| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

59部分:第六話 馬超、曹操の命を狙わんとするのことその二


第六話 馬超、曹操の命を狙わんとするのことその二

「他にもあたしが今日戦った不知火幻庵ってのも言ってたしな、そんなこと」
「他にも大勢いるぞ」
「近頃多い」
 関羽と趙雲もこのことを話した。
「袁紹殿や曹操殿はその者達を多く召抱えてきているが」
「貴殿も会ったのか」
「そうなんだよな。そういえば武闘会場にもいたな」
 馬超はこのことにも気付いた。
「最近本当に多いよな」
「世の中まことに変わった」
「ただ賊が増えただけではないようだな」
 関羽と趙雲の顔が真剣なものになった。
「ナコルルだけではなくだ」
「他にも大勢いるしな」
「その様ですね」
 ナコルルも不吉な顔で述べた。
「この国には今不吉な雲が漂っています」
「不吉な雲か」
「何もなければいいがな」
「ところで翠はこれからどうするのだ?」
 張雲はここで馬超に対して尋ねた。
「今どうしているのだ?」
「ああ、実はな」
 馬超はここで自身の身の上を話した。今度はそれだった。
「あたしの父ちゃん死んでさ」
「馬騰殿だったな」
「都でだったな」
「暗殺されてな。まあこのことはいいさ」
 ここで馬超の顔が一瞬歪んだ。だがそれは一瞬だけでありすぐに元の顔に戻してだ。そのうえでまた言ってきたのであった。
「それで涼州は馬氏から離れてな」
「今は袁紹殿が進出しようとしているな」
「そうなんだ。まあ袁紹殿は政治は上手いしな」
 彼女のそのバランスの悪い能力の一環である。
「涼州も立派に治めてくれるだろうしな。あたしはそれなら文句はないしな」
「今は北の方に進出し匈奴を取り込みながら向かっているそうだな」
 趙雲は今の袁紹の同行を確かに知っていた。
「この国の脅威を飲み込みながらな」
「あの連中が一番厄介なのだ」
 張飛も顔を顰めさせて言う。彼女も北の異民族のことはよくわかっていた。
「何かあるとすぐに攻め込んで来る。困った奴等なのだ」
「まあそれでさ。あたしはとりあえず仕官先も探すついでにこうしてあちこち回って腕を磨いてるんだ」
「成程、それでか」
「それでここにいたのか」
「そうなんだ。しかし冀州ってのは凄いよな」
 ここで話が変わった。
「本当にな」
「そうだな。幽州とは全く違う」
 関羽がその言葉に頷く。
「特にこの街はかなりの大都市だ」
「あの袁紹ってのは政治は確かに上手いんだな」
 馬超もそれは認めた。
「村もかなり立派だしな。州全体が豊かで平和だからな」
「けれど馬鹿にしか見えないのだ」
 張飛は身も蓋もないことを口にした。
「あんな訳のわからないことばかりしていて本当に大丈夫なのだ?」
「知力と政治力は別だ」 
 趙雲がこのことを指摘した。
「袁紹殿は政治と戦争については得意なのだ」
「では頭はどうなのだ?」
「少なくとも知力は期待しないことだ」
 彼女らしい言葉であった。
「全くな」
「そういう方もおられるんですね」
 ナコルルはそれを聞いてふと自分の知り合いのことも思い出した。
「そういえば右京さんも教養はおありでしたけれど政治には興味がありませんでしたし。そういうことなんですね」
「袁紹殿は複雑な方でな。名門袁家の出だが母上の生まれが悪く家の中ではあまり恵まれてはいなかった」
「ああ、そうらしいな」
 馬超は趙雲の今の言葉に頷いた。
「それで今になるまで色々と苦労もしてきたらしいな」
「家の中で認められるまでにそれなりの努力もしてきた」
 伊達に今広大な領土を治めているわけではないというのだ。
「しかし。劣等感故か歪な性格になってしまわれてな。御自身の興味のないことには全く努力をしないしそのうえ向き不向きの激しい方だ」
「それでああいう風になられたのだな」
「政治家、軍人としては優秀だが君主としては問題もある」
 今度は関羽に述べたのだった。
「何しろあの性格だからな」
「仕えるには少し困った人物か」
 関羽はそれを聞いて述べた。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧