって鋭いのね。やっぱり、同じみたいに時間を越えたからかしら?」

「じゃあ」

「今回限りの特別出張サービスでね。私みたいに運命の袋小路につかまっている少女がいるから、助けてくれって頭下げられたのよ」

彼には恩もあるしね、と言いながら、その話を受託したらしい。
恐らく、彼女の余裕はそこから来るものだろう。



「あなたが何度繰り返したか知らないけど・・・・」

「うん?」

「それでどれだけ、見た目以上の歳だとしても、私の苦悩を笑うのはやめてちょうだい」

「・・・・・・」


そのほむらの言葉に、梨花の表情が一気に冷める。


「あら・・・・まるで自分の方が、強力な運命の袋小路につかまったかのような言いぐさね?」

「・・・・・」


今度はほむらが黙る。

そうだ。
幾らなんでも、あんな絶望の運命に直面する人間などいないだろう。


そう考えるほむらを知ってか、梨花がいきなり嘲笑った。


「えぇ・・・知らないわよ。あんたの苦悩なんか」

「な・・・・」

「「たかだかその程度の運命」で、何を泣き腫らしているのか、私にはまったく理解できないわ」


辛辣な一言。
自分が繰り返してきた絶望の時間を、この女はその程度だと笑い捨てたのだ。

思わず、言葉に力が籠る。


「たった一人の親友を救いたくて、救いたくて救いたくて、救い出したくてしょうがないのに!!何度やっても助け出せない絶望!!あんたみたいな小娘に何がわかる・・・・自分の死?そんなことよりも、誰かが死ぬ方がもっと悲しいのよ!!そんなこともわからないの!?あんたは・・・・・」

「暁美ほむら」


ビクッ、と
一言名前を呼ばれただけだというのに、ほむらの身体が揺れる。

気付けば両手は手汗を握っていたし、首筋がネットリとした嫌な脂汗で湿っていた。



「時間操作の魔法とやらで、転校してからの一か月間を何度でも繰り返せる少女。親友・鹿目まどかの運命を打破するために、幾度も幾度も、あなたはこの見滝原を繰り返した―――――」

これは梨花の質問ではない。
ただの事実の確認だ。

だからほむらは無言だったし、梨花もそれに納得する。


「最初にワルプルギスの夜に敗北し、次に魔法少女の行く末を知り、親友と約束を交わした」


無言。肯定。
話は続く。


「その後、幾度となく時間を繰り返し、あなたはどうしても彼女を救えない・・・・」

「・・・・・」


「ちっさ」

「―――――!!!!」


ギチリと、ほむらの奥歯が軋む。
だが、梨花の瞳を見て一瞬で現実に戻される。


その瞳は、決して彼女を蔑むものではなかった。
否、そもそもほむらと争うことでもないのだ。こんなことは。


その瞳には、只々自分への誇りと自信しかなかった。



「私はね、何回も殺されたわ。殺されるたびに、時間を巻き戻った」


それは五年以上だったこともある。
徐々に短くなって、最後には二週間くらいしかなかった。

殺される前の記憶は、毎回ショックで飛んでしまうので犯人が誰かもわからない。


しかも、自分の周囲の友人は皆、何らかの事件を起こして死んでしまったり、破滅したり。





ほむらはその話に聞き入った。
今まで沸騰しかけていた脳内はどこに行ったのやら。


そうだ。
自分はそうして絶望した。

巴マミも、美樹さやかも、佐倉杏子も――――鹿目まどかも

自分からその中に飛び込み、勝手に消えて行ってしまう。



巴マミは、話を聞いてくれようとくれず、頑固だ。
まどかを魔法少女に引き込むし、絶望はさせる。

美樹さやかはすぐ感情的になって手におえないところがある。
そのせいでまどかを傷つけるし、彼女のおかげで魔法少女の真実と、魔女との関係性も知らされる。
全ての破滅の始まりとなる。

佐倉杏子はまだマシな方だ。
だが結局は私の話も忠告も無視してしまう。
彼女と一緒にワルプルギスの夜を戦ったことなどなく、その前に私自身が去るか、さやかと心中かだ。

鹿目まどかは一番厄介だ。
困っている人がいれば、自分を投げ捨ててでも助けようとする。
危険なことも顧みない。
どんなに私が大切だと言っても、彼女は自分の存在を軽視する。



だから、私は他の彼女たちを諦めた。
まどかひとりを救う。その為だけに私は動く。

信頼できるならいいだろう。
協力してくれるならいいだろう。

それを無視する程、愚かでもない。

だけど、期待なんてしない。
期待すれば、その時の落差は大きいのだ。


私がそんな絶望に染まったら、私が魔女になったとしたら。
もう時間逆行は出来なくなる。誰もまどかを救えない。



斬り捨てる時は、あっさりとあきらめた。


「だから・・・・あなたも諦めたのでしょう?」

「は?」


それを踏まえたうえでのほむらの言葉を、梨花が睨み付けて答えてきた。
その視線にひるむ。


今まで、この少女にどんな感情を向けても軽くいなされ、流されたというのに。
今この瞬間、初めて彼女からの怒りを向けられた。



「私はね・・・・みんなの素晴らしいところをたくさん知っているわ」


確かに皆、問題を起こすこともあるだろう。
だけど、それを差し引いてもみんなは大好きで、大切で、愛しい仲間だ。


「―――そんな彼らを見捨てて、失い、生き残る・・・・そんな未来なんか、私はいらなかった」


だから、私は何度も繰り返した。

「私が最後まで望んだのは、仲間たちみんなで望んだハッピーエンド。誰一人として掛けることなく、私は未来に向かって運命をこじ開けて見せた――――」

「そんな・・・・」




ほむらはそれを聞き愕然とする。


自分はまどかひとりを運命から救い出すために幾度も繰り返したというのに、この少女はさらにその上の人数を、仲間全てを救って見せると挑んだのだ。運命に。その結末に。


しかも聞くと彼女の死は、彼女の村にも関係があった。
彼女の死は、村の住人全ての死。


彼女は仲間だけでなく、そのすべての命を背負い込んで、そして勝利したのだ。


「そして私は勝ったわ。運命に、みんなで挑んで勝利した」


いったい


どれだけの時間を過ごせば、そんなことができるのだろうか。
一人の運命を変えることにここまで苦悩しているというのに、彼女は自身と、仲間と、そしてその周囲の全員の未来をこじ開けて見せたのと言うのだ。


「あ・・・・あなたは・・・・どれだけの時間を・・・・」


自分はまだ、十数回しか繰り返してない。
一回で一ヶ月ならば、それは時間の換算して一年と少し。

二年も経っていない。


それを聞き、ほむらが震える声で問うた。


本当だったら、その答えは聞きたくない。
もし聞いてしまったら、自分は絶望に染まるかもしれない。


でも



自分と同じ道を、それ以上を歩んだこの人は



一体どれだけの道のりを越えてきというのか――――



それに対し、梨花は両手の指を開いて答える。

「十年・・・・?」

「いえ・・・・百年よ」

「―――――――――」



言葉の、返しようがない。

自分の軽く百倍近く。
自分はたかだかこの程度の繰り返しですでに心が折れているというのに、彼女はあの小さな体で百年の時を過ごしたのだ。


身体が落ち、膝をつく。


目の前の大きな存在。
まるでそれに押しつぶされそうだ。


だが



「でもね、かけた時間は問題じゃなかった」

「え・・・・」

「百年かけようが、一ヶ月かけようが、最初から気づけば運命なんて簡単に乗り越えられる」


誇らしげに、語る。
気付けば、彼女との隣には巫女服を着た少女がもう一人浮いていた。


「運命を乗り越えるには、奇蹟が必要。それはサイコロの6の目が連続ででるような確率。それを求めて、私は幾度も繰り返した」




「しかし、運命を越えるのにサイコロなど必要なかったのです」





「必要なのは、皆で挑むこと」





「誰一人欠けず、その未来を信じて手を伸ばし、駆け抜けること」





「サイコロを振るなんて、なんて浅はかな考え」





「それは眺める側の領域。ボクたちは運命から逃れようとしている当事者なのに、舞台から降りて他のみんながうまく乗り越えられるか見ていただけでした」





「そしてうまくいって、ハッピーエンドを迎えたらエンドロールだけ顔を出す」





「そんな奇蹟、あるわけないですよ」





「奇跡みたいな大きな未来」





「一人でつかむには、私たちの手は小さすぎる」





「掴みたいなら、みんなで掴みなさい。暁美ほむら」





「あなたには」

「あなたにも」





「「共に未来を生きたい仲間が、そこに存在するはずでしょう?」」



言葉と同時に、二人が指を揃える


ある方向を指す。



すると、ほむらの目にそれが映った。



「これは・・・・」


何と大きなカケラなのだろうか。

それはまるで万華鏡に通したかのように様々な美しい光を発している。



そのカケラに、ほむらは手を伸ばして近づいていく。




そして――――――




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「ほむらちゃん!!!」


カンカン、とコンクリートの階段を、瓦礫の欠片が落ちていく。
そこを登り切り、膝に手を当てて息を整えようとするのはまどかだ。


その後から青龍が登って、白虎が昇ってきて、まどかの左右に立つ。




警戒しながら周囲を見渡し、瓦礫の上のソファを見つけた。
そこには梨花とほむらが肩を寄せ合って眠っており、それを包むように背後から羽入が身体を寄せていた。



『もうちょっとなのですよ』

「そう・・・ですか・・・・」


その羽入も眠っているように目を閉じてはいるが、青龍にそう話しかけて安心させる。


まどかもそのほむらを発見し、走って駆け寄ろうとする。
それを青龍が優しく止め、シー、と人差し指を唇に当ててニッコリと笑った。



「時が・・・・来たようです・・・・」

「カケラ結びが終わるのかな?」

「ほむらちゃんは・・・・なにを・・・・?」


青龍たちは、簡単に今の状況を語った。


今、ほむらは運命に挑んでいる。
その突破を、彼女に手伝ってもらっているところなのだ。



「ほむらちゃんが・・・・何度も・・・?」

「ええ」

「今はわかんないと思うけど、紡ぐの終わったらなんとなくわかると思うよ?」


そうして、青龍がコツコツとソファに近づいていく。
そしてそれを片手で持ち上げ、もう片手を添えて静かに抱えた。


「あれ?運んじゃうんですか!?」

「はい・・・・」

「まあねーちょっとここじゃねー」


「? ここじゃだめなんです?」


頭に疑問符を浮かべるまどか。

それに対して白虎は「にしし」、と笑い
青龍は目を瞑ってコクリを頷く



「目覚めた時は、感動的になるようにしましょう」

「ここじゃ雰囲気でないしね」

「あはは・・・そ、そんなことですか・・・・」


笑いながらも、がっくりと頭を落すまどか。
それに白虎はえー?と言う顔をして意地悪そうに笑う。


「でも~、そういうの重要だと思うよー?」

「そうです。まずは気持ちから・・・・あなたの・・・・魔法少女ノートのように・・・・ね」

「えぇ!?」


な、なんで知ってるんですか!?と驚くまどかだが、二人はそれぞれ笑って答えてくれない。

そんなこんなで、三人はさらにビルを登って行った。



ワルプルギスの夜は、もう目前まで迫ってきている。




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「ドッ―――――セイッ!!」

「チッ、蒔風の野郎まだかよ!!!」


バガァッッ!!!



一方。
ワルプルギスの夜の進行を遅らせているショウたちは疲弊していた。

と言っても、まだ余力は十分にあるし、怪我も軽傷だ。


最初から勝てないのはわかっている。
これに対して単純に力を集め、ブチかますことで倒せるのなら、すでに魔法少女がやっているはず。


身体を損傷させることは出来る。
進行を押しとどめることもできる。

だが、倒すことは出来ないのだ。



その無尽蔵ともいえる力は、こんな数人で打破できるものではない。



しかし、その体に風穴を開けて、捕らわれた彼女を救うことぐらいはできるだろう。



ショウはそのつもりだった。

ワルプルギスの夜の根源的な正体を聞き、翼刀もそのつもりで戦っていた。
せめて、唯子だけを抜き取れれば。


だが一手足りない。


今この場にいる全員では、少しばかり届かないのだ。



湧いてくる使い魔を相手にしている龍騎もセイバーも
ワルプルギスの夜に穴をあけようとしているショウも翼刀も


届かせるための、その最後の一手を待っていた。



「倒せないとわかっているから、まだ楽だけどな!!」

「無茶しない防戦でいいいわけですからね。ですがこれだけ長引くとっ!!」


ドラグセイバーやストライクエアで敵を吹き飛ばしながら、二人も愚痴る。
まだもっているとはいえ、このままでは圧倒的な敵の重量に押し負ける。






翼刀がビルの屋上に何かを見た。
ショウの肩を叩き、彼もそれを見る。



「は、やっとか」

「あの・・・でも寝てますよね?」

「ああ・・・・よく見ておけ、翼刀。あれがカケラを紡いだ先にできる、カケラ結びの光だ」



めったに見れないぞ。

ニヤリとそう言い、ショウが下がる。
それに合わせて龍騎とセイバーも下がり、そのビルに向かって駆けていく。



遠くには、キュゥべえとの戦いを終えた二人が駆けてくるのが見えた。




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見覚えのある、マンションの一室。
巴マミの部屋だ。


大きな窓からは夕日が差し込み、部屋をオレンジに包む。

その色は優しく彼女たちを照らし、穏やかな時間を届けていた。



「へえ、それ良いわね!」

「はい!!マミさんの魔法の名前を参考に―――――」

(これ・・・は・・・・?)


巴マミ宅における魔法少女会議。
要はお茶会なのだが、そこでほむらは頭を抱えていた。


最初はいきなりの場面で驚いたものの、今までも見たことがあるシーンなので納得した。


だが、この場面を見て気づいたことは―――――


(まどかが・・・・すでに魔法少女のカケラ―――――!?)


鹿目まどかが、すでに魔法少女として契約していることだ。
最初期の時間軸に近い状況。



そこでノリノリになって魔法少女の責務について話し合っていたのだが、いつしか「必殺技考案会議」になってしまっているようだ。

周囲に散乱しているのは、様々な言語辞書。
恐らくはそう言うものから言葉を選び出そうとしているのだろうが―――――


「こ、これは・・・・」

当時は思ってもみなかったが、今になってみると相当にイタい。
実際にその場面で叫ぶのはともかく、考えているとこを見るのはかなりイタいものだ。

よく当時の自分は意気揚々と参加していたものだと思う。



そんなほのぼのとした空気に、インターホンの電子音が鳴った。

開いてるわよー、と声をかけるマミ。
すると、同時に扉が開かれて二人がやってきた。



「こんちわー!!」

「うわっ!!お、お前引っ張んなよ!はーなーせー!!」

その二人を見て、ほむらは目を見開いて驚いた。
さやかと杏子だったのだ。

ギャーギャー騒ぎながらもここまで連れてこられた杏子に、そんな彼女を引っ張ってきたさやか。
どうやらさやかは杏子を探して遅くなったらしい。


そうして、五人のお茶会が始まる。
会話の内容はありきたりなもの。


この前の魔女は強かっただとか
五人そろえば大丈夫だとか
コンビネーションのおさらいだとか
新しい戦術、戦法の考案だとか


新しいお菓子の話だとか
最近のファッションや服の話だとか
学校であった出来事だとか
宿題を教え合ったりだとか


それは、魔法少女が五人集まったにしてはあまりにも平和で


それは女子中学生五人が集まった、当たり前のように平和な時間だった




「暁美さん?」

「え?あ・・・その・・・・」


と、不意にマミから声が掛けられる。
返事がうまく言葉にならない。


「な、なに?」

「いえ・・・・なんだか、一人だけ違うこと考えているような・・・あ、それがいけないことじゃないのよ?でも・・・・」

「ったく、まーた一人でなんか考えてんの?」

「くだらねぇ事考えるくらいなら、ここで言っちまいな。面白かったら笑ってやっから」


ほむらだけ、輪から外れている気がしてしまうマミ
ちゃかすようだが、心配してくれているさやか
ぶっきらぼうである物の、話は聞いてくれようとする杏子


「ほむらちゃん」


唖然としてしまうほむらの手に、まどかの手が重ねられる。


「まどか・・・・」

「なにかあるなら、言ってね?」


その言葉に、ほむらは喉が詰まってしまう。


違う
違うのだ


悩みだとか、そんなのがあるわけじゃない
苦悩だとか、そういうものをここで言っても仕方がない



私が、言いたかったのは



「こんな光景・・・私見たことない・・・・・」

「?・・・そうね。五人そろってのお茶会は初めてね」

「皆なんだかんだで揃えなかったもんね」


違う
違うの


本当に見たことがないの


こんな五人がそろって、笑顔で楽しく過ごす時間があったなんて、私は一度も見たことがない・・・・・・


こんな暖かくて幸せな時間、私は一度も知らない・・・・・・



「わっ!ど、どうしたのほむらちゃん!!」

「泣いてんのか?」

「え・・・・」


気付くと、ほむらの頬を涙が伝っていた。
ほろほろとこぼれる涙。


何かを言いたいのに、喉が詰まって何も言えない。
その瞳からは只々、涙がぽろぽろと流れていく。


いきなりのことに、みんなが心配してくれる。


いろんなことを言いたい。
皆に伝えたい



でも、声を出そうとすれば




それはすぐに哭き声になってしまう。




「私は・・・・」


「なに?」

「ほれ、こーいうときは深呼吸して一気に言っちまえよ!」

「杏子~、あんたもっとデリカシーってもんをだねぇ」



私は、伝えたい




みんなと一緒に





こんな未来を、見てみたい。






こんなたった一回きりの一場面じゃなくて







まだまだ、みんなで一緒にいたかった。






「なんで、忘れてたんだろう・・・・」



マミさんは、頼れる先輩だった。
いつだって私たちを心配してくれたし、護ってくれた。
今まで街を護ってきてくれた、本当に憧れることのできる人だった。

あなたのおかげで、私は安心できたんです。



美樹さやかは、引っ込み思案だった私に元気をくれた。
一人ぼっちにならないように、いつもその場を楽しくしてくれる。

あなたのおかげで、私は楽しい時間を過ごすことができたよ。


佐倉杏子は、ぶっきらぼうだけど何度も助けてくれた。
最初はケンカもしたけれど、やっぱり今みたいに、口悪く私を心配してくれる。
仲間じゃないと言いながら助けてくれる彼女は、なんだか仲間という物を教えてくれたような気がした。

あなたのおかげで、私は信頼できる仲間を知ることができたんだ。


鹿目まどかは、私に自信をくれた。
いつでも笑顔で、どんなときにも前向きで、思わず下を向いてしまう私の手を取って走りだしてくれる。
私の、最初の親友。

あなたのおかげで、前を向いて行くことができるんだよ。



嗚呼



私は、こんな大好きな人たちと




「私は・・・・みんなずっと一緒にいたいよ・・・・・・」



マミさん

「ええ」


美樹さん

「うん」


佐倉さん

「ああ」


まどか

「うんっ」



座り込んで泣き出すほむらを、四人は優しく抱きしめる。







「そうよ。奇跡なんて、そんなもの」

皆で願うから、それは切り開かれる。
だったら、あなたがそれを忘れちゃダメじゃない。



カケラを外から眺めながら、梨花が優しく微笑んだ。



すると、そのカケラから一斉に光が伸びていく。


それは未解決のカケラから、既に開かれたカケラまで


全てのカケラに伸びていく。


それがより一層美しい光を紡ぎだし、それは満天の星空のよう。



行き詰ったカケラが、解放されていく。


『マミさん、私も一緒に戦いたい。あなたを失いたくないんです』

だから、一緒に戦いましょう。
どんな相手でも、負けません!!

「そうね。私も、暁美さんと仲良くしたいわ」





『美樹さん、あなたはみんなの幸せを願った。誰かのために、何かをしたかった。それなら、あなたがあなたの幸せを願ってもいいじゃないですか』

あなたは最初から最後まで、正義の人だった。
そんなあなたが、誰かを傷つけて終わる未来なんて、あっていいはずがないです!!

「うん・・・私、まだまだ頑張れる。がんばるぞー!」





『佐倉さん。あなたと私はまだ出会って間もないけれど、魔法少女は共存できないかもしれないけど、それでも私はあなたを信じています』

最初は光を求めていた。
でも、その後に闇があなたを引きずり込んだ。
だけど、それで光を捨てて諦めちゃ、絶対にダメです!!

「そうだね・・・そんなもんに負けちまうなんて、やっぱスッゲー気にくわねぇな」





『まどか・・・・あなたはいつだって誰かの為だった。自分は何もできないから、せめて捧げようとしていた』

でも、それは間違い。
捧げるだけじゃ、誰も幸せにできない。

自己犠牲なんて考えないで。
皆の代わりなんて思わないで。

皆に代わりはいないのだし、あなたの代わりだっていないのだから。









誰一人でも欠けたらいけない。
私は、まどかをこの舞台から引きずり降ろそうとしていた。

そんなことをしたら、運命と言う舞台は破綻してしまう。
キャストがいないんじゃ、そもそも開演もしない。


開演もしない舞台の先を、その脚本を、どう変えようというのか。


やっぱりみんなは一緒でなければ。
そして、その開演した舞台で暴れまわってやるのだ。


思い通りに
アドリブで


始まってもいない運命/舞台を変えようとしたって、変えられるはずがない。





最後のカケラで、まどかが祈るように手を組む。


そこに現れるのは、彼女の綺麗なソウルジェム。

だが、それを見つめるほむらの目に絶望はない。
後悔もない。



彼女は言った。

「キュゥべえに騙される前の私を助けて」と
止めてではなく、助けてあげてと言ったのだ。


ならば、これがそう言うことなのだろう。



彼女がそうすると決めた道を、捻じ曲げようとしてはいけない。

それは信念だ。
それを無理やり捩じれば、それは元に戻ろうとしてもっと捩じれる。



ほむらはまどかの手を取る。

その手に重なり、マミ、さやか、杏子が続く。



その思いを貫こう。


それがどんな原因で生まれ


それがどんな結末を迎えようとも



疑わず



後悔せず



これが自分だと信じて貫けるのであるならば




それに願いは、未来は、希望は




必ず応えてくれるのだから




「だから、みんなで」

「うん。みんなで」



―――――未来を、掴みに行きましょう






to be continued
 
 

 
後書き

イメージBGM

最初~
Fate/Zeroより「tragedy and fate」(BGM)


“気付けば、彼女との隣には巫女服を”~
ニコニコ動画より「コネクト~オーケストラアレンジ~」(主題歌アレンジBGM)


“見覚えのある、マンションの一室”~
魔法少女まどか☆マギカより「Desiderium」(BGM)


“唖然としてしまうほむらの手に、まどかの手が”~
仮面ライダーオーズより「Anything Goes!"Ballad"」(劇中挿入歌)


FateやまどマギのBGMは、youtubeで検索すればある・・・かも?




カケラ紡ぎ、終結。

さあ、少女たちよ。


運命を切り開け!!



???
「ボクはまだ終わる気は無いよ・・・・」

!?



マミ
「次回」

さやか
「私たちの」

杏子
「未来を」

ほむら
「みんなで」

まどか
「切り開く!!」

ではまた次回

 
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