| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十四話 森を進みその九

「本当にな」
「そしてその最高の武器をか」
「最高の技術で使うんだよ」
「最高の武器を最高の技術で使うか」
「鬼に金棒だろ」
「まさにな」
 こう二人で話す、そしてだった。ここで順一も言ってきた。
「実は私も魔法の品を持っていまして」
「あんたもかよ」
「はい、これです」
 指輪を見せての言葉だった、左手の中指にある。久志はその指輪を見て順一自身に尋ねた。
「ニーベルングの指輪じゃねえよな」
「違います」
 順一は笑って即座に返事を返した。
「あの指輪ではありません」
「やっぱりそうだよな」
「あの指輪は金ですね」
「ああ、オペラではな」
「それに権力をもたらすもので」
 持つ者にそれをもたらす魔力があるのだ。しかもその魔力は権力だけをもたらすものではない。
「破滅もです」
「それもだよな」
「そうしたものは持ちません」
 順一はにこりとしたまま答えた。
「どちらも」
「権力も破滅もか」
「どちらも興味がありません」 
 だからだというのだ。
「あの指輪ではありません」
「だよな、しかも外見もな」
 銀のリングに七色に輝く大きな宝石も見ての言葉だ。
「全然違うしな」
「これはソロモンの指輪です」
「聖書のあの王様か」
「はい、無限の知恵を持っていたという」
「じゃあその指輪を持っていたらか」
「気力が減ることがなく」
 そしてというのだ。
「術を無限に使えます」
「それは凄いな」
「貴方のレーヴァティンや智さんのアポロンの弓矢にも匹敵しますね」
「だよな、自分色々な術が使えるしな」
「魔術師と僧侶のものが」
「だから余計に凄いな」
「術についてはお任せして下さい」
 にこりとしてだ、順一は久志に答えた。
「そちらは」
「術のことはな」
「必ず役に立ってみせます」
「頼むな、じゃあ沼にもな」
「行きましょう」
 ドラゴンが潜んでいると思われるそこにだ、三人は手分けして作った熊の干し肉や燻製を分けて持ってだった。そのうえで出発した。
 そこでだ、久志は先導する順一に問うた。
「何日かかるんだ?」
「数日は」
「それだけか」
「はい、かかります」
「術じゃ行けないか」
「行くことは止めた方がいいです」
 順一が使える転移の術ではというのだ。
「それは」
「それはまた何でなんだ?」
「はっきりとした場所がわかっていないので」
「だからか」
「はい、三人共です」
「それでか」
「若し三人共ならよかったですが」
 しかしというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧