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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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60部分:第六話 馬超、曹操の命を狙わんとするのことその三


第六話 馬超、曹操の命を狙わんとするのことその三

「そういえば曹操殿も宦官の家の出だったな。それで苦労されたのだったな」
「そうだ。二人共そうした意味ではあそこまでなれる方々ではなかった」
 趙雲は曹操についても述べた。
「ただ、曹操殿は袁紹殿に比べてかなりバランスがいい。万能タイプだ」
「そうか。そうした違いがあるか」
「君主としてどちらがいいかはわからないがな。曹操殿にしてもそうした境遇だったから性格的には問題があってもおかしくはない」
「曹操・・・・・・」
 馬超の顔が歪んでいた。
「あいつだけは・・・・・・」
「んっ?どうしたのだ翠」
 その馬超の表情の変化に張飛が気付いて問うた。
「何かあったのだ?」
「あっ、何もないさ」
 馬超は彼女の言葉にすぐに表情を戻して言葉を返した。
「気にするなよ」
「だったらいいのだ」
 こんな話をしてからその日は寝た。その夢の中でだ。
 馬超は幼い姿をしていた。そのうえで両手で棒を構え両足を踏ん張ってそのうえで身体を横にして顔は前に向けていた。そのうえで前に立つ妙齢の、彼女がそのまま成長した様な顔と髪の美女と対していた。
「翠、どうしたの?」
「えっ、どうしたって」
「乱れがあるわよ」
 彼女に対して言ったのである。見ればその美女も彼女と同じ構えを取っている。だがその構えは彼女のものとは違って悠然としている。馬超のそれは手が震えているのである。そこが大きく違っていた。
「どうしたのかしら」
「えっ、別に何も」
「隠し事をしているわね」
 悠然と笑ってみせての言葉だった。
「そうね」
「あ、あたしは別に」
 その言葉を受けてだ。幼い馬超は慌てだしだ。我を失った様子になってそのうえで返した。だがその構えは完全に乱れ形を崩してしまっている。
「おねしょなんか別に」
「そう。おねしょなのね」
「あっ、いやその」
「隠さなくていいのよ」
 だがだ。美女はその彼女に優しく笑って言ってきた。
「ベッドをすぐに乾かしなさい。それでいいわ」
「わかりました」
「心は構えに出るものよ」
 そしてこう馬超に教えてきた。
「武芸はそのまま心が出るものよ。覚えておきなさい」
「う、うん」
 幼い頃の思い出だった。涼州にあった屋敷の中でいつも母に武芸を教えてもらっていた。それが今の彼女を作っていったのである。
 目を覚ますとだった。ベッドの中だった。部屋の中に二つあるベッドのうちの一つに横になっていた。隣のベッドでは関羽が張飛を抱き締める様にして寄り添って寝ている。そしてベッドとベッドの間には。
「うむ、目覚めたか」
「あれ、趙雲か」
「うむ、私だ」 
 白い寝巻きの彼女が上体を起こして応えてきた。その胸が目立ち白いア脚が露わになっている。実に艶かしい姿であった。
 その姿でだ。彼女に対して言ってきたのであった。
「よく寝ていたようだな」
「あんた何で床で寝ているんだ?」
「最初はベッドの中で寝ていた」
 こう返した趙雲だった。そのうえで馬超を見る。見れば彼女は今はもう髪をほどいてそのうえで黄色い寝巻きを着てベッドの中で身体を起こしている。寝巻きは程よく乱れその脚も大きな胸もかなり見えてしまっている。
「ところがだ。貴殿に出されてしまってな」
「す、済まない」
 それを聞いてすぐに驚きの声をあげる馬超だった。そのうえですぐに謝る。
「あたし寝相が悪くて」
「それはいい。だが」
「だが?」
「私も楽しませてもらった」 
 妖艶な笑みを浮かべての言葉だった。
「そうか、貴殿は生娘だったのだな」
「何でそれがわかったんだ?っていうか楽しんだって」
「最後まではしていない。安心するのだ」
「あんたまさか」
「気にするな」
 そんな話をした朝だった。その朝は全員で食べてだ。関羽と趙雲はメイドのアルバイトを、ナコルルは街で笛を吹き、そして張飛と馬超は二人で肉体労働のアルバイトに向かった。それで路銀を稼ぐのだった。
 その時城の外の曹操軍の陣地ではだ。薄茶色の首の高さで切り揃えた柔らかい髪をして猫を思わせる草色のフードを被った青緑のやや垂れた目の小柄な少女が不安な顔で歩き回っていた。藤色の白いフリルのある上着と膝までの黒いズボンに黄緑の服、それと白いタイツといった格好である。その彼女がいた。
「どうしたの、荀彧」
「ねえ文若」
「あっ、二人共いたの」
 名前を呼ばれた少女は曹仁と曹洪に顔を向けた。二人に呼ばれたのだ。
 
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